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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

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ああ、残酷な幻想 ~オークの集落~ 1

 この世に存在する行為の中で、オークの慰み物になることほど悲惨なことはない。
 彼らは魔物に分類される生物ではあるが、その旺盛な性欲と征服欲は留まることを知らず、全てを支配するまでは止まらないという。
 それは当然、性交における異性に対する行為でも変わらなかった。この世界でオークという種族には雌がいない。
 彼らは繁殖する際、同じ同族ではなく、人間やエルフ、ドワーフなどといった人型の異種族を母体とすることで知られていた。彼らにとって繁殖とは至上命題であり、それを実現するために戦っているといっても過言ではない。屈強な腕も体も、全ては別種族の雌を浚い、そして種を植え付けるためのものなのだ。それだけ割り切っている種族だからこそ、他を侵略し、数を増やして来た、
 オークは国を持たず、基本的に集団として行動することが大多数だ。基本的に定住することなく、国から国へと渡り歩き、そこで別種族の雌を見つけては襲い、奪って、自分たちの集落に連れ帰る。その上で四六時中犯し、子供を孕ませ、生み落させるだけ生み落させると、すぐに殺してしまう。
 そんな、異種族の雌からすると悪夢のような循環で子孫を増やしていくうのだ。

 その町にも、そんなオークの集団はやって来た。
『オゥ! オメエラ、サッサと歩ケ!』
 そう言ってオークの屈強な戦士が人間の女達を促していく。
 すでに街の自衛団は壊滅し、戦える年齢の男達は全滅してしまっていた。いたるところで死体が山と積まれている。
 女達は一度一か所に集められ、そこから街を出る方向に向かってオーク達に連れていかれていた。
 地獄を見てしまったから、女達もすっかり意気消沈してしまっている様子で、抵抗する気力もなさそうだった。
 街の外へ出て、道が荒れてくると、女達の中には付いて行けなくなる者が出る。
『早く歩ケ! ドウシタ! もう歩けないノカ!?』
 棍棒を振り回すオークに尻を叩かれ、慌てて駆け出す女もいれば、その場に崩れ落ちてしまい、動けなくなる女もいた。
 オーク達はそんな脱落者に向け、容赦なく棍棒を振り降ろし、ただの肉塊に変えて担いで行く。
 まさに地獄の行軍だ。それはオーク達が一時的に集落としている場所に辿りつくまで続いた。

ああ、残酷な幻想 ~オークの集落~ 2

 命を所有したまま、オークの集落についた女達だが、それからはさらに悲惨な現実が待っている。
 最初に各オーク達は自分のものにする女を、戦利品である女の中から選び取る。それは地位の高い者から行われ、そうして選ばれた女たちはそのオーク専属の奴隷となって生きて行くことになる。それはオーク達にとって一種のステータスであり、ここで選ばれた女達はまだ幸せな方だ。先輩の奴隷に連れられてその女達は各オークの趣味に合うように教育されていくことになる。
 その選出に漏れた女達は、オークの集落全体の共有財産として、奴隷小屋と呼ばれている大きな小屋に連れていかれる。
 そこでは、裸に剥かれた女たちが、個人所有の奴隷だけでは満足できない、あるいはすでに自分所有の奴隷を使い潰してしまった下級のオーク達によって凌辱されていた。彼女達は集落全体の財産であるため、いきなり殺されるということはない。個人所有の奴隷はその主人の気まぐれで殺されることもあるから、その点においてのみは恵まれていると言える。
 だが、命がある程度保証されているというだけで、地獄は変わらない。
『オーイ、ボルダール! 新しい女ダゾ!』
 新しい奴隷達を連れて来たオークが小屋の奥に向かってそう呼びかけると、小屋の奥で作業をしていたオークがノシノシと歩いて来た。
『おー。ご苦労ダナ。ソイツラか?』
 ボルダールと呼ばれたオークが現れた時、連れて来られた新しい女達は恐怖に息を呑んだ。
 それはボルダールが他のオークに輪をかけて醜悪な姿をしていたから……ではない。
 むしろ、ボルダール自身は他のオークに比べて一回り小さく、筋肉でしか出来ていないようなオークの戦士に比べるとひ弱な印象さえ受ける。
 彼女達を恐怖させたのは、そのボルダールの股間に存在しうるものだった。
 ボルダールの生殖器は、人間で言う大の男の腕ほどの太さを有していた。それだけなら、他のオークに劣っているだけのことだ。
 しかし、そのペニスには、現在進行形で、一人の少女が貫かれていた。

