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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

ゾンビ一丁あがり! おわり


 作業台の上に女子高生ゾンビを寝かせ、取りつけてある丈夫なベルトで彼女の身体を拘束する。
 両手両足をもいであるとはいえ、芋虫のように這って動くことは出来るし、首は繋げたままにしてあるので、噛みつかれる危険性もあった。俺はまだ平気だが、普通の人間からすると力も強くなっていて、胴体だけで暴れるだけでも危険な存在だ。
 なので、まずはしっかりと拘束する。
 腰、お腹、胸、首、額、とベルトで作業台に固定した。
「ウー……アー……ウー……」
 女子高生ゾンビは呻き声をあげ、暴れようとするが、ここまで拘束すればゾンビの力を持ってしてもどうにもならない。ギシギシと音はするが、彼女の身体はぴくりとも動かなくなった。
 ここまでしてから、ようやく口枷を外す。
 女子高生ゾンビは大きく口を開け、俺に噛みつこうとしているが、首以外全く身体を動かせないので当然失敗していた。
 酸欠に陥った金魚のように、と例えるには歯がガチガチと鳴って物騒だが。
「うーん。ゾンビにしては結構歯並びいいなぁ。ちょっともったいないかも」
 大抵のゾンビは人間を見つけると相手が死ぬまで噛みつくため、歯がボロボロになりがちだ。ゾンビは身体能力が高くなっているとはいえ、骨などに関しては物凄く丈夫になっているわけではない。人に噛みつきまくってる奴の歯並びは歪んでいたりする。
 この女子高生ゾンビは人に噛みついたことがないのか、あるいは少ないらしく、歯がそれなりにまともだった。
「あのプールの中で移動出来ずに孤立していたからか……まあ、俺みたいな物好きでも無い限り近付かないわな」
 歯並びがまともなのに惜しいが、ゾンビ最大の武器をそのままにしていては売り物にならない。上手く顎の機能だけを壊せればいいのだが、俺の技術では上手くいかないのだ。
 俺は女子高生ゾンビが口を開いた瞬間を見計らい、口が開きっぱなしになるように、下顎にベルトを引っかけ、開いたままで固定する。ゾンビの噛む力は強いが、しっかり編まれた革のベルトを噛み千切れるほどじゃない。
 準備を終え、俺は作業台の上に置いておいたペンチを手に取った。
 それを使って、まずは上顎の歯を抜いていく。前歯を挟み、軽く上下左右に揺さぶって歯茎から歯を抜き取った。
 ゾンビは腐さらない。だから別に根元が緩んでいるというわけでもなく、力任せにねじり取っているだけだ。
(相手がゾンビじゃなければ、拷問にもほどがあるよなぁ)
 健康な歯を抜かれる痛みがどれほどのものか俺は知らないし、知る気もないが、さぞかし痛いだろう。俺とて相手がゾンビじゃなければ、こんなことをしようとは思えない。
 まあ、今の相手は女の子とはいえゾンビだから遠慮容赦なく、どんどん歯を抜いていく。抜いた歯は適当にゴミ箱に放る。俺には再利用しようがないし、汚いからだ。
 程なくして、女子高生ゾンビの上半分の歯が全て抜けた。普通の人間がこんな乱暴に歯を抜かれたら出血しまくって大変なことになるが、ゾンビにその心配はない。
 元々血が通っていないからだ。傷口は少々グロテスクなので、処置をする必要がある。俺は加工屋として用意している薬品を取り出した。
 片手で女子高生ゾンビの上唇を捲りながら、歯を抜いた傷口に筆で薬品を塗り込む。その薬品はゾンビの肉体の再生を促すものだった。ゾンビのある内臓を煮込んで作ったものだ。
 その効果は絶大だった。
「なんということでしょう! 歯が抜けたままでグロテスクだった傷口に肉が盛りあがり、まるで最初から傷などなかったかのように塞がってしまったではありませんか!」
 なんて。一昔前に流行ったビフォーとアフターを比較するテレビ番組のナレーションの真似をしつつ、俺は作業を進める。
 独り言が多いのは自覚しているが、こうでもしないと静かすぎて落ち着かないのだ。
 ゾンビ加工業者なんて外道な道を選んだのは俺自身だから自業自得だが、もう少し仲間を増やしやすい仕事にすれば良かったかもしれないとたまに思う。
 ともあれ、そうして女子高生ゾンビの歯を全て抜き、傷跡を薬品で埋め、安全を確保する。これで万が一噛みつかれても、傷つかないから、感染の心配がないというわけだ。
