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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

殺人プレイ『聖殺』 おわり

 指先に生やした極細のナイフを、まりかさんへとゆっくり近づけていく。
 白い袋に張り付かれるように包まれ、身体のフォルムを浮かび上がらせている彼女の、蠱惑的な腹部に狙いを定めた。
 極細のナイフは、布を貫通し、まりかさんの腹部に突き立つ。
「ッ! ングウウウッ!」
 突然お腹を刺されたまりかさんが、悶えて悲鳴をあげた。けれどその悲鳴はすべて白い袋が吸収してしまい、大きなものにはならない。
 さらに、ナイフを突き刺したことで、本来なら溢れてくるであろう血は全く流れ出さなかった。白い袋の表面に滲むこともない。
 これが僕の用意した袋の、特性第二の特徴。
 血や尿など、液体を全て吸収して、外に影響を見せない。さらに自己修復機能のようなものもある。極細のナイフを使ったからということもあるけど、ナイフで開いた穴はすぐに塞がり、真っ白な袋の外観を維持し続けるのだ。
 僕は抜き取った指先のナイフを、何度かまりかさんに向けて振り下ろした。そのたびにまりかさんは悲鳴をあげ、不自由な身体を捩って暴れる。
 ある程度身体を突き刺したら、最後の仕上げに彼女の眼球に狙いを定め、瞳を潰すようにして指先を押しつけた。
 そのまま奥まで押しこめばナイフは脳に達し、彼女は死んでいただろう。そうならないよう、慎重に眼球だけを潰す。
 ぷつり、と柔らかい眼球が潰れる感触が伝わってきた。
「フーッ……フーッ……」
 まりかさんの苦しげな声が白い袋の中から聞こえてくる。
 普段派手に殺されることに慣れている分、こういう地味な感じの殺され方には慣れていないのだ。
 けれど、殺人プレイに傾倒するまりかさんだからこそ、すぐにその苦しみが喜びに変わっていっているのがわかる。
「ふふふ……さすがはまりかさん。もうこの痛みに慣れちゃったかな?」
 痛み自体はナノマシンの制御でいくらでも調整できるとはいえ、どんな小さな痛みも受け入れる素養がなければ苦しいだけだ。
 殺人プレイ愛好家は皆、その適応するまでにかかる時間が極端に短いのが特徴だった。
(さて、一通り傷は作れたから……仕上げだね)
 僕は傷だらけのまりかさんの包まれた白い袋に、そっと手を当てる。袋の中に包まれた彼女の体温がじんわり伝わってきていた。
 もがく彼女の動きを感じつつ、僕は自分の手をナノマシンで調整し、手のひらの温度を徐々にあげていく。
 ヒーター並みの熱波が白い袋越しにまりかさんへと伝わって行っていた。
「ンン……ンッ、ムゥーーッ!」
 そうしているうちに、大人しくなりかけていたまりかさんが激しく藻掻き始める。
 事情がわからない人から見れば、何が起きているのか全くわからないだろう。
 白い袋に設定した最後の特性が発揮されているのだ。
 第三の特性・熱を際限なく吸収し、結果、内側にある物は発火する。
 同時に耐熱かつ耐炎構造になっているため、外から見た白い袋には全く影響はでていない。ちなみに燃焼するのに必要な酸素に関しては素通りするため、まりかさんは際限なく燃え続けることになる。
(呼吸は出来ず、けど燃える時には空気は通る……っていうのが本当に難しかったんだよなぁ……)
 ナノマシン技術がなければ、とても実現することは出来なかっただろう。本当に夢を叶えてくれる技術だ。
 それを言い出すと、そもそも殺人プレイ自体、ナノマシンの恩恵がなければ出来なかったけども。炭化しても復活出来るのはナノマシンあってのことだ。
 密閉された白い袋の中でひたすら燃え続けるまりかさん。
 そんなまりかさんを包み込む白い袋を、僕はズボンのポケットに入れ、荷物を持ってレストランを出る。
 傍目には一人で歩いているように見えるだろうけど、僕のポケットの中にはまりかさんがいた。
 白い袋越しに伝わってくる熱はじんわりと暖かく、カイロみたいでとても心地が良い。
(ああ、これは思ったより気持ちいいな。まりかさんの命が燃えてる感じ。すごくいい)
 実際まりかさんは白い袋の中で再生しては燃え続け、地獄の苦しみを味わっていることだろう。殺人プレイ愛好家の彼女は、ギリギリまで意識を残すように身体を調整しているから、自分の身体が炭化してボロボロになるのを自覚してから果てるかもしれない。
 僕はポケットの中のまりかさんの暖かさを感じながら、家路を急いだ。
 家についたら服を着替えるのもそこそこに、まりかさんの詰められた白い袋をテーブルの上に出す。まりかさんは完全に沈黙していて、もはや痙攣もしていない。
 僕は指先を鋭利な刃物に変え、その白い袋を外から裂いた。自己修復機能があるとはいえ、わざと大きく傷口を広げるように開けば、さすがにすぐに塞がりはしない。
 袋の裂け目からすっかり全身が炭化し、物言わぬ焼死体となったまりかさんが顔を覗かせる。
 ブラックサンタが悪い子にあげるプレゼントは『真っ黒な炭』だ。そう考えると、この状態のまりかさんは僕に対するプレゼントということになる。
(結果的に、僕へのプレゼントみたいになっちゃったな……まりかさんも楽しんでくれてたらいいんだけど)
 僕は白い袋をひっくり返し、炭に成りはてたまりかさんをテーブルの上にぶちまける。
 落下した時の衝撃でまりかさんの身体は粉々に砕け、テーブルの上を黒く汚した。
 その炭の塊を指でかき混ぜて時間を潰すこと暫く。ぶちまけた炭が蠢きだし、ひとつに集まったかと思うと、まりかさん本来の姿に戻っていく。
(炭になっても元に戻るスピードはそんなに変わらないな……むしろミキサーとかでぐちゃぐちゃにしたときよりスムーズかも)
 基本的にナノマシンの修復は、すべてを一から構築し直しているわけではない。怪我の程度にもよるけど、ある物はあるままに戻そうとすることが多い。損傷が激しくてどうしようもならない部分は一から作り出すので、全身が炭化した今回は全てを一から作り直したのでかえって処理が楽だったのかもしれない。
 その理屈はさておき、いつもより早い時間で復活したまりかさんが、ぱちりと眼を開けた。覗き込んでいた僕に気付くと、身体を起こし、ニコリと笑い――元の大きさに戻りながら、僕に抱きついてきた。
「うわわっ! ま、まりか、さん?」
 柔らかなまりかさんの身体が押し当てられ、さらに情熱的なキスまでされ、僕は思わず赤面してしまった。
 いまさらと思われるかも知れないけど、今日まで恋人の関係だったわけではない僕たちは、実は恋人らしい身体的接触はほとんどしたことがなかったのだ。
 プレイ中には、唇どころか全身触ってるし、丸呑みしたこともあるけども、それはそれこれはこれ。
 まりかさんはいつもの快活な笑顔で、楽しそうだった。
「相変わらず、水無くんの殺し方は一工夫あって楽しいね。燃えさかる火に飛び込んだことはあったけど、こう身体の内側も焼けるほどにじっくり熱を通されたのは初めてだよ」
「そ、それはよかった……」
 ぎゅっと抱きつかれていることに、心臓がドキドキしてしまう。彼女の柔らかな身体の間食が凄く心地よかった。
 もうお互いに照れるような間柄ではないのだけど、やっぱりドキドキしてしまうのは仕方ない。
「……ん? どうして眼を逸らしてるんだい?」
 僕の様子に気付いたまりかさんが、にやにやしながらそう問いかけてくる。明らかにわかってからかってきてるときのテンションだ。
「ねえ、水無くん。いつものプレイもいいけれど……折角恋人同士になったんだ。今日くらいは、普通に愛し合うのも一興じゃないかな?」
 耳元で囁くように言われ、僕の頭は気持ちいい刺激に痺れる。たまにはそういう日があってもいいだろう。
「……そうだね。じゃあ、ベッドに行こうか」
「ふふ。優しくしてね。……ベッドに行くのも初めてだねぇ
「そういえば、そうだね」
 普段まりかさんは小さくなっているし、ベッドだと広すぎるということで、上物のクッションで寝ていた。
 それなりに長く一緒に暮らして来て、ベッドで一緒に寝たこともないというのは、ある意味不思議な気がする。
(というか、実は呆れられたりしてないよね……?)
 いつまで経っても手を出してこないへたれだと思われてはないだろうか。
 そう不安に思ったのを見透かされたのか、まりかさんが言う。
「人の考えはそれぞれだけど、ちゃんと恋人関係にならないのに、身体を重ね合わせるような人だったら、私は君を好きにはなってなかったと思うよ。ちょっと愚直すぎる君だから、好きになったのさ」
「本当に、敵わないなぁ……まりかさんには」
 僕は抱き上げたまりかさんをベッドまで運びつつ、その頬にキスをした。
 まりかさんは優しい笑顔でそれを受け入れてくれる。

