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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

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純愛系ヤンデレ1

 彼女がいる男の人を好きになるのは、私の癖だった。
 それを悪いと思ったことはない。ちょっと誘いをかけるだけで馬鹿みたいに私の方に引き寄せられる男が悪いし、その程度で捨てられる女も同じように悪い。私がもしも心から好きになった人なら、どんなことをしたって手放しはしない。自分以外の人を見るなんて絶対に許さない。その努力もせず寝とられただの、泥棒猫だの、いいがかりにもほどがある。
 まあ、私の容姿は客観的に言って男好きのするものだし、スタイルだって最高のものを保っている。さりげなく男たちの欲望をそそるような態度ですり寄るのも得意だ。そんな私に男達が骨抜きにされるのは仕方ないと言えるだろう。
 稀にそんな私にもなびかない硬派な男もいるけど、飲み物に強力な媚薬を混ぜて飲ませてしまえば既成事実を作るのなんて簡単だ。そしてそうやって自分を襲わせた場面に女の方を遭遇させれば、簡単に破局して私しかみなくなる。そうするとやたらと執着してくるようになるから面倒だけど、飽きたら適当な理由を付けて離れればそれで済む。

 本当に、男って馬鹿だ。

 私はとある男性の家に上がり込んで、いつものように媚薬を呑ませて既成事実を作ろうとしていた。いま私に組みしかれて情けない声をあげている男は、最近出来たばかりの彼女に義理立てして私に靡かなかった男だ。彼女が可愛いのは私も認めるけど、私とは比べものにならないはずで、その彼を解放してあげようと思っていた。
「あら……こんなに固くしちゃって……欲しくてたまらないんでしょ?」
 ズボン越しにペニスを撫で上げてあげると、彼はびくんと腰を跳ねさせる。可愛いものだ。
「や、やめ……ろ……」
 媚薬の影響で頭が朦朧としているはずなのに、気上にもまだ私を拒否している彼。最近では珍しい頑なな態度が新鮮で、益々自分の物にしたくなった。
「ふふっ……我慢なんてしなくていいのよ……いま服を脱ぐから……」
 男なんてちょろい。ただの馬鹿だ。ちょっと優しくして、強引にでも関係を持ってしまえばあっという間に陥落する。
 この彼も私に貢ぐだけ貢いでもらおう――私はそう考えて来ていたTシャツを脱ごうとした。シャツを脱ごうとした私の視界はそのシャツによって遮られる。
 その時、彼が一際大きな声で叫んだ。

「やめるんだっ……モモカっ!」

 その叫びを聞いて、私は違和感に包まれる。『モモカ』は彼の彼女の名前だ。私の名前じゃない。
 なぜこの状況で、彼女の名前を。
 瞬間、背中を悪寒が走った。

 その悪寒の正体を知る間もなく、後頭部に衝撃を感じて私は意識を失った。
 
 
~続く~
 
 

純愛系ヤンデレ2


 胸に生じた凄まじい痛みによって、私は眠りから叩き起こされた。
「む、ぐっ!?」
 思わずあげかけた悲鳴は、口の中を占拠していた何かに押しつぶされて呻き声程度の大きさにしか響かなかった。
 涙で滲む視界に、優しげだけどどこか印象の薄い女が立っていた。にこにこと愛想笑いのような笑みを浮かべながら、その手に太い鞭のようなものを持っている。
 さっきの痛みはそれで殴られた時のものだと察することが出来た。
「目が覚めた?」
「むがっ、むぐっ!」
 気付けば私は凄まじい格好で家の柱に縛りつけられていた。両手は頭より上にあげた状態、両足は柱をぐるりと回って固定されていて、ほとんど動かせない。そして、着ていたはずの服は全部なくなっていた。自慢の乳房が視界の端で揺れる。その乳房に一筋の赤い線が生じていることが微かに見えた。
(鞭で殴ったのね……! なんてことをしてくれるのよ! 跡が残ったらどうしてくれるの!)
 そう考え、睨みつけようとしたところで、私はその女に顔面を殴られた。
「ぎっ!?」
 よくドラマである音ばかりが大きなビンタじゃない。まっすぐ真正面から、鼻の骨を折る勢いで拳が叩きつけられた。私は思わず仰け反り、後頭部を盛大に柱にぶつけた。二重の意味で目の前に星が飛ぶ。顔に熱湯でもぶちまけられたかのような、熱い痛みがじわじわ広がる。
「うん……やっぱり手で殴るとこっちの拳の方が痛いね」
 女がそんな勝手なことを言うのが聞こえてきた。殴って置きながらなんて勝手なと思う。
 俯いた拍子に鼻血が零れて、胸や足元に血がまき散らされた。痛い。血の臭いで鼻が曲がりそうだった。
「っ……!」
 この私に鼻血を流させるなんて。意識はぼんやりとしていたけど、怒りを込めて顔を上げる。
 その視界に黒い何かが飛び込んで来た。
 それがフライパンの底だと気付いた時には、さっきよりもさらに強力な衝撃を顔面に感じていた。
「ぶへっ」
 鼻が折れると言うようなレベルじゃない。顔が潰れるかと思った。
 今度こそ私は痛みに悶絶する。鼻の奥から血がとめどなく流れ、痛みは何時まで経っても引かなかった。完全に鼻の骨が折れたのだと理解する。これまで私が必死になって整えてきた相貌が、こうも一瞬で壊されてしまったことに、虚無感すら感じた。
「ねえ、痛い?」
 俯いたまま顔を上げられない私に向かって、その女の声が響く。その声はどこか弾んでいて、この状況を楽しんでいることが感じられた。
「痛いよね? 痛くて、痛くて、痛いよね? 嬉しい? 哀しい? 楽しい? 辛い?」
 女が私のすぐ傍に立つのが感じられた。また何かされるのではないかと身体が硬くなる。
 俯いたままの私の視界に、その女の顔が入り込んで来た。私を覗きこんで、無邪気に笑っている。
「じゃあ、たくさん痛がってね?」
 その手には、小さな針を大量に揃えたソーイングセットが握られていた。
 
 
~続く~
 
 

純愛系ヤンデレ3

 大量の針を持ったその女は、にこやかに笑っていた。
 その笑みが想像を絶する怖さを秘めていて、私は思わず身をすくませる。と、いきなりその女は針のうちの一本を掴み、無造作に私の乳房に突き立てた。
「んぐぅ――――っっ!!」
 針先が皮膚を貫き、肉を押しのけながら奥へと進んでくる感触が異様にはっきりと感じられた。
「うふっ。この針は普通の針とは違うのよ。ほんの少しだけど、返しがついててね……よく感じてて」
 かなり深く刺してから、その女は針を引き抜く方向に動かした。途端、乳房の中で痛みが爆発する。
 きっと声が出せたのであれば百メートル四方響きわたるような悲鳴をあげていたに違いない。そんなことを考えてしまうほどの激痛が乳房から走った。ぶちぶちと肉が避けて千切れるような、そんな感覚だった。
 実際、針が抜けた後の傷跡はひどいもので、跡が残るのは確実そうだ。
「こんなに血が出て……ふふふっ」
 女が顔を寄せ、傷口を舌で舐める。赤い液体と女の唾液が混ざって乳房を流れ落ちる。その感覚は快感といえるはずだったけど、傷を広げられるような痛みの前にはそんなことを感じている余裕もなかった。
(なん、なの……こいつ……!)
 キチガイだとしか思えなかった。
 だって、その女は私をいたぶりながら笑っていたのだ。痛みを増長させるようなことをしながら、楽しげに、まるでこちらが痛がれば痛がるほど楽しいというように。
「ほーら、まだまだこんなものじゃないよ。針はいくらでもあるんだから」
 その全てがさっきみたいな痛みを生み出す仕様なのかと思うとぞっとした。
 女はなぜかセロハンテープを取り出した。そのテープで傷口からそれ以上の血が流れないように止めてしまう。
「応急処置ともいえないけど……あんまり出血して、意識が薄らいでももったいないもんね」
 にこやかだった。
 だからこそ、異常だった。
 目の前にいるこの女が恐ろしくて仕方ない。
 次の針を彼女が手にした。そこから先は正直あまりよく覚えていない。全身至る所にその針を突き立てられ、肉をえぐられ、おざなりに血を止められて、もがいて苦しんで、拷問というのはこういうものなのかというくらいに痛みを与えられた。
 両方の乳首に向けて垂直に針を突き立てられ、さらにその日本を同時に引き抜かれた時は痛みでショック死するかと思うほどの衝撃だった。
 気が触れなかったのが軌跡だと思えるほど、苦しめられて、ようやく女の手は止まったようやく解放されたーーと思いきや。
「いい感じで下拵えは済んだね」
 それが、始まりでないことを私は知った。
 あくまでも朗らかな笑みを浮かべて、その女は言う。