 元々傷ついているところに噛みつかれたらどうなるかは知らない。その辺は一応気をつけているはずだし、俺が感知できることでもなかった。
「どうせ塞いじまうしな」
 歯を抜くと唇とか頬が内側にくぼんでしまって容姿を損ねるのだ。それがいいという趣味の顧客もいないわけじゃないが、基本的にはその対策を取る必要がある。
 俺の作った薬品によって肉が盛りあがり、多少はマシになっているのだが、歯のような固さがないので明らかに不自然に見えてしまう。
 そこで用いるのが、排水溝の栓のような蓋の付いた、丸い形の開口具だ。
 歯のないゾンビ用に改良を施してあって、口にはめ込むと綺麗に顔の形が整う。
 ゾンビが口枷を噛むことによって、盛りあがった肉がその形に歪み、口枷がフィットしてそうそう外れなくもなる。
 きっちり嵌まったことを確認してから、俺は次の作業に移った。
 細かな肌の傷に、さっき口内に使った薬を希釈して塗る。原液のままだと肉が盛りあがるほどの再生力を発揮するが、薄めて使うと肌が綺麗に再生する程度で済む。特に頭部は念入りに、綺麗に修復しなければ価値が下がる。
 額を抑えていたベルトも外し、頭部の調整をしっかり進める。
 髪の毛はしっかり櫛を通し、ヘアオイルを塗って丁寧に整えた。髪の毛の質を気にする顧客は案外多い。髪の纏め方を弄るだけで新鮮な変化が生まれるからだろう。
 この女子高生ゾンビの髪は長すぎず、短すぎずでちょうどいい感じだった。しっかり整えるに越したことはない。
 頭部の調整を丁寧に終えたら、いったん分厚いラバー生地で出来た全頭マスクを被せておく。胴体に施す処置の作業中、暴れられて汚れたり傷ついたりしたら価値が下がってしまうからだ。
 ちなみに全頭マスクとは言ったが、空気穴も何もない黒いゴム袋のようなものなので、ゾンビでない普通の人間が被ろうと思ったら空気穴を開ける必要があるだろう。
「ふぅ……さて。それじゃあ、次は胴体だな」
 小休止を挟んで、次の作業に入った。
 まずは全頭マスクを被せた上から、額を抑えるベルトを再度締める。そのベルトと、首を押さえているベルト以外の、彼女の身体を押さえていたベルトを全ていったん取り外す。
 学校指定の水着に覆われた胴体が自由になった。
 自由になった途端、腹筋と背筋を使って暴れ始めるので、俺は手で女子高生ゾンビの下腹部を抑える必要があった。
 首と額が固定されているとは思えない暴れようだ。
 普通の人間がこんな暴れ方をしたら首の骨にものすごく負担がかかりそうである。というか、首を抑えているベルトが食い込んで窒息してしまうだろう。
 俺は彼女が暴れないように胴体の動きを押さえ込みつつ、女子高生ゾンビが着ている水着を脱がしにかかる。手足がなくなっているとはいえ、脱がすのに協力してくれるわけでもないから、めちゃくちゃ脱がしにくい。
 いっそ破いてしまった方が早いのかもしれないが、この水着はそれなりに価値が付きそうなので、もったいない精神が働いてしまった。
「ふぅ……なんとか脱がせた」
 全裸になった女子高生の身体。
 推測される年齢にしては豊かなバストをしていた。ぴっちりとした水着で抑え込まれていただけで、割と巨乳の部類だ。
 それだけなら性的興奮も出来るが、四肢を失っていて、その切断面を振り回し、頭は全頭マスクに覆われていて真っ黒だし、胴体だけで魚のように跳ね回っている。
 暴れるのに合わせ、柔らかそうな巨乳が揺れていたが、全体を見ると人間とは違う生物のようで、さすがに興奮出来なかった。出来る人間もいそうだが。
 まずは暴れるのをなんとかしなければならない。
 俺は細く鋭いナイフを取り出すと、その女子高生ゾンビのみぞおち付近、異常な力が籠もって盛りあがっている腹筋に対し、垂直に突きたてた。
 ブチブチ、と腹筋が切り裂かれる音が響き、女子高生ゾンビの身体が弓なりに仰け反る。腹筋が千切れたことで、今度は異常発達した背筋が彼女の身体を仰け反らせているのだ。
 すかさず、その弓なりに仰け反って、作業台から離れた背中側にも、ナイフを突き立てた。腹筋と背筋、両方を切り裂かれた女子高生ゾンビは、途端に動きが緩慢になる。 
 一番動かしやすかった部分の筋肉が切断され、いままでほど動けなくなったのだ。
 ナイフを突きたてて空いてしまった皮膚の穴には、先ほど頭部に使った薬品を希釈した状態で塗っておく。そうすれば筋肉は回復しないが、穴の開いた皮膚は塞がる。