 こうして恋人同士になった僕たちは――それからも、殺人プレイ愛好会で、殺人プレイを続けるのだった。


~殺人プレイ 聖殺 おわり~

殺人プレイ『聖殺』 3


 まりかさんはその『白い袋』を広げて、不思議そうに首を捻る。
「これがプレゼント……? 何か、特殊なものなのかい?」
 彼女の性格からして、宝石とか貴重なものを欲しているわけではなく、単にただの袋はプレゼントというには不適格だという意味だろう。
 実際、僕だってプレゼントと言われて極普通の袋に見える袋を渡されたら、純粋に困惑すると思う。
「うん。クリスマスに白い袋、といえば……サンタさんだよね」
 せっかくクリスマスなのだから、クリスマスに関係のあるものを贈りたいと思ったのだ。
「まりかさんはブラックサンタの言い伝えって知ってる?」
「なんとなくはね。良い子にプレゼントを配って回る普通のサンタとは別に……悪い子を連れ去ってしまうだとか、靴下の中に炭を詰め込むだとか……そんな話だったかな?」
「うん。大体そんな感じ。あとは悪い子のベッドに豚の臓物をぶちまけるとかいう話も有名だね」
 その伝承を参考にしたプレイを考えていた。
 僕は席から立ち上がり、まりかさんの側に立つ。白い袋を手にしたまりかさんは、どこか期待するような目で、僕を見上げている。
「食事も終わったし……あとは僕たちらしい殺人プレイをしながら帰ろう」
「ふふっ……言うと思った。つまり、私はこの袋に入れるくらいの大きさになればいいんだね?」
 袋にどんな仕組みがあるのか、まりかさんは聞いてこなかった。
 実際に味わうのがてっとり早いと考えているのだろう。
 まりかさんも席から立ち上がり、テーブルに手を突く。その手が、どんどん小さくなって行った。
 程よく小さくなったタイミングで、まりかさんは床を蹴ってテーブルの上に昇り――テーブルに重みが加わる前に、人形サイズの大きさに縮んでいた。
 小さくなることで脱ぎ捨てられた形になった服が、一拍遅れて床に落ちる。下着も含めたそれを、僕は手早く拾い集め、ほどほどに折り畳んで鞄の中にしまった。
 テーブルの上には、小さくなったまりかさんと、僕が渡した白い袋だけが残っている。
「さあ、今日はどんな殺され方をするのかな? たのし――みぃっ!?」
 不敵に言おうとしたまりかさんの声が途切れる。
 見れば、何の変哲もなかった白い袋が、自動的に動いて、まりかさんの身体をすっぽりと包み込んでしまっていた。
「さっそく動き出したね。取り込める大きさの人間に反応するように作ったんだ」
 白い袋に付けた、第一の機能――『自動捕食機能』。
 袋の中に納められる人型を完治すると、自動的に口が開き、その中にその対象を取り込もうとする機能だ。
 結果、突然襲われた形になるまりかさんは、普通ならしないようなすごい格好で白い袋に囚われていた。白い袋はまりかさんの身体にぴっちり張り付いているから、まりかさんのシルエットがハッキリ浮かび上がっている。
 形のいい胸や腰のくびれなどがばっちり浮かび上がっていた。
「ん、んんっ、んぐぅううッッ!」
 白い袋はただ捕らえただけではなく、まりかさんの身体に張り付き、ミシミシと音を立てるほどに締め上げていく。
 運悪く変な方向を向いてしまっていた腕が折れ、中途半端な位置になっていた片脚がひしゃげる。
 このまま放っておいても、全身を締め付けられたまりかさんは呼吸をすることが出来ずに死に至るだろう。窒息の前に身体が潰れるのが先かもしれないけど、死は免れない。
 一回死ぬまで放っておいてもいいんだけど、ただの道具に一から十までまりかさんの命を奪わせるのは、パートナーとしての僕の矜持が許さない。
 ゆえに、指先に意識を集中させ、指先を極細のナイフへと変化させた。