「じゃあ、そろそろ死んでもらおうかな」
 
 
~続く~
 
 

純愛系ヤンデレ4

 信じられない宣告が聞こえてきた。
 嘘であると否定したかったけど、女は全く冗談の気配を滲ませず、ただにこやかに聞いてくる。
「ねえ、どんな死に方がいい? 色々なものをたれ流して、汚らしく死ぬ窒息死? 全身ぐちゃぐちゃの挽き肉になっちゃう撲殺? バラバラにしてそれぞれ違う場所に埋めれる斬殺? 毒で死にたいなら頑張って用意するけど。感電死はこっちも危険だから出来るだけ避けたいかな。あとは……焼死は臭いが酷いから、ちょっと難しいけど」
 まるで好きな食べ物の話でもするかのように、女は死に方の提案をしてきた。
 狂っている。
 そうとしか思えない。
「むがぁ……むぁ……」
「あ、そっか。口枷してたら喋れないよね」
 うっかりしてた、とでも言いたげな調子でその女が口枷を外す。
 唾液が糸引いて零れたけど、そんなことを気にしている余裕はない。
「ごべっ……ふぁさい……」
「ん? なに?」
「ふぉめん、ふぁさい……」
 プライドも何もあったものじゃなかった。とにかくこの女の手から逃れたい一心で私は何とか許しをこう。女は困ったように片手を頬に当てた。
「別に謝らなくてもいいのに……彼が格好良すぎるのがいけないんだから、ね? 好きになっちゃうのは無理ないの。だって私がこんなにも愛する人なんだから!」
 だらしなく笑み崩れた頬に両手を当て、女はとても楽しそうに笑う。
 けれど、その笑いをその表情通りに受け止めることなんて、出来るはずがなかった。
 この女は明らかにおかしい。気が狂っているとしか思えない。
「だからね。別に彼に言い寄ったことを怒ってるわけじゃないんだよ?」
 壮絶な笑みを浮かべて女は笑う。
「でも、彼は私のなの。私のものに手を出しちゃだめ。私のものに私以外のものが触れるなんてだめなんだから。ね? 当たり前でしょ? 人のものに手をだしちゃいけません。そんなの当たり前のことだよね?」
 怖い。
 私はその女の言うことを聞きながらそんなことしか考えられなかった。言っていることはまだ筋が通ってないわけじゃない。要は、彼を好きになるのは良くても、手を出したらアウトなのだということだ。
 だけど、それによって生じる差がおかしい。好きになって、遠くから見ているだけならば本当に彼女は何もしないんだろう。彼氏を自慢するように笑うかもしれない。嫉妬や優越感なんて見せずに、自然に笑ってみせるのだろう。
 けど、彼に手を触れようとしたら、いまのようになる。極端から極端へと走る。
 極端な人間ほど、恐ろしい者はいない。。
「うふふっ、彼もね……私のだっていう自覚を持つべきだよね」
 そういえば、彼はどうなったのだろうか。少なくともこの部屋にはいないみたいだけど。
「彼はね、いま隣の部屋で寝てるよ。私が調合した薬を飲ませてるから、たぶんいまごろは私をたっぷり愛すための準備を整えてくれてるんじゃないかな」
 調合した薬とは何のことだろう。私がそう思ったのを見越したように、彼女は口を開く。
「愛し合うための薬でね。とってもスゴいの。一発打てば百回は出さないと落ち着かないくらいのスゴい媚薬なの」
 恐ろしいことをさらりと言ってのけた。射精百回なんて、拷問以外の何ものでもないはずだ。私が知る一番元気な男の人でも、五回も出したら精魂尽き果てたようになっていた。それを20倍近く強制的にさせるというのだから、もはやただの拷問でしかないかもしれない。
「まだ寝てるとは思うけど……もうちょっとで起きると思うから……あんまりあなたに長い時間をかけるわけにはいかないの」
 女はそういって、あくまでも無邪気な笑みを浮かべて問いかけてきた。

「で、どう死にたい? 同じ人を好きになったんだから、せめて死に方の希望だけは叶えてあげるよ?」
 
 
~続く~
 
 

純愛系ヤンデレ5

 私はこの時点で助かることを諦めていた。
 もうすでに体中ずたぼろで、生き残れるとは思えない。それに、もし生き残ったとしても今後醜い体で生きていく自信はない。自分の容姿に自信を持っていただけに、その身体が壊されてしまったらもう生きては二けない。
「……ふぇめて……ひれいに、ふぉろして」
 力なくそう求めると、その女はにっこりと笑って見せた。
「うん、わかった」
 聞くだけのことは聞いたとでも言いたげに、女は再び私の口を枷で塞ぐ。抵抗する気力なんてなかった。
 私の傍から離れて、バトンのような何かを持ってきた。長さは三十センチくらい、太さは蛍光灯より一回り大きいだろうか。片方の先端はフラットだったけど、もう片方の先端は杭のように尖っている。
「ちょっと我慢してねー」
 女は私の目の前にしゃがみ込むと、その尖った先端を上に向けて私のあそこにあてがった。
(え……? ちょっと、なにを……)
「よいしょ……っと!」
 実に無造作に。
 女は棒を私のおマンコに突き入れた。メリメリと穴が押し広げられて、体がまっぷたつになりそうな激痛が走る。
 女が力任せに押し込むと、その棒の先端が私の子宮口にぶつかったみたいだった。体の奥に尖った先端が突き刺さる痛みが生じる。
 私は悲鳴を上げて暴れたけど、そんなものは大した抵抗にはならなかった。
 体を奥まで貫いて、その棒が私の体内に埋め込まれてしまう。大事な内臓も何もかもを傷つけているのか、私は喉の奥から芹上がってくる吐瀉物で窒息してしまいそうだった。
 そんなことにはいっさい構わず、女は根本まで棒を埋め込むと、やりきった顔で立ち上がる。
「うん。準備出来たよ。それじゃあ、綺麗に死んでね」
 訳が分からない。棒を差し込んだだけじゃないかと思ったけど、続いた女の説明で全ての疑問が氷解した。
「いまの棒の中には、エアバックと同じような強力な勢いで膨らむ物が仕込んであるの。時間が来たら膨らむから、体内から派手に弾け飛んじゃって? たぶん、綺麗な人体花火になると思うから」
「むがっ!?」
 それが綺麗な死に方である訳がない。むしろ、想像する中でももっとも汚らしい死に方だろう。
(い、いやあああああっ! そんな、そんな死に方したくない!)
 必死に体を捩って暴れ、体内から棒を出そうとするけど、子宮に突き刺さったその棒は全く抜ける気配がなかった。
 女はそんな私の目の前にテレビカメラを置き、笑いながら部屋を出ていく。
「それじゃあね。ばいばい」
 無情にも扉が閉められ、私は一人部屋に取り残された。
 いつ爆発するのか、何もわからない。私は見えない死神が近づいてくるのを感じていた。
 暴れて、暴れて、暴れて。
 それでも結局、何も変わらなかった。
 突然、体の中が熱くなったと思った時には、私の体は内側から爆発して、血や肉が部屋中に飛び散った。
 
 
 ぼん、と隣から小さな音が聞こえてくると同時に、ビデオカメラの映像が暗転した。
 どうやら膨らんだ物によってカメラが倒されてしまったか、肉片がカメラのレンズに当たってしまったようだ。
 私は薬で完全に理性を飛ばした彼に犯してもらいながら、その映像を見て満足する。私の彼に言い寄ろうなんてとんでもない女だったけど、いい感じの映像を残してくれた。爆発するその瞬間まで本気で嫌がってもがき、苦しんでいた姿はさぞ高値で売れることだろう。
 彼と愛し合うための資金を提供してくれるなんて、いい人だ。
 彼女のためにも、彼と精一杯愛し合わないと。
 私は獣のように私を犯し続ける彼のものを身体の中にはっきりと感じながら、そう思った。
 
 
~純愛系ヤンデレ 終わり~
 
 