 その要領でさらにいくつかの筋肉を切断し、女子高生ゾンビの身体はぴくぴくと痙攣することしか出来なくなった。これで胴体は暴れなくなり、安全だ。
「ふー……あーあ、めんどくさい……」
 ただ身体を動かせないようにいするなら、首の骨や神経を切断するのが一番てっとり早いのだが、それではただの人形と変わらない。
 俺がゾンビ加工業者と呼ばれるのは、こういった細かな加工を施すからだ。
 そして次。切断した彼女の四肢を作業台の上に置く。
 切り取った側の切断面をゾンビ再生薬に漬け、身体側の切断面とくっつける。
 すると、骨や肉が繋がった。手先を掴んで軽く振って見ても、ちゃんとくっついているようで、切断面がずれたり取れたりすることはない。
 だが、神経は再生できないのか、繋がっただけで、動くことはなかった。非常に都合のいい状態だ。理想なら、怪力を失う程度で、ちゃんと動く方が良いのだが、さすがにそこまで繊細な調整はできない。
 その調子で彼女の四肢を全て繋げ、見た目だけは普通の若い娘の身体に戻す。力無く横たわっている様はまさに死体か良く出来た人形という感じだが、ゾンビだけの利点がある。
 俺は力無く開けっぴろげに晒されている彼女の股間に指を突き入れる。すると膣が反応して、ぴくんと収縮するのがわかった。
 ゾンビゆえに、神経が通っているところに触れると、反応するのだ。
 無論その反応はあくまで反射的に起きているシンプルなもので、場合によって緩めたり締めたりする技は期待できないが、ただの穴に突っ込むのと、曲がりなりにも普通の人間と同じ締め付けなどの反応があるのとでは、どちらが気持ちいいかなど言うまでも無い。
 その穴の具合も確認しておく必要がある。
 状況的に無いとは思うが、異物が混入していたら大変だからだ。
 俺は指先にローションを塗り、女子高生ゾンビの膣にもかけ、指を奥に突っ込んで中を調べる。
 ぬるぬるとした感触。幸い膣の中は何の異変もなく、ときおり指先を締め付ける動きも正常だった。
「ん……よしよし。いい感じだな」
 ちゃんと四肢も繋がったし、全身の筋肉をほどよく切断したことで、必要以上に暴れることもなくなった。
 だらりと力無く寝そべっている身体だけを見れば、非常に良い女体である。ここまで加工すれば、屍姦趣味のない俺でもちゃんと興奮出来た。いわば高性能のダッチワイフのようなものだからだ。
 俺は検品と称し、仕上がった女子高生ゾンビをいの一番に味わうことにしている。
 首や頭を抑えていたベルトも取り外し、全頭マスクも取った。
 口枷のみが残された、裸の女子高生がそこにいた。
「ヴー……」
 意味のない呻き声をあげるのは仕方ないとして、俺は女子高生ゾンビを抱えて近くのソファに移動し、そのソファに女子高生ゾンビを寝かせた。
 首の筋肉は切断していないので、首だけを動かして俺に噛みつこうとするのだが、もちろん他の部分が動かないので問題ない。口枷は外していないから、それを押しつけるくらいしかできないのだが。
 俺は自分の服を脱ぎ捨て、膨張してそそり立つペニスを女子高生ゾンビの膣内へと挿入した。検査した時にかけたローションが愛液代わりに滑りを良くし、なかなか気持ちがいい。
「んん……っ、結構名器だな」
 異物を突き込まれた反射で、膣内がよく締まる。その感触だけでもオナホールよりよほど気持ちいい。
 それに思いがけずおっぱいも大きかったから、外見の見た目もいい。これなら、多少ふっかけても売れそうだ。
 俺はしばらく女子高生ゾンビオナホの具合を堪能した後、一発抜いて満足した。
 全身を洗浄したあと、元々着ていた水着を洗って着せて、売りに行こう。
 水着女子高生ゾンビオナホ、なかなかいい値段で売れそうだ。
 俺はとりあえず女子高生ゾンビを壁際に置いてある椅子に座らせる。椅子は背もたれが斜めになっているもので、腹筋と背筋を切断した身体でも座らせておくことができた。
 少し離れたところから見ると、なかなかいい仕上がりだ。血の気がない白い肌も性処理用の人形と思えばなかなか味がある。
 洗浄や梱包などの仕上げはまだあるが、ひとまず完成と言って良いだろう。
「……うしっ、ゾンビ一丁あがり、っと!」
 俺は一区切りついて満足しつつ、次の調達の計画について考えていた。
 この女子高生ゾンビを得た学校のプールに行くか、それともあそこに手を出す者はそういないと判断して、別の場所で優れたゾンビの素材を探しにいくか。
 ゾンビ加工業者としての仕事はまだまだ続くのだ。