つづく

殺人プレイ『聖殺』 2


 その運命の日――僕はまりかさんと一緒に街を歩いていた。

 普段は一緒に街に出る時、まりかさんは小さいまま、僕の胸ポケットに入ったり、あるいは僕のナノマシンの特性で作り出した猟奇的な『ポケット』の中に入ってもらったり、そういうプレイの延長戦であることも多かった。
 けれど、さすがにこの日ばかりは、極普通の人間サイズで、一緒に街を歩いている。
「クリスマスはいいね。街全体が晴れやかで」
「そ、そうだね」
 前述した理由で、まりかさんと一緒に歩く機会というのは少ない。
 だからこうして一緒に歩くだけでも、ドキドキしてしまうのだった。
 特にいまのまりかさんは、双子たちが作って置いていったデザイン重視の服を身につけている。
 服に詳しくない僕にはどういえばいいのかわからないけど――ただでさえ美人なまりかさんが数倍は美しくなっていた。
 先ほどから擦れ違う男性の羨望の眼差しが痛いくらいだ。
 ずば抜けて美人のまりかさんに対して、僕はいたって平凡な外見の男だから『どうしてあんな美人をあんな男が連れているのか』と思われているに違いない。
 そういう意味では、ほんの少し優越感はあった。
(これで本当に彼氏彼女の関係になれたら……最高なんだけどなぁ)
 そんなことを思いつつ、僕はまりかさんと一緒にクリスマスの街を歩く。
 目指しているのは、今日のために予約していたレストランだ。
 料理も美味しければ接客も良く、大人の雰囲気抜群だというレストラン。
 ここに一緒に行こうと誘った時、まりかさんは即座に頷いてくれた。
 それだけ考えると、脈がないというわけではないはずなのだけど。
(……こうして寄り添うように歩いても、嫌がっては……いないと思うし)
 手こそ繋いでいないが、距離は普通の友達よりはずっと近い。ほんの少し近付けば腕も組めそうな距離だ。
 きっと受け入れて貰える。
 そう自分を奮い立たせてレストランへの道のりを歩く僕は、道中まりかさんが僕のことを優しく見つめていたことに気付かなかった。


 予約したレストランで極上の料理を堪能した後、食後のお茶が来る前に告白した。
 店員さんには事前に伝えていたし、個室だったので周りの目は気にしなくても良かった。
「ま、まりかさん! しゅ、好きです! 僕と付き合ってください!」
 緊張しすぎて声も震えてしまい、肝心なところを噛むし、情けない告白だったと思うのだけど、まりかさんは喜んで受け入れてくれた。
「ありがとう。やっと告白してくれたね」
「よ、よかった……やっと?」
 安堵しかけた僕は、まりかさんの言葉に目を点にしてしまう。
「うん。本当はずっと前に私から告白しようと思ってたんだ」
「ええ!?」
 思わず大きな声をあげてしまった。つくづく個室にしておいて良かった。
 まりかさんは苦笑気味に微笑む。
「でも水無くんって今時珍しいくらい律儀な人だから、告白は男性の方からするものだって思ってそうで」
 図星だった。
 もしまりかさんから告白されたとしても、喜んで受け入れてはいたと思うけど、自分から告白できなかったことに思うところはあったかもしれない。
(なんてこった……)
 元からわかっていたけど、僕はまりかさんに敵いそうにない。
「こんなに雰囲気のあるレストランに連れてきてもらえるとは思ってなかったけどね。ねえ、水無くん。このシチュエーションはどちらかというとプロポーズじゃない?」
「うっ。いや、確かにやりすぎかな、とは途中で思ったんだけど」
 思えば段取りを伝えた時、店員さんが微妙に苦笑いしていたのはそれが理由だったのだろうか。
 『ここまで来といてまだ付き合う前の段階なのかよ』って内心ツッコミを入れられていたのかもしれない。
 そう考えたら、急に恥ずかしくなってきた。
 顔が赤くなるのがわかる。普段は形すら変えられるのに、こんな時に限ってナノマシンは仕事をしてくれなかった。
 僕のそんな反応を、まりかさんが微笑ましいものを見る目で見ている。
「ふふふ。交際の申し込みでこれなら……結婚の申し込みの時はどんなシチュエーションを準備してくれるのかな。楽しみにしておくよ」
 まりかさんはそんな風に穏やかに僕をからかうのだった。
 本当に僕は一生まりかさんに敵いそうにない。
 決して、悪い気分ではなかったけれど。

 こうして、僕はまりかさんと恋人関係になることが出来たのだった。

 運ばれてきた食後のお茶を飲みながら、まりかさんが問いかけてくる。
「それで……気になっていたんだけど、もう聞いてもいいかな」
 告白の緊張から解き放たれ、ようやく落ち着くことの出来た僕は頷いた。
 まりかさんの目は、部屋の隅に置かれた僕たちの荷物に向いている。
「水無くんが持っていたその荷物……もしかして私へのプレゼントだったりするのかな?」
 期待にか、まりかさんの目が少し光っている。
 彼女らしいといえば、らしい。恐らくそれが『そういうもの』だと見抜かれている。
「あ、うん。そうだよ。僕たちらしく、殺人プレイに関係するものなんだけど」
 マサネさんに相談した時は、これを使ったプレイをしてクリスマスムードを高めてから、みたいなことを考えたけど、告白する前にプレゼントを渡すのは順序が違うかな、と後から思い直し、告白は直球勝負に切り替えたのだ。
 結果としては、良かったと思う。
 なにせ、このプレゼント……プレイ用の道具は、クリスマス気分は高めてくれるけど、ムードを高めてくれるかと言えば、そうではないかもしれないから。

 僕が荷物から取りだしたのは見た目――ただの白い袋だ。

つづく

殺人プレイ『聖殺』 1


 双子ちゃんの突然の来訪から早数ヶ月――僕とまりかさんは相変わらず一緒に生活していた。
 すっかり共同生活にも慣れ、少しずつまりかさんの持ち物も増えていき、気付けばほとんど同棲しているのと変わらない状態になっている。
 僕としては思う存分プレイが出来るし、まりかさんは人形サイズで活動すれば極端に消費を抑えられるから、精神的にも金銭的にも全く問題ないのだけど、違う点がそろそろ心配になってきた。