ループな殺人鬼1

 どうなるか興味があった。だから、実行に移した。

 最初の理由はそういうものだった。どうなるか興味があったから、目の前の席に座る女子の頭に向かってボールペンを突き刺してみた。ただのボールペンでそんな大事になるわけがないと思っていたら、それは大きな間違いだった。
 どうにも、いい位置にいい角度でいい力具合で刺してしまったらしく、ボールペンの半分ほどもが彼女の頭の中に埋まってしまったのだ。これにはやった自分がびっくりした。やられた側の彼女といえば、刺さった時の衝撃も、刺さっている痛みもないのか、何気なく手を頭にやってそこにあったボールペンに指を触れさせて不思議がっていた。
「え? なにこれ。なにし、てるあ、あ、ある? されてうしえあうえ……」
 彼女が指に触れた物が何かということを知ろうとして、刺さったボールペンに触れたのがいけなかったようだ。ボールペンを彼女の指が摘んだ瞬間、彼女は突如として奇怪な声をあげて身体を震わせ、力が抜けたようになって床に倒れ込んだ。誰もがあっけに取られている中、倒れた彼女が失禁したらしく、アンモニアの匂いが漂い始める。
 何が起こっているのか、その場の誰にもわからなかっただろう。
 俺はその中で、ゆっくりと立ち上がり、彼女の頭に突き刺さったボールペンをイジってみた。すると、彼女の身体がびくんと波打つ。その反応が面白かった。人間の身体を操っているのは脳だというのは常識だけど、まさか外部から直接刺激をして動かせるとは思わなかった。もっと激しい動きが誘発できないかと、色々試してみる。その結果は芳しくなかったが、なかなか楽しめた。
 だが、それを長く楽しむことはできず、大慌てで彼女に近づいてきた先生に突き飛ばされてしまった。まあ、いまから思えばそんな先生の対応も当然だっただろう。
 彼女で楽しむことに夢中になっていた俺は、突き飛ばされた時の勢いで後ろにもんどりうって倒れ、後頭部を強打する羽目になった。
 そして俺は死に、ふと気づけば俺は元の通り自分の席に座って授業を受けていた。
 その時は白昼夢でも見たのかと思ったが、そうではなかった。試しに同じように行動してみたら、同じように状況は推移し、そして最終的に俺はやっぱり事故で死んでしまったからだ。
 なのに、どんな死に方をしても、気づけば俺は自分の席で授業を受けていて、彼女もまた何事もなく生きている。もしやどうやってもここから始めることになるのかと思ったが、そうではないことにも暫くして気づいた。
 その授業中に彼女を殺さず、授業が終わるのを待って、彼女が別の場所に移動してから殺してみた。そしたら、今度は彼女を殺そうと腕を振り上げる寸前のところからスタートした。
 この現象がループものというのだと呼ばれる現象なのだということも後に知ったが、そのループの引き金は死ぬことだけではなかった。
 たとえば教室で彼女を殺していた時、まず前の席の彼女を殺し、そのあとで近づいてくるとわかっていた先生も殺してみた。するとようやく状況を理解したらしい大多数の生徒が悲鳴をあげて、大騒ぎになってしまった。我先にと逃げ出す彼らを見ていたら、急に視界が暗くなって、気付けばやっぱり行動を起こそうとしてい

た前からのスタートになった。
 どうしてそんな風にループをするようになったのかはわからないが、そのループ現象と長年つきあっていればはっきりとわかることもいくつかあった。
 ループする条件は明確にわかったわけではないが、俺自身が何か致命的な間違いを犯し、その上で死ぬかあるいは関係ない人にその様子を見られることがキーになっているようだった。
 こんな能力とも言い難い、よくわからない現象が生じる理由はわからなかった。

 だが、なにはともあれ、あるというのなら俺はそれを好きに使う主義だ。


~続く~



当たり前ですがこの話はフィクションです。
妄想の一つとしてお楽しみください。

ループな殺人鬼2

 とりあえず、目の前から歩いてきた女性の腹部に手にしていたナイフを突き刺した。
 何度も殺してきてわかったのだが、どうやら自分は人を殺すということにかけては天才的らしい。といっても兵士とかそういう類の人間にはなれそうにもなかった。なぜなら、俺はそのへんにあるものを使ったり不意打ちなどといった暗殺者的な殺し方しかできなかったからだ。
 俺のナイフの一突きで的確に心臓を破壊されたその女性は何が起きたのか把握する暇もなかっただろう。唖然とした表情のまま、力なくその場に崩れ落ちた。
 さて、ここからが問題だ。俺は彼女の身体を抱え上げ、物陰に隠れる。十秒ほど待ってみたが、特に変化はない。どうやら誰にも見られなかったようだ。
 俺の能力、といっていいのか、とりあえずループする現象は、関係のない人間に犯行の瞬間を見られた数十秒後に時間が巻き戻る。つまり、ループしないということはそれが目撃されなかったということになるわけだ。
 この力を使い始めた頃に、軽く人を殺した後、じっくり楽しもうとしたら急に時間が巻き戻って萎えたことがあった。そのため、最近ではループしないことを確認してからお楽しみを始めることにしていた。
 俺のお楽しみ、それは人にいえばなんて異常なんだと思われるかもしれないが、死姦という行為だった。ループなんていう現象が起きる俺がそういう行為を好むのは当然のことかもしれない。
 異常なことは理解しているが、別にそれをやめる理由もなかったので俺は時々こうして楽しんでいた。
 ナイフを使って彼女の身体から衣服をはぎ取る。彼氏がいるのか、そもそも婚約とかしているのか、子供がいるのか、そういった個人のことはわからない。名前さえわからない。ただ、俺好みの女性だということだけが大事だった。
(おー、結構胸でけー。Eとかかな)
 ブラジャーに包まれたその女性の胸はかなり大きかった。微妙にサイズが合っていないのか張り切れそうになっている。このブラジャーというものは実にくせ者だ。なにせワイヤーのようなものが入っていて、切ろうと思っても簡単に切れるものじゃない。だからこれだけは別で外さなければならないのだ。
(めんどうなんだよなぁ……まあ、いいけど)
 外して見ると、やはり窮屈なものに詰め込まれていたのか、ブラジャーをしていた時より遙かに膨張する。その柔らかさをひとしきり堪能した。
(あー、この感触がいいんだよな……まだ瑞々しい感じのこの肌が、徐々に生気を失っていくところを想像すると……)
 かなり興奮する。
 俺はよく味わってから、ナイフを使って片方の乳房を根本から切断した。こうなると乳房というよりは単なる脂肪の塊だ。巨乳から一気に絶壁となった女性の身体を見つめる。片方が大きく、片方が何もない。アンバランスさが最高だった。
 俺が特に興奮を覚えるのはこの『壊れた瞬間』を目の当たりにするときだ。これまで彼女がおそらく何十年もかけて、かなりの大変な思いをして維持してきたであろう身体を、ほんの数十秒でめちゃくちゃにしてしまう。この感覚が心地いい。
(あー、もっと壊してぇ)
 その衝動に任せて、俺は彼女の髪をひっつかみ、無造作に切り払った。その際ナイフが彼女の頬を深く切り裂いて血が滲み始めたが気にしない。むしろ傷口に垂直になるように傷を刻み、目も何も関係なく縦横無尽に彼女の顔を引き裂いた。
 傷をつけるのは右半分だけにとどめておいたから、左半分は大した傷がない。全体をぐちゃぐちゃにするのもいいが、やはりこういう形で傷つけた方が無事な方と無事じゃない方の変化がはっきりわかっていい。
 さらに俺は別のところの陵辱に移った。