 なにせこの世界はゾンビで溢れているのだから。


ゾンビ一丁あがり! おわり

ゾンビ一丁あがり! 3


 拠点としている五階建ての建物に帰ってくると、流石に少しほっとする。
 この建物の最上階には俺の住処があった。エレベーターが使えないが、身体が強化されている自分にとって昇ること自体はそう辛くはない。荷物の搬入には少々不便ではあるが。
 それなのに、なんで最上階に造っているのかというと、生き残っている普通の人間たちに荒らされないようにするためだ。
 ほとんどの人間は「コロニー」と言われる生き残りの集合村から出ようとしないが、物資には限りがあり、そこから溢れた、あるいは何らかの理由でそこから追い出された人間も存在する。そういった奴らが、俺の集めた物資を荒らそうとする可能性があった。
 とはいえ、普通の人間にとってそこらを徘徊するゾンビは脅威なので、建物の上層階なんていう追い詰められやすい場所にはまず脚を踏み入れない。
 もちろん、例外はあるし、俺の痕跡を探って、留守中に入り込まれたりしないわけではないため、警戒は怠れない。
 強化されている俺にとって、普通の人間はゾンビと同程度には容易く殺せる相手だが、ゾンビと違って人間は武器を使うし、知恵もある。
 爆弾やショットガンを持っていたりすれば厄介だ。
 世界がこうなってから、俺は以前の常識では考えられないくらい強くなったが、それでも銃弾を避けれるほどには人間離れしていない。
 警戒用に仕掛けておいたものは何も動いていなかったため、侵入者はなさそうだった。
 荷物を最上階の一部屋に置き、一息吐く。
 念のため生活区画を全て見て回り、誰も潜んでいないことを確認。
 下の階に繋がる階段の防火扉を下ろし、もし万が一誰か来てもすぐ気づけるようにして、帰ってきて行う警戒はすべて終了。
 作業を始める前に、小休止がてらソファに寝転がった。
「あー、疲れた。あそこはいい調達先になりそうだけど……ちょっと遠いな」
 だが、あれだけ質のよく、需要のある性別・年齢のゾンビが大量にいたのだ。利用しない手はない。
 そう、若い女のゾンビには需要が多いのだ。
「全く……化け物なのはどっちかって話だよなぁ……」
 俺は深々と溜息を吐く。同じ人間として、その感覚は完全にわからないわけではない。
 特に男なんて、ペニスを突っ込めるそれっぽい穴があればそれで満足な生き物なのだし、それが元々は本物だったのなら、なおさらだろう。
 違う視点でみれば、生き残りを襲ったりしないでゾンビで満足するのなら、その方が健全というか、利があるという見方も出来なくはない。
「……まあ、俺にはどうでもいいけどな」
 これから俺は『ゾンビ加工業者』として――ゾンビを商品に加工する作業をしなければならないのだから。
 余計な感情移入や迷いはいい仕事の敵だ。
 俺はソファから起き上がり、持って帰ってきた荷物をおいた部屋へと移動する。
 その部屋は、俺が作業部屋と定めた場所だった。作業の際には相応に汚れるので、それをするための部屋はちゃんと決めておく必要があった。
 作業部屋に移動した俺は、持って帰ってきたリュックサックを、部屋の中央の作業台の上に乗せる。
「まずは……と」
 リュックサックの中に詰め込んでおいた、水着女子高生ゾンビの胴体部分を取り出した。
 生前はさぞ溌剌と笑っていたであろう、整った顔立ちのその子は、ゾンビとなったいま、何の感情もその顔に浮かべていない。
「ウー……ムゥー……ウゥー……」
 ただ、ゾンビとしての本能に従って、呻き、蠢き、暴れるだけだ。
 もっとも、四肢をもぎ取られ、口に枷を嵌められた彼女がいくら暴れようとしても、虫のようにうねうねと身体をくねらせることしかできないのだが。
 学校指定の水着姿の彼女。授業中にゾンビになったということは、おそらくバイオハザードが起きた、最初期にゾンビになったということだろう。
「……しっかし、ゾンビウイルスってほんと都合がいいというか……使い方によってはめっちゃ便利なのにな」
 バイオハザードが始まってからそれなりの時間が経過しているが、水着女子高生ゾンビの身体は全く腐敗していなかった。それも、俺が引き上げるまで、ずっとプールの水に浸かっていたはずなのに、だ。
 ゾンビ化すると死んでいるのに身体は腐敗しなくなる。自動的に土に還ることが出来なくなり、永遠に死体を晒し続けることになるのだ。ゾンビ映画とかだと皮膚や目玉が腐って溶けてたりして、悲惨な状態になっていたりするが、このゾンビたちにはその心配はない。
 そういえばずっと放置されていたはずのプールの水も異様に綺麗だった。普通は数ヶ月も放置していれば水は濁ってしまうだろうに。ゾンビになった女子高生たちが浸かっていたのが原因だろうか。
(浸けているものを腐らせないってことは、食料を保存することだって出来るかもな……やらないけども)
 いくらウイルスに耐性があるとはいえ、口に入れるものをゾンビが浸かった液体に漬ける気にはなれない。
 そういうのは、研究者気質の人間がやってくれていることだろう。
(俺はせっかく『使える』んだから、それを存分に活用させてもらうとしよう)
 女子高生ゾンビの需要、つまりはゾンビを屍姦したいという者は多いのだから。
 死者に対する冒涜であるという者もいなくはなかったが、いまはそんなことを気にしている奴から死んでいく世界だ。
 否定よりも需要がある以上、『ゾンビ加工業者』である俺は、彼らの求めに応じてゾンビをそれ用に加工する。
「さて、それじゃあ気合い入れて加工しますかね」