 つまり、まりかさんはずっとここにいてくれるのか、という話だ。

 僕とまりかさんのいまの関係は、とても曖昧だ。
 家族ではないし、友達、というのも少し違う。
 端的に言えば、同好会の仲間ということになるのだけど、その言葉で括るには僕の中でまりかさんの存在は大きくなりすぎていた。
 つまりどういうことかというと。
(告白、したいなぁ……)
 曖昧な関係性に終止符を打ち、堂々と「自分はまりかさんの恋人だ」と言える存在になりたい。そんな風に思うようになっていた。
 ただ、まりかさん側がどう思ってくれているのかはわからない。
 身体を委ねてくれているのだから、少なくとも嫌われてはいないと思う。殺人プレイの相方として、相応に信頼はされているはず。
 けど、それと僕と同じ気持ちになってくれているかどうかとは、全然別の話だ。
 向こうにしてみれば理想通りに自分を殺してくれる相方、以上の感情を抱いていないかもしれない。
 彼女の気っ風のいい性格はとても気持ちが良く、同好会内だけで考えてもファンが多い。
 まりかさんなら相手に事欠かないだろうし、よりどりみどりだろう。そんな彼女に唯一無二のパートナーに選ばれる自信は、僕には無い。
(誰かに相談したいな)
 情けない話だと自分でも思うが、僕はそう考え、相談候補をあげてみた。出来れば僕のこともまりかさんのことも知っている共通の知り合いが好ましい。
(双子ちゃんは……やめとこう。なんか嫌な予感しかしない)
 盛大にからかわれることは想像に難くない。
(僕の友達はそもそも殺人プレイのことも知らないしなぁ)
 昔ほどの偏見はなくとも、割とマイナーな趣味なので黙っているのだ。無闇に人にいうことではないから、これは間違ってはいない。
(……同好会の会長は……なんか、双子ちゃんと同じ気がする)
 大人の男性だし、真剣に相談に乗ってくれそうではあるけど、根本に双子ちゃんと同じ匂いを感じるのだ。相談したら何年も肴のネタにされそう。
(と、なると……)
 候補はもう何人もおらず、その中でも一番口が硬くて信用できる人に頼ることにした。


「……話はわかったが、俺にそんな話を持ってきたのはお前が初めてだ」
 同好会で用いる様々な道具類を作成している職人のマサネさんは、真面目な顔でそう呟いた。
「ごめんなさい……」
 いま、僕もなんで マサネさんに恋愛話を相談しようと思ったのか自分で自分の頭を抱えているところだ。
 確かに信用は出来るし、口は硬いし、からかってきたりする人ではないのは確かだけど。
 告白するしないの恋愛話を持ちかける相手としてはあまりにもあまりな人だった。
「やっぱりいいです。お騒がせしました!」
 どうしようもなく恥ずかしくなって逃げようとした僕の肩を、マサネさんが掴んで止める。
「まあ待て。まずは落ち着いて茶でも飲め」
 そう言われると逃げ出すのも悪いので、大人しくお茶をごちそうになった。
「お前たちは同好会の中でもレアな特徴を持つふたりだ。そういう意味では、慎重になるのは間違っていないし、同好会の仲間に相談するのも正しい」
「……あー、そう、ですね」
 実はそれもちょっとは思っていた。
 もし告白して失敗したら。逆に成功したとしても、同好会の活動に参加がし辛くなったり、参加が少なくなったら、同好会の損失になる。
 一応色々と販売とかもしている集まりだし。その中でも、確かに僕とまりかさんのプレイは結構な売れ筋みたいだし。詳しくは知らないけど。
「そのあたりも踏まえて言うがな――さっさと想いを伝えてこい」
 ずばりと言われ、思わずお茶を零すところだった。
「え、ちょ、マサネさん!?」
「何を驚いてるんだ? むしろ、それ以外の選択があるのか? 同好会のことなど考えるな。その気になればいくらでも調整は効くし、最悪どちらかが同好会を去ることになったとしても、それは想いを伝えない理由にはならんだろう?」
「う……それは、そうかもですけど……」
「第一な、お前、いまのままなあなあの関係を続けたとして……もし彼女が突然『この人と付き合うことになった』と別の男を連れて来たらどうする? 四六時中一緒にいるわけでもないのだろう?」
 その可能性が、ないとは言えなかった。
 なにせまりかさんだし。ちょっとした外出でもすぐ人と仲良くなっちゃう人だ。
「……そう、ですね。うん! 決めました! まりかさんに想いを伝えます!」
 まりかさんのことを特別に思ってしまっている以上、想いを伝えたい。
 問題は、どう伝えるかなんだけど。
「どう伝えようかな……」
 思わずそう呟くと、マサネさんは本気で呆れた顔をしていた。
「おいおい、お前は暦も見てないのか?」
「え?」
「あるだろう。絶好の日が」
 そう言ってマサネさんが指で示したカレンダー。
 その暦は、十二月を示していた。
「その日に遊びでもなんでもいいから誘ってみろ。それで断られるようならそもそも脈がないということだ」
「な、なるほど……! そして、ムードを高めた上で、想いを伝えれば……!」
 いける、かもしれない。
「どう高めるかは自分で考えるんだな。そこに関してはアドバイスもできん」
「はい! ありがとうございます!」
 その筋道を示してくれただけでも十分ありがたい。
 僕はどうやってまりかさんとのムードを高めるか考えて――ふと、思いついた。
「……マサネさん。もうひとつ相談、いいですか?」
 早速、思いついた内容を さんに相談する。
 準備を万端に整えなければならない。