ああ、残酷な幻想 ~オークの集落~ 3

 その少女は、両手両足を根元から切断され、ギリギリまで軽く削ぎ落されていた。
 彼女の肛門にオーガの太いペニスが突き立っている。直腸を優に通り過ぎているのか、彼女の下腹部は醜く盛り上がっていた。
 ボルダールがその少女の胴を大きな手で握り、上下させて自分のペニスを彼女の身体で扱きあげる。
 少女からは呻き声が聞こえてくる。貫かれていることによる苦しみなのかはわからない。ただ言えるのは、彼女はもう長くないということだろう。
 ボルタールが腰を突き出しながら、彼女の中に向けて大量の射精に達する。一瞬で彼女の腹部が膨れ上がり、どれほど注ぎこまれているか外からでもよくわかる。
 そして、彼女は口から汚物混じりの嘔吐をした。後ろの穴から注ぎ込まれたボルダールの精液が口まで逆流したのだ。むせながら、吐きながら、少女はびくりびくりと痙攣して。そして動かなくなる。
 ボルダールはそんな彼女をペニスから抜き取ると、その場に落とし、その大きな足で踏みつけた。
 ぐしゃり、と処女はただの肉塊となり、地面に混じって人間だったかどうかもわからなくなった。
『アー、スッキリしたゼ。次はドイツを使うカナ』
 ボルダールは新しく連れて来られた女達を見渡す。そのボルダールの視線に、女達は恐怖に身を縮めることしか出来なかった。
『オレはボスから共有奴隷の処分を一人されてイル。オレの期限を損ねることは死ヌことダ。ヨク覚えてオケ』
 彼は戦闘力に秀でなかった代わりに、生殖能力に非常に優れていた。それゆえ、彼は戦いで得た奴隷たちを管理、教育する役目を担っているのだ。
 その一環として、彼には奴隷を自由に処分する権限が与えられている。

ああ、残酷な幻想 ~オークの集落~ 4

 ボルダールが新しく連れて来られた女性達を見定める。
 ほとんどの女性が恐怖に満ちた視線を返している中で、一人だけ浮かんでいる感情が恐怖だけではない女性にボルダールが気付いた。
『オマエ、生意気ダナ! ヨシ、次のペニスケースはオマエダ!』
 ずん、と大きな足音を立てて、ボルダールがその女性に向かって歩き出す。
 その巻き添えになっては溜まらないとばかりに、その他の女性達が脇に避けた。
 強気な視線を返す女性は、とっさに足元に落ちていた石を握る。
「この……っ、化け物! 夫の仇!」
 ボルダールに向けて投擲された石を、ボルダールは避けなかった。手の平で弾き落とす。
 そして、無造作に一歩近づき、女性に向けてその無骨な拳を繰り出した。
 腹部に拳がめりこみ、一気に壁まで飛んで叩きつけられる。
『オヤァ? ズイブン脆いナ! コノ前のエルフのヤツラに比べると肉がヨク乗ってる癖に!』
 そんなボルダールの呟きに、彼女達をここに連れて来たオークが応える。
『エルフのヤツラは魔法で自分の身体を強化シテルからナ。一般的な人間の強度はコンナもんダ。あまり壊し過ぎるナヨ』
 あとは任せた、と言いたげにそのオークは去っていく。
 ボルダールは軽くうなずいたのち、改めて吹き飛ばした女性に近づいて行く。
『オイ、死んだノカ?』
「……げっ、げほっ、がふっ」
 血を吐きながらその身体を痙攣させる女性。ボルダールはにやりと笑った。