~続く~

ループな殺人鬼3

 次の陵辱場所はもちろん下腹部、マンコの周辺だ。だがここを傷つけるのは中々に神経を使う。なにせここには最終的に挿入しなければならない。そのために、下手に大きく傷つけるわけにはいかないのだ。
 とりあえず、まずは指先を使ってその場所を広げてみる。処女膜があるかどうかの確認だ。すると、その場所には確かに処女膜があった。このご時世、このくらいの年齢になれば処女なんてとっくに捨てているのかと思いきや、案外この女性は身持ちが堅いようだった。
 しかしそうなると間違いなくこの場所は狭苦しい場所になっているだろう。そういうのはあまり好きじゃない。
「よし……試してみるか」
 ナイフをその場所に突き立てる。処女膜が破れるとかそういうレベルの問題ではなく、膣が避けた。これで初めての人間でも十分血が潤滑油の役割を果たしてくれる。
 俺はナイフを引き抜くと、さっそくチンコを出して彼女のそこに挿入した。あらかじめ裂いておいた甲斐あって、彼女のそこは俺のものをあっさりと奥まで受け入れた。血のどろりとした感覚が新手のローションのようで心地よい。まあ、凝固して来たらちょっと問題かもしれないが、どうせ一夜と待たずにループするのだから問題ないだろう。
 俺は遠慮なく彼女を犯しまくった。彼女の一番奥で白い精液を吐き出して、彼女の血と一緒にその場所から噴き出してくる。
「うん、中々よかったよ」
 こんなことは生きている人間にはとてもできない。まずやらせてもらえないだろうし、百億が一やらせてもらえたとしても相手の叫び声でさぞうるさいことだろう。それは個人的に好みではない。
 女の子に痛い思いをさせるのは本意ではないのだ。ナイフで刺しといて何を行っているんだと思われるかもしれないが、俺は女子をなぶるような真似をしたことは一度もない。かならず一撃でとどめを刺してから楽しんでいる。それが俺のモットーなのだ。
 とりあえず一度出して落ち着いた俺は、彼女の身体をさらに引き裂いていく。ナイフ一本でどこまでできるかわからないが、試してみたいことはまだまだいくらでもあった。
 まず彼女の肩、腕の付け根にナイフを突き立てる。肌を裂き、肉を裂き、筋肉を切り離す。見えてきた骨はさすがにナイフじゃ無理かと思ったが、ナイフの切れ味を信じて骨にナイフを突き立てた。さすがの骨もナイフという金属で出来た武器には勝てずに半ばまで刃が食い込む。さらに何度か続けて振り下ろすと、彼女の腕が切断できた。
 さすがに刃がぼろぼろになってしまったな。俺はそのナイフを放り捨て、代わりに彼女の切り離された腕を掲げ持つ。
「ふむ……いい腕だ」
 すらりと無駄な肉がついていない腕のフォルムはまさに理想的だった。某両腕がないことで有名な像の腕だと言われても納得出来るかもしれない。変な例えだがそんな感じで見事なものだった。
 俺はその手に拳を握らせる。死後硬直が始まりかけているのか、拳を作らせるのに力はいったが、拳を握らせることには成功した。
 この拳をどうするかなんてことは決まっている。
 俺はさっきまで自分のものが入っていたその穴に、その腕を入れてみることにした。もちろん大きさとしては腕の方が遙かに太い。これが入るとすればかなり無理をしなければならないだろう。それだからこそ楽しい。
 まだそそぎ込んだ精液混じりの血がこぼれだしているそこをめがけて拳を握った腕を押し込む。いくらナイフで切り裂いたとはいえ、中々簡単には入ってくれそうになかった。
 半ば彼女の身体を逆さまに立て、真上から押し込むようにして腕を突っ込んだらようやく奥まで腕が入った。二の腕辺りまで押し込んだが、さすがにそれ以上は入らなかった。とりあえずは目的達成ということで、次に狙うのはもちろん後の穴だ。


~続く~

ループな殺人鬼4

 後の穴にも腕を入れる、というのは誰でも考えつくことだろう。
 だから俺は、あえてそれはしないでおいた。それにいま気付いたのだが、俺はここまで彼女の左半身を主に傷つけまくっていた。右側の顔面が切り刻まれ、右胸が無くなり、右腕を取り外した。ここまで来たら、左側は無事なままにして、右側を徹底的に破壊しまくるというのが面白いだろう。
 アンシンメトリーの姿がもっとも変化を実感できてすばらしい仕上がりになるはずだ。
 死体に仕上がりもなにもないとは我ながら思うが、それはそれだ。
 俺は俺の身勝手な欲望を満たすべく、最後の仕上げに取りかかった。
 ターゲットは彼女の右足。これをどう調理するかで仕上がりが大きく変わる。単純なのは腕と同じように切り離して後の穴にでも突っ込んでしまうことだ。ただ、腕と違って脚は相当太いから肛門に入れるのは相当厳しい。括約筋を切断したところで、うまく入るのかどうか俺にはわからない。
 ただ切り刻むのも芸がない。暫く考えた俺は、少し変則的ではあったがいい活用方法を思いついた。
 まず、新しいナイフを取り出す。さっき骨を切断するために使ったナイフはそれまでの使用もあってかなり切れ味が落ちていたが、新しいナイフは当然そんなことはない。「よし」
 とりあえず軽く彼女の脚の肉を殺ぐ。肉の塊から薄くスライスするように、薄く、薄く。ぺらぺらの肉を幾つも量産していく。
 こうしてしまえば人間の肉も牛とか豚のそれとあまり大差がないように思えてしまう。もちろん実際にはぜんぜん違うし、食べてみたいとは思わないが。
「これで……と」
 ほとんどの肉をそぎ落とした脚は半ば骨が露出しており、無惨な姿だった。太股や脹ら脛の辺りを優先して切り裂いたから、膝の辺りや足首から下は元のまま肉が残っているが、それはそれで無惨さを助長するポイントになる。
 彼女の身体からそぎ落とした肉の破片をどう使うのかだが、簡単だ。まず彼女の右わき腹をナイフでざっくり傷つけ、中から腸が飛び出そうなほど深く傷口を広げる。
 そして、その穴からそぎ落とした肉を、彼女の身体に詰めていく。そうすると、徐々に彼女の右側の腹部だけが膨らんでいく。腹圧があるからかなり苦労したが、全ての肉片を詰め込むと、彼女の右のわき腹は異様なほど膨らんでいた。
「うん、完成だ! 中々いい感じじゃないか!」
 俺は自分が仕上げた死体に満足してそう自画自賛する。
 徹底的に右側だけを傷つけたから、左側だけをみればまだ無事だと思うかもしれない。だが、右側も含めてみればもはや生きていることなど絶対ないことがわかるだろう。
 それくらい俺は徹底的に彼女を破壊した。この取り返しの着かない加減がすごく気持ちいいのだ。
「こんなもんかなー。ん……ちょっと血が固まってきたな……気持ち悪い」
 チンコに付着していた彼女の血が固まりかけていた。これもこれまでの経験上、わかっていたことだ。彼女が生きていれば舐めて綺麗にしてもらうことも出来るのだが、もちろん死んでいる彼女が処理をしてくれるわけでもない。だからこの時のためにあらかじめ準備はしておいた。
 水をペットボトルに入れておいたものを使い、それで血を洗い流した。最後に拭くのは剥ぎ取った彼女の服を使えばいい。
 そうやってすっきりした後、俺は彼女の死に様を丁寧に携帯を使って写真に収めていった。もちろんループすればこの記録は消えてしまうので、これは別に後々見返しておくために取っているわけじゃない。
「さて……今日はどこのスレに投稿しようかな」
 俺は携帯でネットを使い、その撮影した画像を投稿するつもりだった。
 すこし前からやり始めたことだけど、案外楽しめるのだ。


~続く~

ループな殺人鬼5

 今回投稿する先は……適当な掲示板を探してそこにアップすることにした。
「死体愛好者の集まり、ね……こことか良さそうだな。写真をアップロード出来るみたいだし。結構流れも早いから反応もすぐ返ってきそうだし……よし、ここにするか!」
 納めた写真の内、まずは左半身だけを写している写真をアップする。
『まずはこいつを見てくれ。こいつをどう思う?』
 アップして数十秒経ってから再度リロードしてみると、面白いくらいに反応が返ってきていた。
『なんだこれ? 彼女自慢かてめー』
『死体? 人形じゃねーの。てか大事なところ修正しろよ』
『おっぱい! おっぱい!』
『30点。死体メイクの自慢か知らんけど、もっと綺麗にメイクしろよ』
『彼女ねてるん?』
 色々と間違ってるのが面白いな。まあ、古い携帯電話の画質じゃそれ以上はわからないか。
 俺は続けて右半身だけの写真をアップした。
『つぎはこいつを見てくれ。こいつをどう思う?』
 さっきと同じように少し時間をおいてからリロードすると、さらに反応が返ってきていた。
『は? おい待てこらなんだこれ』
『さっきの子?』
『悲劇的ビフォーアフター』
『誰がうまいこといえとww』
『釣り乙』
『人形だよな? さっきのがこうなるとか……ホントだといってよ』
『↑一瞬「おい死体愛好家ww」とか書こうと思ったら……さすがゆがみねえなww』
『割とリアルだなー。この人形』
『俺は綺麗な死体がみたいんであって、こんなグロ画像は求めてなかった』
『おまえさっきのメイク厨か。いいじゃん。俺は好きだよこう言うの』
『↑通報しました』
『すんなwww 今のがアウトなら全員通報しなくちゃいけねえだろww』
『ここはあくまでのんびりゆったり死体を愛でるスレです』
『その文言がこええよw まあ、俺もその一人だがな!』
 中々盛り上がっているようだが、しかし人形だと思われるのは面白くないな。
 俺は少し考えて、彼女の手荷物を漁った。目的のものを取り出し、それを撮影してまたアップする。
 目的のものとは写真付きの免許証で、それを彼女の無事な方の顔と一緒に映るように撮影したものだ。狙った通り、動揺が走る。
『は……? おいなんだこれ』
『普通に個人情報じゃねえか、なにアップしてんだよ』
『なんかやばくね?』
『写真写り悪いな……実物の方がかわいいじゃん』
『↑おまえのゆがみなさにあんしんしらた』
『↑お前安心できてないだろww ……つか、冗談だよね?』
 ここで最後のとどめ。彼女の全身を写した写真をアップする。
 思った通り、掲示板はすさまじく荒れまくった。
『お巡りさんこっちです』
『犯罪者光臨のお知らせ』
『通報した』
『通報した』
『通報した』
『お前等通報しすぎww とかゆってる場合じゃねえなこれ。釣りにしたって彼女の個人情報晒してる時点で質悪いだろ』
『つかどこにいるんだよ犯人。いまから行って捕まえてやる覚悟しろ。決して死体が見たいというわけではない』
『↑お前も通報するぞw 最後の一文がなかったら格好よかったのにw』
 そんな感じでどんどん反応が返ってきていた。どうせループすれば消えてしまう記憶と記録だが、まあ個人的な幸せのお裾分けのようなものだ。
 俺は携帯をしまい込むと、もうすっかり死体と化した彼女を見下ろす。
 免許証も見たけど、名前なんて覚えてない。
「楽しませてくれてありがとよ。じゃあ、またループした後の世界で」
 俺はその場を静かに離れる。
 彼女の死体が見つかった時ーー俺は再びループして彼女の後を歩いているところからスタートするのだろう。
 とりあえず何か美味いものでも食べるべく、俺は繁華街に向かったのだった。