 最初に取り出した工具は――ペンチだった。

つづく

ゾンビ一丁あがり! 2


 ある日、世界はバイオハザードによって崩壊した。

 詳しいことは俺にもよくわかっていない。
 突如ゾンビになってしまった者が現れ、ゲームみたいに特定の地域に抑え込むことも出来ず、世界中がゾンビ化の危機に晒されたのだ。
 映画などの物語のように、ゾンビ化を防ぐワクチンが都合良く開発されるということもなく、世界人口の約九割がゾンビと化してしまった。
 ゾンビウイルスに感染せずに済んでいる一割の人間のうち、大半は早い段階で閉鎖空間に逃げ込んだ者達だ。ある意味真っ当な手段で生き延びている者達だな。
 一方、そうではないごく一部の者――俺のような人間――がどうして感染せずに済んだかというと、身も蓋もない話だが、純粋に体質の問題のようだった。
 運が良かった、という言い方も出来るが、限りなく文明が崩壊した上にゾンビで溢れる世界で生きなければならなくなったのだから、幸運か不運かは微妙なラインだ。
 ちなみに、ゾンビは普通に人間を襲ってくる。俺たち抗体のある人間はゾンビにこそならないが、ゾンビに噛まれれば普通に怪我をする。
 ゾンビになったからといって極端に身体能力が向上することはなく、基本的には元の人間のままなのが救いだった。もし化け物みたく力が強くなったり、動きが速くなったりしていたら、抗体を持っている俺たちもゾンビの数に為す術もなく、生きたまま食い殺されていたところだ。
 そして、抗体を持つ者たちにとっては都合のいいことに、ゾンビ化ウイルスは俺たちの身体を強化してくれていた。
 俺はゾンビ化ウイルスが溢れるまで極普通の成人男性であり、それほど身体を鍛えている方ではなかった。少なくとも、人間を一人分背負って動き回れるほどの体力は無かったはずだ。
 けれど、ゾンビ化ウイルスが世界に溢れるようになってから、俺の身体は物凄く強くなった。人間一人分の荷物を担いで移動するのも容易いほどに。
 ゾンビに成りはててしまった者達には悪いが、この辺はゾンビ化ウイルス様々といったところだ。
 俺みたいにゾンビ化せずに身体能力が向上した人間は、場所によっては「ヒーロー」だなんて呼ばれ、ゾンビからまだゾンビ化していない人々を守っているらしい。
 らしい、というのは俺は「ヒーロー」なんて呼ばれ方をされていないからだ。

 俺は普通の人間達から「ゾンビ加工業者」などと呼ばれている。

 ゾンビが溢れるようになり、人間の生産力は著しく低下した。
 廃墟と化した街から使える物資を得るのは当然の流れだが、人間という奴はどこまでも逞しい。使えるものはなんでも使えといえば、聞こえはいいが。
 世界がこうなってから溢れるほどに得られるようになったもの――ゾンビをも利用したいという人間が、俺に依頼を出してきたのだ。

 なるべく美しく、あるいは可愛らしい女のゾンビを、捕獲してきて欲しいと。

つづく

ゾンビ一丁あがり! 1


 こちらに向け、助けを求めるように伸ばしてきた両腕を、まずは切断する。

 下から上へ日本刀を振り、その白く細い柔腕を、肘の上辺りで切り飛ばす。
「う゛ぁ――」
 悲鳴のような、そうでないような。
 不明瞭な呻き声には耳を貸さず、今度は太ももを狙って刃を振るう。実にみずみずしい太ももだ。好きな人には溜まらないだろう。残念ながら目立つ位置に細かな傷はあるが、どうせ一度は切ってしまうのだから、問題は無い。あとで直せばいいのだ。
 俺の振るう日本刀は普通の日本刀ではなく、最新科学の粋を集めて作られたものだ。たとえ人間の太ももという、切りづらいものであろうと、やすやすと両断することが出来る。
 脚に支えられていた「それ」の胴体が地面にべちゃりと倒れ込む。もろに顔面から倒れ込んだから、傷がついていないか心配になった。
(うーん。もう少しやり方を考えた方がいいな……試行錯誤しなきゃ)
 折角綺麗なものを選んでも、捕獲する段階で傷がついてしまっては元も子もない。考えなければならないことは多かった。
 両手両足を失った「それ」は、それでもなおこちらに向け、這ってでも進んでこようとしている。幸い、地面に打ち付けた顔に傷はついていないようだ。
 俯せになっているそれの背中を踏みつけ、壊してしまわないように注意しながら、その口に枷を噛ませる。
 そいつの髪はその年頃にしては短い方だったので、巻きこむことをそれほど警戒する必要もなく、後頭部でベルトをきっちり締めることが出来た。
「……ふぅ。一体捕獲完了、と。うん。割と状態もいいし、これは高く売れるぞぉ」
 俺はどれほどの売値になるか期待しつつ、「それ」を背負っていた空のリュックサックの中にお尻が底に突くように納めていく。
 それでもなお暴れていたが、胴体だけの状態ではそれほど大きな挙動は取れない。
 リュックサックの蓋を閉め、外から太く丈夫なベルトで締め上げていくと、小さく蠢くだけの荷物になった。
 切り落とした両手と両足もきちんと回収する。四つ纏めて縄で縛り、リュックサックの脇にぶら下げた。
「さあて、撤収撤収~。ここはまた来てもいいなぁ」
 他のハンターに目を付けられなければいいのだが。
 俺が次に来る時まで、ここが見つからないことを祈りつつ、そこを後にした。
 すぐ傍にあるプールの中には、まだ何匹かの「それ」がいて、俺を追いかけようとしていたが、水の中からあがれないらしく、それこそ中途半端な行動ルーチンを組まれたゲーム内の「それ」のようだった。
 俺はその「それら」――ゾンビと貸した水着姿の女子高生たちの群れを置いて、その場を去る。

 そのうちの一体を「商品」として、リュックサックに背負いながら。

つづく

2018年、ご愛読ありがとうございました!