 その日――クリスマスに向けて。

つづく

ゾンビ一丁あがり! おわり


 作業台の上に女子高生ゾンビを寝かせ、取りつけてある丈夫なベルトで彼女の身体を拘束する。
 両手両足をもいであるとはいえ、芋虫のように這って動くことは出来るし、首は繋げたままにしてあるので、噛みつかれる危険性もあった。俺はまだ平気だが、普通の人間からすると力も強くなっていて、胴体だけで暴れるだけでも危険な存在だ。
 なので、まずはしっかりと拘束する。
 腰、お腹、胸、首、額、とベルトで作業台に固定した。
「ウー……アー……ウー……」
 女子高生ゾンビは呻き声をあげ、暴れようとするが、ここまで拘束すればゾンビの力を持ってしてもどうにもならない。ギシギシと音はするが、彼女の身体はぴくりとも動かなくなった。
 ここまでしてから、ようやく口枷を外す。
 女子高生ゾンビは大きく口を開け、俺に噛みつこうとしているが、首以外全く身体を動かせないので当然失敗していた。
 酸欠に陥った金魚のように、と例えるには歯がガチガチと鳴って物騒だが。
「うーん。ゾンビにしては結構歯並びいいなぁ。ちょっともったいないかも」
 大抵のゾンビは人間を見つけると相手が死ぬまで噛みつくため、歯がボロボロになりがちだ。ゾンビは身体能力が高くなっているとはいえ、骨などに関しては物凄く丈夫になっているわけではない。人に噛みつきまくってる奴の歯並びは歪んでいたりする。
 この女子高生ゾンビは人に噛みついたことがないのか、あるいは少ないらしく、歯がそれなりにまともだった。
「あのプールの中で移動出来ずに孤立していたからか……まあ、俺みたいな物好きでも無い限り近付かないわな」
 歯並びがまともなのに惜しいが、ゾンビ最大の武器をそのままにしていては売り物にならない。上手く顎の機能だけを壊せればいいのだが、俺の技術では上手くいかないのだ。
 俺は女子高生ゾンビが口を開いた瞬間を見計らい、口が開きっぱなしになるように、下顎にベルトを引っかけ、開いたままで固定する。ゾンビの噛む力は強いが、しっかり編まれた革のベルトを噛み千切れるほどじゃない。
 準備を終え、俺は作業台の上に置いておいたペンチを手に取った。
 それを使って、まずは上顎の歯を抜いていく。前歯を挟み、軽く上下左右に揺さぶって歯茎から歯を抜き取った。
 ゾンビは腐さらない。だから別に根元が緩んでいるというわけでもなく、力任せにねじり取っているだけだ。
(相手がゾンビじゃなければ、拷問にもほどがあるよなぁ)
 健康な歯を抜かれる痛みがどれほどのものか俺は知らないし、知る気もないが、さぞかし痛いだろう。俺とて相手がゾンビじゃなければ、こんなことをしようとは思えない。
 まあ、今の相手は女の子とはいえゾンビだから遠慮容赦なく、どんどん歯を抜いていく。抜いた歯は適当にゴミ箱に放る。俺には再利用しようがないし、汚いからだ。
 程なくして、女子高生ゾンビの上半分の歯が全て抜けた。普通の人間がこんな乱暴に歯を抜かれたら出血しまくって大変なことになるが、ゾンビにその心配はない。
 元々血が通っていないからだ。傷口は少々グロテスクなので、処置をする必要がある。俺は加工屋として用意している薬品を取り出した。
 片手で女子高生ゾンビの上唇を捲りながら、歯を抜いた傷口に筆で薬品を塗り込む。その薬品はゾンビの肉体の再生を促すものだった。ゾンビのある内臓を煮込んで作ったものだ。
 その効果は絶大だった。
「なんということでしょう! 歯が抜けたままでグロテスクだった傷口に肉が盛りあがり、まるで最初から傷などなかったかのように塞がってしまったではありませんか!」
 なんて。一昔前に流行ったビフォーとアフターを比較するテレビ番組のナレーションの真似をしつつ、俺は作業を進める。
 独り言が多いのは自覚しているが、こうでもしないと静かすぎて落ち着かないのだ。
 ゾンビ加工業者なんて外道な道を選んだのは俺自身だから自業自得だが、もう少し仲間を増やしやすい仕事にすれば良かったかもしれないとたまに思う。
 ともあれ、そうして女子高生ゾンビの歯を全て抜き、傷跡を薬品で埋め、安全を確保する。これで万が一噛みつかれても、傷つかないから、感染の心配がないというわけだ。
 元々傷ついているところに噛みつかれたらどうなるかは知らない。その辺は一応気をつけているはずだし、俺が感知できることでもなかった。
「どうせ塞いじまうしな」
 歯を抜くと唇とか頬が内側にくぼんでしまって容姿を損ねるのだ。それがいいという趣味の顧客もいないわけじゃないが、基本的にはその対策を取る必要がある。
 俺の作った薬品によって肉が盛りあがり、多少はマシになっているのだが、歯のような固さがないので明らかに不自然に見えてしまう。
 そこで用いるのが、排水溝の栓のような蓋の付いた、丸い形の開口具だ。
 歯のないゾンビ用に改良を施してあって、口にはめ込むと綺麗に顔の形が整う。
 ゾンビが口枷を噛むことによって、盛りあがった肉がその形に歪み、口枷がフィットしてそうそう外れなくもなる。
 きっちり嵌まったことを確認してから、俺は次の作業に移った。
 細かな肌の傷に、さっき口内に使った薬を希釈して塗る。原液のままだと肉が盛りあがるほどの再生力を発揮するが、薄めて使うと肌が綺麗に再生する程度で済む。特に頭部は念入りに、綺麗に修復しなければ価値が下がる。
 額を抑えていたベルトも外し、頭部の調整をしっかり進める。
 髪の毛はしっかり櫛を通し、ヘアオイルを塗って丁寧に整えた。髪の毛の質を気にする顧客は案外多い。髪の纏め方を弄るだけで新鮮な変化が生まれるからだろう。
 この女子高生ゾンビの髪は長すぎず、短すぎずでちょうどいい感じだった。しっかり整えるに越したことはない。
 頭部の調整を丁寧に終えたら、いったん分厚いラバー生地で出来た全頭マスクを被せておく。胴体に施す処置の作業中、暴れられて汚れたり傷ついたりしたら価値が下がってしまうからだ。
 ちなみに全頭マスクとは言ったが、空気穴も何もない黒いゴム袋のようなものなので、ゾンビでない普通の人間が被ろうと思ったら空気穴を開ける必要があるだろう。
「ふぅ……さて。それじゃあ、次は胴体だな」
 小休止を挟んで、次の作業に入った。
 まずは全頭マスクを被せた上から、額を抑えるベルトを再度締める。そのベルトと、首を押さえているベルト以外の、彼女の身体を押さえていたベルトを全ていったん取り外す。
 学校指定の水着に覆われた胴体が自由になった。
 自由になった途端、腹筋と背筋を使って暴れ始めるので、俺は手で女子高生ゾンビの下腹部を抑える必要があった。