~『ループな殺人鬼』 終わり~

食人病1

 食人病という恐ろしい病があります。
 いえ、正確には恐ろしかった病がありました。

 その病気が発言すると、その患者は人が食べたくて食べたくて仕方なくなります。その衝動は自分にとって大事な人間相手なら人間相手なほど高まり、昔はよく恋人を食べてしまうという事件が多々ありました。食人病になった人は速やかに処理されるのが常で、世界でも恐ろしい病気の一つに数えられていました。
 ですが、いまでは違います。色々な技術が進歩した現在、食人病の人を合法的に満足させられるようになったからです。
 ですから、私の恋人が食人病にかかった時も、全く怖くありませんでした。


 私は朝目覚めると、まずご飯の準備をして、大体の準備ができると自分の両腕を切り落とします。自分で自分の腕を切り落とすことは出来ませんから、特注で用意した小さなギロチンのようなもので一気に両腕を落とします。肘くらいの位置で切ってしまっったので、指を使った作業が出来なくなってしまいした。
 毎朝のことですが、この両腕がなくなったあとはなんとも言えない虚無感があって、なんともいえない快感です。
 血は止まるまでボウルに溜めておきます。血が止まったら彼を起こしに行きます。
 両腕がないので揺り起こすことは出来ませんが、私達の間で朝の挨拶はキスと決まっているので問題ありません。
「あなた、起きてください。朝ですよ」
 頬にキスをしながらそう語りかけます。彼は目を瞑ったまま、嫌そうなうなり声をあげます
「うー……あと五分……」
 朝が弱い人なので仕方ありません。でも早く起こさないと遅刻してしまうので、急いで起こします。
「ほら、こっち見てください。……はむ」
 反対側を向いている彼の耳を甘噛みして、こちらに顔を向けさせます。こちらに向いた彼の唇にすい尽き、舌で無理矢理彼の中へと入り込んでいきます。
 反応は劇的でした。
 かっ、と目を見開いたかと思うと、いきなり大きく口を開け、彼の口の中に入り込んで舌がさらに奥へと導かれます。そして、容赦なく舌が噛み千切られました。半ばから舌が喪失し、気が遠くなるような激痛によって、背筋に電流が流されたかのように体がびくびくとふるえます。この時には私の体は彼の力強い両腕でめきめきと締め上げられていて、その痛みに逝ってしまいそうになります。
 彼は私の舌から溢れ出る血を飲みながら、徐々に力を強めていきます。私は頭もがっちりホールドされているので彼から少しも離れることが出来ず、絞め殺されかけます。
 そのぎりぎりのところで、彼が目覚めます。
「あー……おはよう」
 最後に私の頬をぺろりと嘗め、彼は私を解放します。呼吸すらも難しかった状態から一気に通常の状態に戻され、私は名残惜しいやらいっそ殺してほしかったような、そんな感覚になります。
 舌が半分になった状態ではうまくしゃべれませんので、私は頭全体を使って彼をリビングの方に促します。彼は私を抱き上げ、リビングの方に向かってくれました。本当は立てないこともない位の状態なのですが、いつも彼はリビングまで私を運んでくれます。
 それは彼の愛情の深さを表しているようで、私にとってこの時間は至福の時間でした。
 リビングにつくと、彼は私を広い食卓の上に載せます。別に私自身を食べる訳ではありません。いえ、ある意味では食べるのですが、私全体は食べません。単にこれは演出上の問題です。
 彼はキッチンに入ると、私の両腕と血の溜まったボウルを持ってきました。私の右手をかじりながら、です。私はそんな彼を睨みつけます。
(歩きながら食べるなんて……行儀が悪いですよ!)
 彼はそんな私の目を見て意図を読みとり、苦笑を浮かべます。
「ごめんごめん。あんまりおいしそうだったからさ……」
 そんな風にごまかしても許しません。私は早く席に座るように彼を促します。
 彼は私の前の席に座ります。食卓にあがっている私を嬉しそうに見てから、両手を私に向けて合わせました。
「それじゃあ、いただきます」
(どうぞ、召し上がれ)
 
 
~続く~
[ 2013/07/16 22:59 ] 小説・短編 食人病 | TB(0) | CM(0)

食人病2

 彼はまずさきほどちょっとかじっていた私の右手から食べ始めました。特に調理を何もしていない生人肉ですが、新鮮なものはそれだけでも十分食べられます。まあ、食人病の人以外の人が食べるのは無理だと思いますが。
 食人病の人は歯や顎が異様に発達し、その力も大きく向上しています。昔は兵士として戦争にかり出されることもあったという話ですが……それはまあいいでしょう。とにかく、人を食べるために体がつくり変わっているので、問題なく人肉も食べられるのです。
 ばりばりと二の腕辺りが骨ごとかじり取られました。もう神経はつながっていないのに、思わず体が震えてしまうのは仕方ないというものでしょう。数分前まで私の一部だった体が彼に食されていく。こんな幸せは他にありません。
 次に彼は血を飲んでいきます。普通、人の血というのものはすぐに凝固してしまってろくに飲めたものではないのですが、私の流す血は体に流れていなければただの水とそう変わりがないものです。むしろ、体から離れない内は普通の血に近いですが、離れて暫くすると普通なら凝固するところが逆に水に近づくという感じです。色的にはトマトジュースですが、どちらかというとスポーツドリンクの方が食感は近いらしいです。
 自分で自分の血を飲むことはありませんので、あくまで彼が言っていた内容によるのですが。
 彼はまた右手に戻り、今度は指を噛み千切ります。小指が一番おいしいらしく、彼はいつも親指の方から食べて小指の方へと向かいます。すっかり指がなくなってしまった私の手は、なんだか奇妙な形になってしまいました。指がなくなっただけだというのに、おかしな話です。
「うーん、やっぱり小指はうまいな……鳥の軟骨みたいなこの食感がたまらない」
 こりこり、バリバリ、ぐちゅぐちゅ。
 彼はすっかり指を平らげてしまうと、手のひらを丸ごと口に入れ、手首のところで噛み千切ってしまいました。さすがに一度に口にいれた分がちょっと大きかったのか、租借しにくそうにしていた。
「むぐ……もむぅうむ」
 その状態で喋ろうとするので、私は少し怒って口を開きました。
「行儀が悪いですよ。ちゃんと飲み込んでから喋ってください」
 私の言葉を聞いて、素直に口の中のものを完全に飲み込んでから彼は改めて口を開いた。
「ごめんごめん。……けど、もう舌治ったの?」
 私は赤い舌をぺろりと出して見せました。彼は感心したように唸る。
「早いな……前はもっと時間かかってなかったけ?」
「何度も繰り返すと細胞が馴染んでくるみたいです。特に口の中は元々治りやすい箇所ですしね」
 さすがに腕はそんなに早く治らないのですが。
「ところで、そろそろ急がないとまずいのでは?」
 私がそう時計を見るように促すと、彼は目を見開いて慌てました。
「やっべ、今日朝一で会議なんだった!」
 慌てて彼は残った私の右腕を食べると、ボウルの血を飲み干し、左腕を布でくるんで鞄につっこんだ。あんまり乱暴に扱われるとさすがに愉快な気持ちにはなれない。
「きちんと食べてくださいね。前みたいに残したりしたら承知しませんから」
「いや、あのときは暑かったからちょっと腐っちゃって……ごめんなさいなんでもないですその目はやめて怖い」
 少し力を込めて睨むと、彼はすぐに謝ってくれた。どうも私は目力があるみたいで、彼はそんな私の目が怖いらしいのです。
 正直怖がられるのは本意ではないのですが、彼が反省してくれるのならばよしとしましょう。
 私は腕が使えないので転ばないように注意しながら、食卓の上から降りました。
「早めに帰ってきてくださいね」
 玄関まで見送りにいくと、彼は出て行く前に私に軽くキスをした。さすがにこのときは何もしない。唇くらい噛み取られるかと思ってたけど。
 彼は笑顔で玄関を開ける。
「わかってるよ。それじゃあいってきます」
「いってらしゃい」
 彼が出て行った後、私はキッチンに戻り、自分用に用意しておいた朝食を口にします。
 それは全部手が使えなくても食べれるようにしておいたもので、ストローで飲めるようになっています。特別にエネルギーが大量に含まれていて、これを食べることでさらなる再生を促すことが出来ます。
 少し再生しつつある腕を見て、私はため息を吐きました。
「……うーん。まだまだ足りないなぁ」
 彼は本来結構な大食漢でした。食人病になると食欲を満たすことが出来るのは人の肉だけになってしまいます。普通の食材も食べられなくはないのですが、やはり人肉を食べるのが一番いいのだと言われていました。
 一般的に食人病の人が一日に必要な食事量は一人分らしいですが、大食漢な彼は一人分じゃ満足できないのがわかっています。本人は食べられるだけ幸せと言ってくれますが、私としては彼がおなかいっぱい食べてくれれば嬉しいです。
 ですので、私は再生力に磨きをかけることにしているのです。そうすれば、彼がいくら食べても大丈夫ですし。
 とりあえず、私は両腕が生え揃うのを待って、今日の家事を行うことにしました。