来年、2019年はより多くの執筆活動に尽力しますよ~^w^
各ジャンルで途中になってる作品は多いので……ひとつひとつがんばります!

それでは皆様、良いお年を!
また来年お会いしましょう!
[ 2018/12/31 23:35 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

殺人プレイ『組殺』

双子ならではの殺し方とは(※誇張表現があります)。
続きを読むからどうぞ。

10月に書きすすめようとしている作品たち(※あくまで備忘録です)

黄昏睡蓮で途中になっている作品の一覧です。

・殺人プレイの続編(双子を送り返す方法とは……)10/18:書き終りました
[ 2018/10/01 18:32 ] 連絡 | TB(0) | CM(0)

お嬢様は『漬け込まれる』のがお好き おわり

 つり下げられたお嬢様は、タレによって変質した肌の色も相成って、吊された肉としか見えない状態だった。
 体表面に付着していたタレはほぼ落としたはずだが、内部の隙間から零れだしているのか、いまだにタレはお嬢様の足先から滴ってプールに落ちている。
「このままだと処理室に運べないんで……」
 ミラノがお嬢様の股間を広げていたクスコを取り外す。そして、広がっていた膣に押し込むように、鉄球のようなものを押し込んだ。膣内に残っているタレが外にあふれ出さないようにする処置だ。同様に、お嬢様の肛門からポンプ兼アナル栓となっていたものも抜き取り、鉄球を押し込む。
 膣内と肛門に入れられた鉄球は、磁力を持っているのか、お嬢様の肉越しにも張り付いていた。つまり、二つの玉はその力によって自重で抜け落ちなくなったのだ。
 さらにミラノはお嬢様の身体に耳栓と鼻栓を取り付ける。それによってお嬢様の身体の中からタレが零れ出すことはなくなった。
 新しいタオルで入念にお嬢様の身体を拭き、タレが零れないようにしてから、念には念をとばかりに透明のビニール袋が用意される。
 吊されたお嬢様の足先からビニール袋が被せられ、お嬢様を天井から吊している口枷よりも上で袋の口が閉じられた。
 そこで要約お嬢様の身体が床に降ろされ、台車の上に載せられる。
「よし、それじゃあ運ぶっすよー。……この台車、めっちゃ静かっすね」
 移動初めてすぐ、ほとんどガタつかない台車の動きを感じ、ミラノが呟く。
 礼司にしてみればそれは当たり前だった。
「この館で運ぶのはお嬢様の肉なんだ。ガタガタ揺れるような粗悪品の台車に乗せられるわけないだろう。別に安価な肉を軽んじるわけじゃないが、それと同じ認識でお嬢様の肉を扱われると困るぞ」
 肉には肉ごとによって扱い方が異なる。安価かつ大量生産を目的とする肉と、質に拘った少数生産の肉では扱いが異なって当然なのだ。
「……そうだったっすね。いやー、すみません。どうにも高級食材は扱ったことがないもんで」
「今後、たびたび呼ぶことになるだろうからな。その辺、切り替えて対応してくれよ」
 そんなことを話しながら、処理室へとふたりはたどり着く。
 そこには人間一人を丸焼きに出来る特別なオーブンが用意されていた。じっくりと時間をかけて焼くもので、焼き肉というよりは蒸し焼きに近い。
「タレに十分味がついてるから、特に下処理は要らないと思うっす。……というか、元々下処理を省略するための漬けタレっすし」
「ああ。タレの味を考えても、下手に果物を添えると味がばらつきそうだしな。ひとまず今回はそのまま焼いてみよう。次回以降はお嬢様専用の漬けタレを作ってもいいかもしれないが……それはまたお嬢様と相談だな」
 ふたりは運んできたお嬢様の肉をオーブン内に吊す。口枷の代わりにお嬢様の身体を支えるのは、鉄製のフックだ。先ほどまでは万が一外れて落下したら困るのでしっかり固定出来る口枷を使用していたが、ここまでくればあとは吊して焼くだけなのでフックで十分というわけだ。
 喉の奥、鼻の穴に通じる辺りにフックの先端が潜り込み、抜けないようにしっかりと刺し貫かれる。
「よし、あとはこれで数時間焼いていくぞ」
 礼司が大きなオーブンの扉を閉め、さっそく加熱を開始する。
 ジジジ、とじっくりと肉の焼ける音がして、タレのいい匂いがし始めた。
 タレは浸透力を強化した特別製のものだが、一端熱を通せば普通のタレと変わらないものとなる。
「中々いい匂いでしょ?」
「ああ。ただ、お嬢様の肉は味がしっかりしているからな……タレとの衝突がどうなるか」
「そればっかりは食べてみないとわからないっすねぇ」
 食材を扱うふたりの男は、そんな風に言葉を交わしつつ、タレに漬け込まれたお嬢様が焼き上がるのを待っていた。