 首と額が固定されているとは思えない暴れようだ。
 普通の人間がこんな暴れ方をしたら首の骨にものすごく負担がかかりそうである。というか、首を抑えているベルトが食い込んで窒息してしまうだろう。
 俺は彼女が暴れないように胴体の動きを押さえ込みつつ、女子高生ゾンビが着ている水着を脱がしにかかる。手足がなくなっているとはいえ、脱がすのに協力してくれるわけでもないから、めちゃくちゃ脱がしにくい。
 いっそ破いてしまった方が早いのかもしれないが、この水着はそれなりに価値が付きそうなので、もったいない精神が働いてしまった。
「ふぅ……なんとか脱がせた」
 全裸になった女子高生の身体。
 推測される年齢にしては豊かなバストをしていた。ぴっちりとした水着で抑え込まれていただけで、割と巨乳の部類だ。
 それだけなら性的興奮も出来るが、四肢を失っていて、その切断面を振り回し、頭は全頭マスクに覆われていて真っ黒だし、胴体だけで魚のように跳ね回っている。
 暴れるのに合わせ、柔らかそうな巨乳が揺れていたが、全体を見ると人間とは違う生物のようで、さすがに興奮出来なかった。出来る人間もいそうだが。
 まずは暴れるのをなんとかしなければならない。
 俺は細く鋭いナイフを取り出すと、その女子高生ゾンビのみぞおち付近、異常な力が籠もって盛りあがっている腹筋に対し、垂直に突きたてた。
 ブチブチ、と腹筋が切り裂かれる音が響き、女子高生ゾンビの身体が弓なりに仰け反る。腹筋が千切れたことで、今度は異常発達した背筋が彼女の身体を仰け反らせているのだ。
 すかさず、その弓なりに仰け反って、作業台から離れた背中側にも、ナイフを突き立てた。腹筋と背筋、両方を切り裂かれた女子高生ゾンビは、途端に動きが緩慢になる。 
 一番動かしやすかった部分の筋肉が切断され、いままでほど動けなくなったのだ。
 ナイフを突きたてて空いてしまった皮膚の穴には、先ほど頭部に使った薬品を希釈した状態で塗っておく。そうすれば筋肉は回復しないが、穴の開いた皮膚は塞がる。
 その要領でさらにいくつかの筋肉を切断し、女子高生ゾンビの身体はぴくぴくと痙攣することしか出来なくなった。これで胴体は暴れなくなり、安全だ。
「ふー……あーあ、めんどくさい……」
 ただ身体を動かせないようにいするなら、首の骨や神経を切断するのが一番てっとり早いのだが、それではただの人形と変わらない。
 俺がゾンビ加工業者と呼ばれるのは、こういった細かな加工を施すからだ。
 そして次。切断した彼女の四肢を作業台の上に置く。
 切り取った側の切断面をゾンビ再生薬に漬け、身体側の切断面とくっつける。
 すると、骨や肉が繋がった。手先を掴んで軽く振って見ても、ちゃんとくっついているようで、切断面がずれたり取れたりすることはない。
 だが、神経は再生できないのか、繋がっただけで、動くことはなかった。非常に都合のいい状態だ。理想なら、怪力を失う程度で、ちゃんと動く方が良いのだが、さすがにそこまで繊細な調整はできない。
 その調子で彼女の四肢を全て繋げ、見た目だけは普通の若い娘の身体に戻す。力無く横たわっている様はまさに死体か良く出来た人形という感じだが、ゾンビだけの利点がある。
 俺は力無く開けっぴろげに晒されている彼女の股間に指を突き入れる。すると膣が反応して、ぴくんと収縮するのがわかった。
 ゾンビゆえに、神経が通っているところに触れると、反応するのだ。
 無論その反応はあくまで反射的に起きているシンプルなもので、場合によって緩めたり締めたりする技は期待できないが、ただの穴に突っ込むのと、曲がりなりにも普通の人間と同じ締め付けなどの反応があるのとでは、どちらが気持ちいいかなど言うまでも無い。
 その穴の具合も確認しておく必要がある。
 状況的に無いとは思うが、異物が混入していたら大変だからだ。
 俺は指先にローションを塗り、女子高生ゾンビの膣にもかけ、指を奥に突っ込んで中を調べる。
 ぬるぬるとした感触。幸い膣の中は何の異変もなく、ときおり指先を締め付ける動きも正常だった。
「ん……よしよし。いい感じだな」
 ちゃんと四肢も繋がったし、全身の筋肉をほどよく切断したことで、必要以上に暴れることもなくなった。
 だらりと力無く寝そべっている身体だけを見れば、非常に良い女体である。ここまで加工すれば、屍姦趣味のない俺でもちゃんと興奮出来た。いわば高性能のダッチワイフのようなものだからだ。
 俺は検品と称し、仕上がった女子高生ゾンビをいの一番に味わうことにしている。
 首や頭を抑えていたベルトも取り外し、全頭マスクも取った。
 口枷のみが残された、裸の女子高生がそこにいた。
「ヴー……」
 意味のない呻き声をあげるのは仕方ないとして、俺は女子高生ゾンビを抱えて近くのソファに移動し、そのソファに女子高生ゾンビを寝かせた。
 首の筋肉は切断していないので、首だけを動かして俺に噛みつこうとするのだが、もちろん他の部分が動かないので問題ない。口枷は外していないから、それを押しつけるくらいしかできないのだが。
 俺は自分の服を脱ぎ捨て、膨張してそそり立つペニスを女子高生ゾンビの膣内へと挿入した。検査した時にかけたローションが愛液代わりに滑りを良くし、なかなか気持ちがいい。
「んん……っ、結構名器だな」
 異物を突き込まれた反射で、膣内がよく締まる。その感触だけでもオナホールよりよほど気持ちいい。
 それに思いがけずおっぱいも大きかったから、外見の見た目もいい。これなら、多少ふっかけても売れそうだ。
 俺はしばらく女子高生ゾンビオナホの具合を堪能した後、一発抜いて満足した。
 全身を洗浄したあと、元々着ていた水着を洗って着せて、売りに行こう。
 水着女子高生ゾンビオナホ、なかなかいい値段で売れそうだ。
 俺はとりあえず女子高生ゾンビを壁際に置いてある椅子に座らせる。椅子は背もたれが斜めになっているもので、腹筋と背筋を切断した身体でも座らせておくことができた。
 少し離れたところから見ると、なかなかいい仕上がりだ。血の気がない白い肌も性処理用の人形と思えばなかなか味がある。
 洗浄や梱包などの仕上げはまだあるが、ひとまず完成と言って良いだろう。
「……うしっ、ゾンビ一丁あがり、っと!」
 俺は一区切りついて満足しつつ、次の調達の計画について考えていた。
 この女子高生ゾンビを得た学校のプールに行くか、それともあそこに手を出す者はそういないと判断して、別の場所で優れたゾンビの素材を探しにいくか。
 ゾンビ加工業者としての仕事はまだまだ続くのだ。