~続く~
[ 2013/07/17 20:00 ] 小説・短編 食人病 | TB(0) | CM(0)

食人病3

 現在の世界環境において、食人病に対する理解はとてもあります。
 そのため、私のように食人病の彼に「一番食べたい相手」として指定されると、彼を満たすという大義を果たすために、普通に働いているのと変わらない金銭を得ることが出来ます。もちろんその代わりに彼はある程度強制されて職業につかなければならず、国のために勤めることが義務だとされています。食人病の人達は普通の人とはちょっと違う体のつくりや丈夫さを利用して、彼らにしか出来ない仕事を行っているらしいです。
 それはさておき、私は彼の食人指定によって色々と恵まれた立場にいますが、それゆえに私はそれに甘んじるつもりはありませんでした。家事など直接的に彼のためになることをしている時以外は、大抵自分のスキルを磨くために時間を費やします。もちろんこの場合のスキルとは自分のためのスキルではありません。
 私は美味しい人肉の料理の仕方を学ぶため、週一回の『食人指定主婦の会』に参加しています。そこでは私と同じように食人病の人に『食人指定』された人達が集まって情報交換や交流を続けています。
「こんにちはー」
 公民館に顔を出すと、たくさんの人が出迎えてくれました。
「あら、こんにちは。今日も暑いわねー」
「奥さん聞いて聞いて? この前、太股の肉を揚げてみたんだけど……」
「やっぱりドレッシングは血とマヨネーズを混ぜた赤マヨネーズよねー」
「髪の毛って美味しい食べ方あるのかしら?」
 食人指定されている主婦ならではの会話が当たり前のように交わされています。この場所に来る度、私は皆が生き生きとしていて幸せそうだと感じていました。
「そういえばこの前、主人がお弁当で持たせた腕を腐らせちゃった時があって……その部分残して帰ってきたんですよ。ヒドいと思いません?」
 私がその話を振ると、皆は一斉に憤ってくれました。
「それはヒドいわ! 食人病の人は体が丈夫なんだから、少しくらい腐ったって平気なのにね!」
「人の肉を大事にしない人なんて、私だったら別れちゃうかも……」
「私なら暫く腐った肉しか出さないわ」
「……うちの人は腐ったくらいが丁度いいって」
「この時期、お弁当に包むのでも、考えないといけないわよねえ。保冷剤とか一緒にくるむとか……」
「けど、そうすると肉の味が一気に落ちるのよねぇ、やっぱり」
「塩漬けにするとかどう?」
「焼いておくとか」
「いえ、いっそ揚げちゃうとか?」
 わいわいと話を続けます。やっぱり仲間っていいなぁ、と私は思います。
 その後、体の一部が欠損しても出来る調理の仕方や、肉の味を損なわない味付けの仕方などを学んで、私達は話を続けた。
「それじゃあ、今日は一人分の材料を丸ごと使った料理を試してみましょうか」
 リーダーの人の合図に従い、私達は今日の実践を始めました。
 用意するのは新鮮な人間肉一人分。人間肉というのはまだパートナーを見つけていない食人病の人が食べる用に提供される食材であり、人間そのものです。ただしもちrん普通の人とは違い、食べるように繁殖された人間で、その味や食感は牛に近いものがあります。
 リーダーの人がつれてきたその人間肉は、まだ小さな個体でした。
 
 
~続く~
[ 2013/07/18 20:00 ] 小説・短編 食人病 | TB(0) | CM(0)

食人病4

 きょとんとした顔つきでリーダーの人に連れられています。
「今日の提供品はこれです。ちょっと小さいですが、大きい物は単にこれを応用するだけでいいので簡単でしょう。それでは始めます」
 人間肉に対してリーダーは机の上に上がるように指示します。逆らうことを覚えていないその人間肉はおとなしく机の上に上がり、寝転がりました。リーダーは大きな斧のようなものを持ってきます。
「バケツを準備しておいて。結構な量の血が出ますから大きめのを」
 人間肉を机の端から頭が出るようにうつ伏せで寝かせ、私達はその周りに集まってからだを抑えつけます。バケツは人間肉の頭の下に置きました。
「よーし、それじゃあ、逝くわよー」
 リーダーは気負いのない様子で斧を振り上げ、そして打ち下ろします。
 人間肉の首は案外あっさりと切断され、そのまま下におかれていたバケツに落下して大きな音を立てました。噴きだした血がどんどん流れ、そのバケツに溜まっていきます。自分自身の血に沈むことになった人間肉は、もはやぴくりとも動きません。切断された直後は脊髄反射か何かわかりませんが体の方はぴくぴく動いていたものですが、いまではすっかり沈黙してしまいました。
 リーダーの指揮の元、私達は人間肉を調理しながら言葉を交わします。
「まず足ですね。両方とも切断してしまいましょう」
 先ほど首を跳ねた時に使った斧を使用して人間肉の両足を切断します。これだけでも一人でやろうとすると十分大変ですが、さすがに仲間がたくさんいる状況だとサクサク進めることが出来ます。
 二本の足は輪切りにして、そこからさらに飾り切りなどで分割してから更に並べます。大皿の上がお花で飾り付けたように賑やかになりました。
 それから次は腕です。肩口から落として肘、手首と三等分します。
「手のひらの部分は好きな形を作らせて置いてください。もし何かしらの大事な日であればグーサインなどがいいでしょうね」
 どんどん調理は進んでいき、次は内蔵でした。腹筋を避けて刃を入れ、中身を引っ張りだしていきます。
 肝臓や膵臓をスライスしておき、胃は丸ごと置きます。人間肉の中には何も入っていないけどもし自分たちを調理する時は事前に体の中は綺麗にしておかなければならないと注意を受けました。
「食べたあとのものなどがあるとさすがに臭くなってしまいますので、もしも急な食事の時は、思い切って胃や腸は捨てた方がいいでしょう」
 子宮を摘出します。卵巣も一緒についてきました。
 卵巣は切り取って子宮の中に詰め込んでしまうようです。
「この辺りは一緒に食べた方が美味しいですからね。卵子がよく作られていると味に深みがでるので、調理する日は、排卵日を避けた方がいいでしょう」
 内蔵をほとんど調理し、体はほとんどばらっばらになりました。あばら骨も肉がついたまま油でからっと揚げ、非常に香ばしい匂いが漂い始めます。
「さて。背骨の中にある脊髄は非常に食感のいいものですので、かき出しておいてゼリーのようにして出しましょう」
 透明で涼しげな器に脊髄が盛られました。
 最後にこれまでに調理したすべての器官を大皿に並べ、人間肉一人分づくりの完成です。
 思わず全員で拍手をしてしまったほど、大変な作業になりました。
「いやー、作った甲斐があるわね!」
「中々難しいですね……」
「一人じゃできないし、本当に特別な日に皆に頼んでやってもらうしかなさそうね」
「そういえば頭はどうしたんですか?」
「ここにあるわよ。丸ごとニンゲン用ミキサーにかけたの」
「うわっ、贅沢ー」
「目玉の食感が好きって言う人もいるから、それは別にしてるけど」
「わー、すごい」
 賑やかに話し合っていた私達だけど、ふと皆が気になっていたことを口にする。
「あの、ところでこの肉誰が食べるんですか?」
 食人指定を受けている私達は当然皆食人病ではない普通の人間です。つまり人肉は食べられないのです。
 まさか丸ごと無駄になってしまうのでしょうか?
 私達がリーダーを見ると、リーダーはにっこりと笑いました。
 