~お嬢様は『漬け込まれる』のがお好き おわり~
 

お嬢様は『漬け込まれる』のがお好き 4

 ミラノは、タレのプールの中に腕を突っ込み、沈んでいるお嬢様の開いていた口に、その口枷を押し込んだ。
 後頭部にベルトを回し、外れないように引き絞ると、バルーンを膨らませて口内に口枷を固定する。
「ひきあげるっすよー。液体が跳ねかねないので気をつけてくださいっす」
 ミラノの合図と共に、天井からぶら下がる鎖が引き上げられ、それに接続された口枷が引かれる。
 ゆっくりとお嬢様の身体がタレのプールの中から引き上げられた。まず上半身のみが水面より上に持ち上げられる。
 どろりとしたタレを滴らせつつ、タレの色に染まったお嬢様の身体が露わになった。
 普段は色白のお嬢様の肌が、完全にタレの色に変わっていた。
 礼司とミラノは協力して、そのお嬢様の身体から必要以上のタレを拭って落としていく。
 口枷から伸びる鎖で天井から吊られたお嬢様は、まさに食材そのものであり、タレの相乗効果もあって、美味しそうと呼ぶのに十分な姿だった。
 徐々に引き上げながら、頭、顔、首、肩、胸、腕、とタレを落としていく。
 なお、その間にもお嬢様の肛門に取り付けられた装置は動き続けており、お嬢様の体内をタレで満たし続けていた。腸や胃だけでなく、気道を通って肺にもタレは流れ込み、お嬢様の身体を膨らませ続けている。
「もうそろそろ注入は止めてもいいんじゃないか?」
「そうっすね。それじゃ、失礼して……」
 ミラノはプールの中に再び腕を突き入れ、お嬢様の肛門に触れる。機械を止め、そしてそれはそのままただのアナル栓にかわった。
「オッケーっす。もっと引き上げましょう」
 お嬢様の下半身までが、水面より上に引き上げられた。ぽっこりと膨らんだお腹が露わになり、ミラノはそのたっぷりタレの入ったお腹を満足そうに撫でる。
「うん。十分な量が入ったっすね。これなら体内の肉にきちんと浸透するでしょ」
 さらに、ミラノは手押し式のポンプを持って来て、その細いチューブを、クスコで広げられたお嬢様の膣内に挿し入れる。
「子宮口は……と。ああ、ちゃんと降りてきてるッすね」
 体内からの圧力に押されてか、普段より近い位置に子宮口が見えていた。そのわずかな穴にチューブを押し込む。
「……おい、あまり乱暴にするなよ?」
「傷ついてはないから大丈夫っすよ」
 礼司の抗議を軽く受け流し、ミラノは手押し式ポンプを使って、お嬢様の子宮内にタレを流し込む。かなり大量のタレを注ぎ込んだのか、また少しお腹が膨らんで見えた。
「よし、あとは……」
 同様に、尿道にもタレが注がれる。
 完全にタレ袋とでもいうべき状態になったお嬢様の身体が、足先まで完全にプールから持ち上げられた。

つづく

お嬢様は『漬け込まれる』のがお好き 3

 硬く瞼を閉じてもかすかに染みこんで来たのか、目に激痛が走ります。
 成分が染みこんでくるタレによって眼球はその機能を失い、私が日の光を見ることはもうありません。
 そのことに対するわずかな寂しさより、自分が食材へとなる喜びが勝っていました。
 私はタレのプールの中で口を開け、周囲に満ちている大量のそれを飲み込みます。当然、鼻からもそれが体内に入ってきて、溺れているのと変わらない苦しみが襲いますが、根性で耐えました。
 そもそも、タレが浸透しきった部分の身体は麻痺しつつあったので、本気で抜け出そうとしても、浴槽の縁に腕をあげるくらいが精一杯だったでしょうけど。
 肺の中に空気の代わりにタレが入り込み、一気に気が遠くなります。少しでも多くの空気を吐き出すべく、努力しましたが、果たして本当に出せているのかもわかりません。
 肛門の機械は絶えず動き続けており、身体がさらに膨らんでいるのがわかります。
 きっと私の肉は美味しく食べてもらえることでしょう。
 私はそう願いつつ、意識を闇の中に溶かしました。