ああ、残酷な幻想 ~オークの集落~ 5

『少しはしぶといようダナ。ソウでなくては使い甲斐も無いガ』
 ボルダールは腰に提げていた分厚いナイフを取り出す。そのナイフを片手に、壁に叩きつけられて痙攣している女性に近づいた。
 地面を転がって悶える女性の胸倉を掴んだかと思うと、ボルダールは半ば力任せに女性から服を剥ぎ取って行く。
 あっという間に裸に剥かれた女性だが、悲鳴を上げる余裕はない。裸に剥かれた女性を、ボルダールはその醜悪な舌で舐め上げる。
『ウーム、ヤハリ新鮮な奴はイイナ! 爛れたクズどもに比べれば、人間でアッテもそれなりダ』
 そう満足げに呟いたボルダールは、その女性の腕を持ち、軽く捻るようにして肩の関節を破壊した。
「ぎゃ、あああああああっっ!? げぼっ!」
『ウルサイ』
 関節を破壊される痛みに悲鳴を上げた女性の腹部を、ボルダールが踏み付ける。
 ボルダールは一端ナイフを収め、両手を使って女性の両手両足を徹底的に破壊する。
 悲鳴が響くと同時に、連れて来られた女性達も身体を震わせる。恐怖と絶望がその場所を満たしていた。
 四肢を破壊され、もはや悲鳴すらあげられなくなった女性を、ボルダールは掴み上げ、そしてその腹部をさらに殴打する。
「げっ、げぼっ!」
 血混じりの汚物を吐きだし、女性が痙攣する。ボルダールは満足そうに頷いたのち、その女性の股間を舐め上げた。
 おぞましい感覚が女性を襲ったが、すでに女性にその感覚に見悶える余裕はなかった。ただ、舐められるままに揺れる。
『サテ……』
 ボルダールはぶらぶら揺れる女性の胴体を握り、その性器に自分のいちもつを押し付ける。オークの中では細いとはいえ、成人男性の腕ほどはあるボルダールのものはそう簡単に入りそうになかった。
 しかし、そこはボルダールも慣れたものだ。
『……フンッ!』
 気合い一発。そのペニスがかなり細くなる。ボルダールが身に付けた特殊技能であり、いちもつの太さを自在に変えられるというものだった。それでも人間サイズにはならず、かなり太かったが、人間の許容範囲には含まれている。
 ボルダールのペニスは先端に行くほど細くなっており、それは挿入に便利だった。
 容赦なく、そのペニスを女性の秘部に突き入れて行く。
「うぎっ、ぎゃ、ぎぅ……!」
 徐々に奥に入って行くに従って、女性が緩慢な悲鳴を上げる。ボルダールは奥までペニスを突き入れると、ふぅ、と一息吐いた。
 そして、その瞬間、反応の鈍かった女性が全力の悲鳴を上げる。彼女の中に付き入れられたボルダールのペニスが元の太さに戻り始めたのだ。
 無論、ボルダールのペニス本来の太さは人間の女性が許容できるレベルではない。ブチブチと体の中で千切れる音を女性は聞いていた。
『ウム、中々イイゾ!』
 ボルダールが軽く腰を振ると、それに伴って女性の身体が揺れる。根元の関節を破壊された四肢がぶらぶらと揺れた。
 その地獄のような光景に、女性たちが震えあがる。ボルダールは舌なめずりをしながら、その女性達を見下した。
『サア、オマエラをこれからしっかり教育してやろウ!』
 ボルダールがそう言って女性たちに近づく方向に一歩足を踏み出す。

 その女性たちの地獄は、これから始まるのだ。

~続く~

ああ、残酷な幻想 ~オークの集落~ まとめ

ああ、残酷な幻想シリーズ『オークの集落』のまとめです。
続きを読むからどうぞ。

ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ 1

 ケンタウロスの集団が、人間の村を襲っていた。
「はっはー! 狩り尽くせ!」
「ひーはー!」
 勇敢に立ち向かった男は蹄で踏み潰し、逃げまどう女は四肢を砕いてから背中に乗せて回収する。瞬く間に地獄絵図が出来上がっていた。
「よーし、こんなもんだろ! おめえら、帰るぞ!」
 ケンタウロスのリーダーがそう叫び、他のケンタウロスたちが呼応して走り出す。
 あとには死体が山と積み上がった人間の村だったものが残された。