 
~続く~
[ 2013/07/19 20:00 ] 小説・短編 食人病 | TB(0) | CM(0)

食人病5

「もちろんそんな無駄なことはしませんよ。今日は――」
「しっつれーいしまーす。おっ、すげえ上手そうな料理が並んでますね!」
 公民館の中に、一人の青年が入ってきました。その隣にはなぜか同い年くらいの女性もいます。
 他のメンバーが戸惑っていると、リーダーは二人の側にいって私達に紹介してくれます。
「紹介するわね。こちら、つい先日食人病と診断されたご兄妹なの」
「え?」
「いやー、そうなんすよー。まさか自分がそんなのになるとは思っていなかったんでびっくりしゃったっすよー」
 青年の方はどこまでも軽い人でした。対照的に妹さんの方はその背に隠れてしまっていましたが。
「色々と手続きがややこしくて、仕事とかも中々回ってこなくて。まだ俺もこいつもパートナーがいなくていつも味気ないパックの人肉ばっかり喰ってましてねー。今日はごちそうがあるっていうんで図々しくも来ちゃいました!」
 ノリは軽いけど、憎めない人だと感じます。
 テーブルの側に近づいてじゅるりと舌なめずりをしていました。
「で、食べちゃってもいいんすよね?」
「もちろんどうぞ。妹さんもどうぞ遠慮せずに」
「……い、いただきます。ごめんなさい」
 なぜか謝る妹さんでした。リーダーは優しい笑顔を二人に向けてから、私達の方を向きます。
「さぁ、二人が食べてくれてる間に、私達は調理に使った道具や場所を掃除しましょう」
 そのリーダーの号令に従って、私達は片づけを始めます。
 片づけながらちらりと様子をうかがうと、青年の方がガツガツと美味しそうに食べまくっていました。
「うめえ! さすが新鮮な人間肉の作りは違うなー! おい、これ食ってみろってすごく美味いから!」
 うまいとすごいを連呼しながら青年は妹さんの前に美味しかった部位を差し出します。妹さんの方は戸惑いながらも、それを食べて「おいしい」と小さくですが口にしていました。
 なんだかすごく対照的な兄妹でした。
 それにしても、と私は仲間にこっそり話しかけます。
「女性の食人病患者って珍しいですよね」
「え? ああ、そうね。基本食人病にかかるのは男性の方が多いからねー。でも、皆無じゃないし、きっと仕事場なら仲良くなれる同類もいるんじゃないかしら」
 控えめな様子で大腿骨をかみ砕いている妹さんを見ながら、私は変わった境遇に置かれた彼女が少し不憫に思えました。


 その晩のことです。
 言っていた通り早めに帰ってきてくれた彼とのんびりと絡み合いながら、私は彼に訪ねていました。
「そういえば、あなたが行っている仕事場に女性の食人病患者さんはいらっしゃるんですか?」
「ん? いや、いないね。女性の食人病患者って珍しいし」
 あっさりと答えた言葉に、私は少しほっとします。そのあからさまな安心は伝わってしまったようでした。
「あれ? もしかして浮気心配されてた?」
 図星でした。同様を押し殺して答えます。
「いいえ、そんなまさか」
「そういう割には……」
 ぐっと握りしめられて、一瞬気が遠くなります。
「心臓の鼓動がやけに早くなったけど?」
 私はぐうの音も出ませんでした。私の胸を貫いて心臓を鷲掴みにしている彼はにやにやと少し品のない様子で笑っています。
「ばっかだなぁ。俺はこんなにもお前が好きなのに」
「…………心臓を鷲掴みにするほど?」
「そう。お前のハートは俺の物、ってか?」
 さらにぐぐっと力が込められ、私の気が遠くなります。彼は相変わらず楽しげでした。
「これはちょっと、俺がどれくらいお前を愛しているか伝えないといけないかな……食人病ならではの方法で」
「……全部食べちゃだめですよ」
「しないよ。したいけど。……っていうかもしかして全部食べられるのはいやなの?」
 ちょっと哀しそうに彼は眉を八の字に曲げます。私は即座に応じました。
「いいえ。別に食べられてもかまいませんが、それは法律で禁じられています。脳を全部食べられると再生ができなくなりますし、それでなくても記憶の混濁が起きますし、困るなぁというだけです。だから私は「いや」ではなく「だめ」だと言ったのです」
 その辺りの微妙な機微は彼に通じなかったようですね。
 そうして説明をすれば彼もはっきりとわかったらしく、嬉しそうに笑ってくれました。
「じゃあ、それだけ気を付けて、君のことを食べれるだけ食べてあげる」
 額にキスを落とされる。私は情熱的にすぎる愛の言葉に顔が赤くなるのを感じながら、全てを彼に委ねます。

 そして、私は今日も食べられるのです。
 
 
~食人病 終わり~
 
 
[ 2013/07/20 20:00 ] 小説・短編 食人病 | TB(0) | CM(0)

不死者遊び1

 ざくり、と自分の身体を傷つける。

 鈍い刃が食い込んだ肉からは紅い血が流れ出し、白い骨がその傷口から除いていた。
 脳が焼けるような激痛が走ったけれど、特に気にする必要はなかった。そもそも痛みというものは危険信号であり、危険でなければ気にする必要のないものだからだ。
「……んー」
 僅かに骨に食い込んだ刃を抜き取ると、その傷は瞬く間に修復して行く。再生の際にも強い痛みを感じるのだけど、いまではそれも慣れてしまってちょっとした刺激にしかなっていない。
「やっぱり、足りないなぁ……」
 自分で自分を傷つけることには限界がある。
 構えることが出来る分、刺激として物足りなく感じてしまうのだと思う。
 一時期はこの体質のせいで迫害されていた時代もあったけど、その頃に受けた痛みはいまから思えば非常に刺激的だった。
 あの頃のようにはなれないけど、あの頃の痛みを少しは思い出してみたいものだった。
 すっかり痛みに慣れてしまったいまでは望むべくもないことだけど。
 少しでも刺激が欲しかった。
「……そうだ、ダンジョンいこう」
 かつての文明が誇る防衛システムに引っ掛かれば、予想外の刺激が受けられる。
 あるいは――本当に私を殺してくれるかもしれない。
 そう考えると、急に意欲が湧いて来た。準備などする必要もないから、そのままねぐらにしている部屋を出る。
 まぶしい光が私の目に差しこんで来て、思わず目を手で庇う。
「……んー、いい天気」
 太陽はいつも変わらない。私もいつも変わらない。町もいつもと変わらない。

 荒廃した世界は今日も静かだった。
[ 2013/09/10 20:55 ] 小説・短編 不死者遊び | TB(0) | CM(0)

不死者遊び2

 人間はそもそもが欠陥品だったらしい。
 元は人間である私でさえ、そう思わざるを得なかった。不死者となってからは人間達に悪魔だのなんだの言われて迫害され続けて、ひたすら殺され続けたものだけど、結局そんな人外に滅ぼされるまでもなく、人間達は勝手に死んでいった。
 他の動物や魔物や人外が決してしない、同士撃ちという形で。
 結果として世界は荒廃し、いまでは生きているのは私のような不死者か、逞しく生きる動植物くらいのものだ。
 最後に人間や不死者を見てから、もう何千年が経過しただろう。不死者は死ねないからどこかにいるはずなのだけど、この広い世界では会う可能性は限りなく低かった。
 特に私が住んでいるこの地域はどうやら地理的に閉じているらしく、よほどの意思がなければ辿り着くことが出来ないらしい。具体的には船や飛行船が必要なのだ。
 私は私以外の不死者に会ったことが少ないから何とも言えないけど、恐らく他の不死者達にそんな気概があるとは思えない。
 基本的に何しても死なない不死者達は、無気力なものなのだ。年がら年中役に立つような立たないような思慮に耽る者が多いと聞いた。