 漬け込まれた『私』が死んだようで、意識が元の肉体に戻ってきます。
「いかがでしたっすか? お嬢様」
 タレを調合してくれたミラノさんがそう私に問いかけて来ます。その少し奇妙な言葉使いに、部屋にいた礼司さんが眉をひそめるのが見えましたが、私は特に気にしません。
「そうですね……『私』も努力はしましたが、やはり意思だけでタレを体内の隅々まで浸透させるのは難しそうですね」
 ただ、そのことは事前にミラノさんにも言われていたことでした。
「やっぱ、そうっすよね。そうなると、あとは身体の各部に直接針を刺して、別個に注入するとかっすかねぇ……」
 注射針程度の穴だとしても、身体を穴だらけにするのは少し抵抗があります。
 無論最終的に調理する時には切り裂いてしまうわけですが、それとこれとは別の話なのです。
 例えば野菜とて形の歪なものより、形の整ったものの方が美味しく見えます。味に関係ないとわかっていても、やはり見た目の美しさというのは重要なものです。
 ましてや、いま議題に挙げているのは人肉なのですから。醜い者より綺麗な者を食べたいと思うのは自然の発想だと思うのです。
「うーん。できれば身体に残る傷は少なくしたいのですが……」
「それだと難しいっすよ……死んだあとでならなんとでも出来ると思うっすけど、生きたままとなると」
「難しいですねぇ……」
「これ以上タレの浸透力をあげてしまうと、今度は表面と奥でタレの濃度が違いすぎて、味がばらついちまいますし……」
 ままならないものです。
 ともあれ、今回はまだ初めての試み。まずはタレに漬け込んだ私の肉がどんな味になるのかというところもわかっていません。
「礼司さん、早速ですが漬け込んだ『私』を調理してくださいますか?」
 料理人の礼司さんにお願いします。礼司さんは恭しく頷いてくださいました。
「承知いたしました。ですが、少々お時間をいただきます」
「タレが乾くまではお嬢様の前に持ってこれないっすしね」
 浸透力が強力なあのタレですが、なんと一端乾くとその効力が失われて、タレの味だけが残るらしいのです。
 オリジナルである私の身体にタレの味を染みこませるわけにはいかないため、その事実はとてもありがたいものでした。
 私は漬け込まれた『私』の味を想像しつつ、どんな料理になって出てくるのかが楽しみでした。




 防護服に身を包んだ男ふたりで、その部屋の中に入る。
 ガスマスク越しにも濃いタレの匂いが感じられ、思わず礼司は顔をしかめた。
「……おい、ミラノ。本当に大丈夫なんだろうな、このタレ」
「信用ないっすねー。一応俺も同じ会社の社員なんすけど……」
 ミラノは苦笑いと共にそう口にする。
 彼の所属する会社は、お嬢様の家が率いる総合商社の子会社という立場にある。
 大まかな枠組みでいえば、食人系統の会社であり、同じ所属といえるのだが、礼司とミラノではその対象とする相手に大きな差があった。
 お嬢様のような富裕層をターゲットとした料理人である礼司と、一般庶民をターゲットとした会社員ミラノ。
 扱う食材は同じ人肉でも、その扱い方には大きな隔たりがある。
 決して礼司は一般庶民を対象としているミラノの仕事を軽んじているわけではない。
 だが、それと同じ扱いをお嬢様にされては困る、というのも事実なのだ。
 大量生産品である人肉と違い、お嬢様という人肉は存在が限られている。それを無暗に損なうようなことをすれば、首が飛ぶのは礼司なのだ。
「信用はしているさ。だが、無闇な信頼でお嬢様の品質に影響が出れば、それは専属料理人として私の落ち度になる。慎重にもなるさ」
 その言葉を聞き、ミラノも少し僻みが混じっていたと認めた。
「僻みが入っちまってすいませんね……ここだけの話、富裕層の人らって俺らみたいなのは見下してくることが多くて。ここのお嬢様は……その、なんというか、変わってるっすよ」
 もちろん悪い意味じゃ無くて、とミラノが弁明するのを、礼司は苦笑いで受け入れる。
「……かもしれんな」
 彼らの主足るお嬢様は、誰にでも丁寧に接する。
 決して身分による偉ぶった態度は取らない。
 それは彼女が自分を『食用の肉』としか考えていないことの表れでもあった。喰う者と喰われる者、それらは互いに尊重されるべきだと考えているのだと、礼司は聞いたことがある。
 実は、この世界でコピー体を食用にしている富裕層というのは少なくない。
 本来のコピー体というのはオリジナルが事故や病気などで何らかの欠損を生じさせた時、そこを補う形で使われるものだ。
 しかし、コピー体の寿命は短く、常に作り置いておくには短いスパンで繰り返し生み出す必要がある。新しいものを生み出すために古いものは破棄されていくわけだが、ただ破棄するのはもったいない、という発想が富裕層の食肉化を生み出した。
 結果として、富裕層が競い合うようにして自らの身体を磨きあげ、美味しい肉を生み出すことが普通になった。
 この館のお嬢様はそれが当たり前の時代に生まれ育った世代であり、それこそが彼女の富裕層の中でも珍しい価値観を生み出す結果になった。
 お嬢様より前の世代の者は、『高貴な肉を喰わせてやっている』という自尊心の強い者が多く、お嬢様より後の世代になると、今度は食肉として提供する者が少なくなってくるのだ。それはまた別の話だ。
 富裕層向けと一般庶民向け。
 狙う方向も扱い方も違えども、人肉を扱う仕事人であるふたりが、協力してお嬢様の調理に取りかかった。
 まずは、タレの底に沈んだお嬢様を引き上げなければならない。
「いつもはL字フックを口の中にぶっ刺して引き上げるんすけど……それだと雑に傷つけちまうんで、今回はこれを使うっす」
 そう言って彼が取り出したのは、丈夫な金具が取り付けられている、バルーンタイプの口枷だった。

つづく
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