 なにせこの世界はゾンビで溢れているのだから。


ゾンビ一丁あがり! おわり

ゾンビ一丁あがり! 3


 拠点としている五階建ての建物に帰ってくると、流石に少しほっとする。
 この建物の最上階には俺の住処があった。エレベーターが使えないが、身体が強化されている自分にとって昇ること自体はそう辛くはない。荷物の搬入には少々不便ではあるが。
 それなのに、なんで最上階に造っているのかというと、生き残っている普通の人間たちに荒らされないようにするためだ。
 ほとんどの人間は「コロニー」と言われる生き残りの集合村から出ようとしないが、物資には限りがあり、そこから溢れた、あるいは何らかの理由でそこから追い出された人間も存在する。そういった奴らが、俺の集めた物資を荒らそうとする可能性があった。
 とはいえ、普通の人間にとってそこらを徘徊するゾンビは脅威なので、建物の上層階なんていう追い詰められやすい場所にはまず脚を踏み入れない。
 もちろん、例外はあるし、俺の痕跡を探って、留守中に入り込まれたりしないわけではないため、警戒は怠れない。
 強化されている俺にとって、普通の人間はゾンビと同程度には容易く殺せる相手だが、ゾンビと違って人間は武器を使うし、知恵もある。
 爆弾やショットガンを持っていたりすれば厄介だ。
 世界がこうなってから、俺は以前の常識では考えられないくらい強くなったが、それでも銃弾を避けれるほどには人間離れしていない。
 警戒用に仕掛けておいたものは何も動いていなかったため、侵入者はなさそうだった。
 荷物を最上階の一部屋に置き、一息吐く。
 念のため生活区画を全て見て回り、誰も潜んでいないことを確認。
 下の階に繋がる階段の防火扉を下ろし、もし万が一誰か来てもすぐ気づけるようにして、帰ってきて行う警戒はすべて終了。
 作業を始める前に、小休止がてらソファに寝転がった。
「あー、疲れた。あそこはいい調達先になりそうだけど……ちょっと遠いな」
 だが、あれだけ質のよく、需要のある性別・年齢のゾンビが大量にいたのだ。利用しない手はない。
 そう、若い女のゾンビには需要が多いのだ。
「全く……化け物なのはどっちかって話だよなぁ……」
 俺は深々と溜息を吐く。同じ人間として、その感覚は完全にわからないわけではない。
 特に男なんて、ペニスを突っ込めるそれっぽい穴があればそれで満足な生き物なのだし、それが元々は本物だったのなら、なおさらだろう。
 違う視点でみれば、生き残りを襲ったりしないでゾンビで満足するのなら、その方が健全というか、利があるという見方も出来なくはない。
「……まあ、俺にはどうでもいいけどな」
 これから俺は『ゾンビ加工業者』として――ゾンビを商品に加工する作業をしなければならないのだから。
 余計な感情移入や迷いはいい仕事の敵だ。
 俺はソファから起き上がり、持って帰ってきた荷物をおいた部屋へと移動する。
 その部屋は、俺が作業部屋と定めた場所だった。作業の際には相応に汚れるので、それをするための部屋はちゃんと決めておく必要があった。
 作業部屋に移動した俺は、持って帰ってきたリュックサックを、部屋の中央の作業台の上に乗せる。
「まずは……と」
 リュックサックの中に詰め込んでおいた、水着女子高生ゾンビの胴体部分を取り出した。
 生前はさぞ溌剌と笑っていたであろう、整った顔立ちのその子は、ゾンビとなったいま、何の感情もその顔に浮かべていない。
「ウー……ムゥー……ウゥー……」
 ただ、ゾンビとしての本能に従って、呻き、蠢き、暴れるだけだ。
 もっとも、四肢をもぎ取られ、口に枷を嵌められた彼女がいくら暴れようとしても、虫のようにうねうねと身体をくねらせることしかできないのだが。
 学校指定の水着姿の彼女。授業中にゾンビになったということは、おそらくバイオハザードが起きた、最初期にゾンビになったということだろう。
「……しっかし、ゾンビウイルスってほんと都合がいいというか……使い方によってはめっちゃ便利なのにな」
 バイオハザードが始まってからそれなりの時間が経過しているが、水着女子高生ゾンビの身体は全く腐敗していなかった。それも、俺が引き上げるまで、ずっとプールの水に浸かっていたはずなのに、だ。
 ゾンビ化すると死んでいるのに身体は腐敗しなくなる。自動的に土に還ることが出来なくなり、永遠に死体を晒し続けることになるのだ。ゾンビ映画とかだと皮膚や目玉が腐って溶けてたりして、悲惨な状態になっていたりするが、このゾンビたちにはその心配はない。
 そういえばずっと放置されていたはずのプールの水も異様に綺麗だった。普通は数ヶ月も放置していれば水は濁ってしまうだろうに。ゾンビになった女子高生たちが浸かっていたのが原因だろうか。
(浸けているものを腐らせないってことは、食料を保存することだって出来るかもな……やらないけども)
 いくらウイルスに耐性があるとはいえ、口に入れるものをゾンビが浸かった液体に漬ける気にはなれない。
 そういうのは、研究者気質の人間がやってくれていることだろう。
(俺はせっかく『使える』んだから、それを存分に活用させてもらうとしよう)
 女子高生ゾンビの需要、つまりはゾンビを屍姦したいという者は多いのだから。
 死者に対する冒涜であるという者もいなくはなかったが、いまはそんなことを気にしている奴から死んでいく世界だ。
 否定よりも需要がある以上、『ゾンビ加工業者』である俺は、彼らの求めに応じてゾンビをそれ用に加工する。
「さて、それじゃあ気合い入れて加工しますかね」