 私を不死者にした不死者はそういう意味では異端だったのかもしれない。

 その不死者はどこにいったかわからないけど、もはやわかる必要もない。
 とりあえず、私は刺激が欲しかった。
「んー、久々の外は寒いなぁ……」
 私は立ち止まって大きく伸びをする。何百年か自分で自分を壊し続けた所為か、身体の動きに不調は見られない。何千年と思慮に耽る不死者の中には身体の動かし方を忘れてしまう者もいるらしいけど、私はずっと身体を動かしていたのでそんなことにはならなかった。
 人間だった頃には裸で外をうろつきまわる、なんてことは考えもしなかったけれど、いまとなっては普通のことだ。服なんて汚れるだけだし、寒さにも暑さにも平気な不死者にとっては無駄なものでしかない。
 それでも、他に人間がいたころは一応布を巻きつけたりといった分別は付けていたものだけど、誰もいないいまの世界でそんな配慮をする必要もなかった。
 これからいくダンジョンでどうせボロボロになるのだし、わざわざ着ていく理由も感じなかった。
 ダンジョンはその昔人間達が蓄えた財産を護るために用意したものだ。その財産を取りにくる主がいなくなったいまも、律義に侵入者に対して警戒を続けている。
 そこでなら、私が構えることも出来ない痛みを私に与えてくれることだろう。
 もっと早く思い立てば良かった。
 どれほど徹底的に、また容赦なく自分が傷つけられるのかということを想像すると、忘れかかっていた興奮が呼び起こされる。

 丸出しのあそこから、何百年かぶりに熱を伴った液が零れる感覚がした。
[ 2013/09/11 20:00 ] 小説・短編 不死者遊び | TB(0) | CM(0)

不死者遊び3

 ダンジョンはかつて栄華を誇った人間達が、自分達の抱えた財産を護ろうとして作りだした一種の宝物庫だ。
 デス・トラップが多々存在し、基本的にその構造を熟知しているのはそのダンジョンの持ち主だけのため、なにかしらダンジョンの持ち主が不慮の事故で亡くなったりした場合、そのダンジョンは宝物が取り出せないまま、放置されることもままあったという。
 そんな時に私のような不死者がダンジョン踏破を依頼として受けていた時代もあったらしい。私は人と距離をおいていたから詳しいことは知らないのだけど。
 それはともかく、私はとあるダンジョンの目の前にまで来た。
 ダンジョンの位置口は『この先危険』『所有者死亡のため、トラップ解除不可領域』という看板がいくつも立っている。まさに私が求めていたダンジョンの類だ。その看板の多さと文面の強烈さから、このダンジョンがどれほどの危険度かは大体わかる。このダンジョンは凄まじい感じだった。何せその看板で道が塞がっているほどだからだ。
 それは転じて、期待出来るダンジョンであることを示している。
「さて……と」
 どんなトラップが待っているのだろうか、いや、どんな死にざまが待っているのだろうか。
 ダンジョンの入口は観音開きの巨大な鉄扉が設置されていて、その扉を潜った先がダンジョンの領域になっている。
 私は看板の壁を潜り抜け、ダンジョンの入口を潜る。

 その瞬間、勢いよくダンジョンの入口の扉が閉まり、その間に挟まれた私の首が千切れて転がった。

 ぐるぐる回る視界を認識しながら、私は考える。
(何かあるとは思ったけど……まさか扉そのもので殺されるなんてね……)
 私の首と胴体は鉄製の扉に阻まれて寸断された。体の方の感覚は伝わって来ないけど、扉の向こうで地面に倒れる音がした。
 ダンジョンの中に転がった頭の方には、さらにトラップが襲いかかる。床からt無数の槍が足の踏み場もないほどに突き出してきて、それが目に差さって持ち上げられた。
 かと思うと横の壁から無数の矢が放たれ、即頭部に一本、頬を貫いた一本、下顎に一本、合計三本の矢が突き立った。
(あー、徹底的すぎるでしょ、これ……)
 さらに吊り天井が落ちて来て、槍や矢ごと私の頭部は叩きつぶされた。
 平べったくなる感覚だけが全てを支配して、私の意識は一端途切れる。
[ 2013/09/13 20:00 ] 小説・短編 不死者遊び | TB(0) | CM(0)

不死者遊び4

 不死者の復活は理不尽かつ強引に行われる。
 完膚なきまで潰された私の体は、一端液体状に溶け、天井が落ちてきたその先で復活する。例え全方位を隙間なく埋められようと、それをすり抜けた先で復活する不死者の力ならばただ潰されただけなど、ただ歩いていて小石に蹴躓いた程度のことだ。
 私は復活した体を解しながら、真っ暗闇が続くダンジョンの先を見た。目ではなく心で周辺の状況はわかる。魔力による感知能力だ。ダンジョンの中には火が灯されたことを感知してトラップが発動することもある。不死者の魔力感知能力はその点もダンジョン探索に不死者が優れている証だった。
「うーん……でも、どうせだから」
 今回私は安全にダンジョンをクリアすることを目的としていない。
 だからあえて魔力感知を切って、ばちんと指を鳴らして魔法の火を灯す。
 瞬間、ダンジョンが燃え上がった。虫一匹逃さないと言うような、激しい炎が吹き荒れる。
 その直中にいた私の体は、あっという間に全身が爛れて、骨まで浸透する火力に叫び声を上げながらくるくると踊り、倒れる。肺が焼けて呼吸もできない。もちろん他の臓器も徹底的に焼却され、あっという間に意識が途切れた。

 数時間なのか数日なのか、とにかくそれなりに長い時間炎は燃え盛って消えたらしい。
 再び復活した私は、ため息を吐く。
「さすがに容赦ないっていうか……人間相手には容赦なさすぎでしょ」
 最初のトラップを運よくかわせたとしても、視界を確保しようとしたところで全方位焼却が待っている。よほどの大魔術師でもない限りはあの火炎の勢いは凌ぎきれないだろうし、そんな魔術師が最初の物理的トラップをかわせるとは思えない。
 絶妙なまでに配置された技の数々に、つい楽しくなってきてしまった。
「次はどんな風に殺されるのかなー♪」
 鼻歌交じりに足を一歩踏み出す。その踏んだ床が沈んだかと思うと、その穴が閉じて呑み込んだ足を挟み潰す。
「ぎっ!」
 思わず悲鳴を上げる暇もなく、横の壁がスライドして私の身体を押して来た。当然、床に挟まれたままの足は千切れてしまう。
 壁が押し出した先には長くて深い段差が連続していて、私は足の傷口から血をまき散らして落下しながら何度も叩きつけられて全身が粉々になるような衝撃を受けた。
「……ッ!」
 もう声も出ない状態になった時、水の中に頭から飛び込む。溺死を心配する必要はなかった。
 その水だと思ったものは、硫酸のような、溶解性のものだったからだ。
 全身の皮膚が解かされ、全身から余すことなく激痛を感じる。
[ 2013/09/14 17:00 ] 小説・短編 不死者遊び | TB(0) | CM(0)

不死者遊び5

 例え原形を一切留めない程に解かされようと、別の液体に混ぜ込まれようと、復活は割と容易だ。
 水際で復活した私は、つくづく恐ろしい罠を仕掛けまくっているダンジョンの持ち主に感心してしまう。
「迫り壁を脚を切断するために使ってくるとはね……」
 足元を固定するだけなら、鎧でも来ていれば平気だろう。けれど、そこからの壁迫りは色んな意味で仕掛けとして酷過ぎる。
 いくら強力な戦士であっても、壁全体が迫って来るのを受け止め切るのは難しい。
 足を片方でも失ってしまえば、機動力はあっという間に落ち込むだろうし、次々襲いかかって来る罠に対応することは出来ないだろう。
「……ほんと、容赦ないよねぇ」
 私は溜息を吐いて立ちあがる。まあ、その容赦のなさがいいからいいんだけど。
 立ちあがった私の首が飛んだ。
「うぇ」
 思わずそんな声が出る。
 普通に立ちあがっただけなのになんでかと思えば、真横の壁から刃が射出されたようだった。丁度立ちあがると発動する位置に感知式の何かが設置されていたようだ。
 全く本当にこのダンジョンは心の隙を付いてくるダンジョンだった。
 くるくる回った頭部が、硫酸溜まりの中に落ちて、再び溶けた。
[ 2013/09/16 22:00 ] 小説・短編 不死者遊び | TB(0) | CM(0)
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