 最初に取り出した工具は――ペンチだった。

つづく

ゾンビ一丁あがり! 2


 ある日、世界はバイオハザードによって崩壊した。

 詳しいことは俺にもよくわかっていない。
 突如ゾンビになってしまった者が現れ、ゲームみたいに特定の地域に抑え込むことも出来ず、世界中がゾンビ化の危機に晒されたのだ。
 映画などの物語のように、ゾンビ化を防ぐワクチンが都合良く開発されるということもなく、世界人口の約九割がゾンビと化してしまった。
 ゾンビウイルスに感染せずに済んでいる一割の人間のうち、大半は早い段階で閉鎖空間に逃げ込んだ者達だ。ある意味真っ当な手段で生き延びている者達だな。
 一方、そうではないごく一部の者――俺のような人間――がどうして感染せずに済んだかというと、身も蓋もない話だが、純粋に体質の問題のようだった。
 運が良かった、という言い方も出来るが、限りなく文明が崩壊した上にゾンビで溢れる世界で生きなければならなくなったのだから、幸運か不運かは微妙なラインだ。
 ちなみに、ゾンビは普通に人間を襲ってくる。俺たち抗体のある人間はゾンビにこそならないが、ゾンビに噛まれれば普通に怪我をする。
 ゾンビになったからといって極端に身体能力が向上することはなく、基本的には元の人間のままなのが救いだった。もし化け物みたく力が強くなったり、動きが速くなったりしていたら、抗体を持っている俺たちもゾンビの数に為す術もなく、生きたまま食い殺されていたところだ。
 そして、抗体を持つ者たちにとっては都合のいいことに、ゾンビ化ウイルスは俺たちの身体を強化してくれていた。
 俺はゾンビ化ウイルスが溢れるまで極普通の成人男性であり、それほど身体を鍛えている方ではなかった。少なくとも、人間を一人分背負って動き回れるほどの体力は無かったはずだ。
 けれど、ゾンビ化ウイルスが世界に溢れるようになってから、俺の身体は物凄く強くなった。人間一人分の荷物を担いで移動するのも容易いほどに。
 ゾンビに成りはててしまった者達には悪いが、この辺はゾンビ化ウイルス様々といったところだ。
 俺みたいにゾンビ化せずに身体能力が向上した人間は、場所によっては「ヒーロー」だなんて呼ばれ、ゾンビからまだゾンビ化していない人々を守っているらしい。
 らしい、というのは俺は「ヒーロー」なんて呼ばれ方をされていないからだ。

 俺は普通の人間達から「ゾンビ加工業者」などと呼ばれている。

 ゾンビが溢れるようになり、人間の生産力は著しく低下した。
 廃墟と化した街から使える物資を得るのは当然の流れだが、人間という奴はどこまでも逞しい。使えるものはなんでも使えといえば、聞こえはいいが。
 世界がこうなってから溢れるほどに得られるようになったもの――ゾンビをも利用したいという人間が、俺に依頼を出してきたのだ。

 なるべく美しく、あるいは可愛らしい女のゾンビを、捕獲してきて欲しいと。

つづく

ゾンビ一丁あがり! 1


 こちらに向け、助けを求めるように伸ばしてきた両腕を、まずは切断する。

 下から上へ日本刀を振り、その白く細い柔腕を、肘の上辺りで切り飛ばす。
「う゛ぁ――」
 悲鳴のような、そうでないような。
 不明瞭な呻き声には耳を貸さず、今度は太ももを狙って刃を振るう。実にみずみずしい太ももだ。好きな人には溜まらないだろう。残念ながら目立つ位置に細かな傷はあるが、どうせ一度は切ってしまうのだから、問題は無い。あとで直せばいいのだ。
 俺の振るう日本刀は普通の日本刀ではなく、最新科学の粋を集めて作られたものだ。たとえ人間の太ももという、切りづらいものであろうと、やすやすと両断することが出来る。
 脚に支えられていた「それ」の胴体が地面にべちゃりと倒れ込む。もろに顔面から倒れ込んだから、傷がついていないか心配になった。
(うーん。もう少しやり方を考えた方がいいな……試行錯誤しなきゃ)
 折角綺麗なものを選んでも、捕獲する段階で傷がついてしまっては元も子もない。考えなければならないことは多かった。
 両手両足を失った「それ」は、それでもなおこちらに向け、這ってでも進んでこようとしている。幸い、地面に打ち付けた顔に傷はついていないようだ。
 俯せになっているそれの背中を踏みつけ、壊してしまわないように注意しながら、その口に枷を噛ませる。
 そいつの髪はその年頃にしては短い方だったので、巻きこむことをそれほど警戒する必要もなく、後頭部でベルトをきっちり締めることが出来た。
「……ふぅ。一体捕獲完了、と。うん。割と状態もいいし、これは高く売れるぞぉ」
 俺はどれほどの売値になるか期待しつつ、「それ」を背負っていた空のリュックサックの中にお尻が底に突くように納めていく。
 それでもなお暴れていたが、胴体だけの状態ではそれほど大きな挙動は取れない。
 リュックサックの蓋を閉め、外から太く丈夫なベルトで締め上げていくと、小さく蠢くだけの荷物になった。
 切り落とした両手と両足もきちんと回収する。四つ纏めて縄で縛り、リュックサックの脇にぶら下げた。
「さあて、撤収撤収~。ここはまた来てもいいなぁ」
 他のハンターに目を付けられなければいいのだが。
 俺が次に来る時まで、ここが見つからないことを祈りつつ、そこを後にした。
 すぐ傍にあるプールの中には、まだ何匹かの「それ」がいて、俺を追いかけようとしていたが、水の中からあがれないらしく、それこそ中途半端な行動ルーチンを組まれたゲーム内の「それ」のようだった。
 俺はその「それら」――ゾンビと貸した水着姿の女子高生たちの群れを置いて、その場を去る。

 そのうちの一体を「商品」として、リュックサックに背負いながら。

つづく

2018年、ご愛読ありがとうございました!

来年、2019年はより多くの執筆活動に尽力しますよ~^w^
各ジャンルで途中になってる作品は多いので……ひとつひとつがんばります!

それでは皆様、良いお年を!
また来年お会いしましょう!
[ 2018/12/31 23:35 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

殺人プレイ『組殺』

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