 その村に、ふらりと一人の男が歩いてくる。
 男は極普通の旅装で、腰に長剣を提げていた。砂埃避けのフードを目深に被り、その表情はよく見えない。
 村に入った男は、戦闘の痕跡を確認する。
「ケンタウロスに襲われたか……あと少し遅ければ助かったのに、運のない奴らだ」
 死体が積み上がっていることに大した感慨は見せず、淡々と村を巡って端金を回収し、無事だった食料も盗って行く。
 その途中、地面に転がっていた少女の傍で男は足を止めた。
「……まだ生きているのか」
 人間の言葉で声をかけられ、少女がぴくりと反応する。その両足は潰れていて、胸のあたりもひしゃげていた。しかし、即死には至らなかったようで、まだ息があった。
 いままでは必死になって死んだふりをしていたのだろう。激しく咳き込み、血を吐く。
「あ……うぁ……たす……き……」
 重傷の身体ではまともに声を放つこともできないようだった。
 男はその少女の様子を観察し、冷静に判断する。
 どうやら少女はケンタウロスたちによって胸部を踏みつぶされたようだ。即死には至らなかったものの、長くは保たないのは明らかだ。ゆえに回収するだけ無駄だと判断されたのだろう。
「ふむ。あいつらにとっては、人間の女など自慰に使える肉袋感覚だからな。使えない者は捨てていくだろうなぁ」
 その言葉を聞いて、少女は激しい反応を見せた。
 胸を潰されて苦しいだろうに、男に向けて懇願する。
「おね、が……いも……たす……」
 断片的な言葉しか紡げなかったが、男はその意図を正確に理解した。
「攫われた妹を助けろと? ……そいつは麗しい姉妹愛だな」
 感心したように呟いた男は、腰に提げていた剣を抜く。それは刃紋が紫色に妖しく輝いている。いわゆる魔剣と呼ばれる代物だった。
「そういうのは、嫌いじゃない」

 そして、男はその魔剣を振るって、地面に転がる少女の首を落とした。

 少女は何が起こったのかわからない様子で目を瞬かせる。
 男は少女の首を無造作に掴んで、それを小脇に抱えた。胴体から切断された少女の首は、普通ならとっくに死んでいてもおかしくないはずなのに、まだ意思を持った動きで眼球を動かしていた。
「俺の剣は特別でな。こいつで切られた奴は俺が許可するまで死ねない。お前自体はもう助からないが、せめて妹のことを見届けさせてやるよ。いまからじゃ、助からないとは思うが」
 気まぐれに少女の願いを聞いてやる気になったらしい男は、にやりと笑う。
「馬肉を食うのも久しぶりだしな」
 そして、ケンタウロスの残した痕跡を辿って、歩き始める。

 このことを、ケンタウロスたちはまだ知らない。

ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ 2

 人間の村を襲い、大量の戦利品を手に入れたケンタウロスたちは、その夜、愉快な様子で宴を開いていた。
 集落の中心では大きな火が燃え上がっており、その周りでケンタウロスたちは思う存分飲み食いしていた。
「人間は弱いくせに数だけは多いからな! まったく容易い狩りだったわ!」
 ケンタウロスの中でもひときわ大きなケンタウロスが、集落の中心で豪快に酒を煽りながら哄笑した。周りのケンタウロスたちもそれに賛同して笑い声をあげる。
「バージにかかっちゃ、それこそ魔人だって似たようなもんだろ」
 そんな風におべっかをいう若いケンタウロスに、大きなケンタウロスのバージは大笑いをする。
「否定はせんがな! しかし浅黒い肌を持つ魔人は硬くて好かん。捕まえるならやっぱり柔らかくて美味そうな白い人間だ」
 いいながら、バージは目の前の焚き火に炙っていた一本の串を掴む。
 その先端には肛門から口までを貫かれた人間の少女が突き刺さっていた。丸焼きにされたそれは、微かに痙攣しており、生きたまま焼かれたのだということがわかる。
 バージはそれに豪快に噛みつき、柔らかいふくらはぎを噛みちぎって咀嚼する。
 豪快に被り付けるのはバージがひときわ大きな身体をしているがゆえだ。普通のケンタウロスたちはナイフで切り刻むなどして、細かくして食べている。
「うむ。美味い。やはり山の村の人間は美味いな。食っておるものに、木の実や山菜の比率が多いからだろうが……」
「前にこのあたりを通りかかったショウニンとかいうのは不味かったよなぁ。肉が臭いのなんのって」
「あれは酷かった。ドブ川を泳ぐ魚の方がまだ美味かったぞ」
「飾りは綺麗だったけどなー。女が着てたドレスは女たちの間で取り合いになったもんな」
 ゲラゲラと笑うケンタウロスたちに、バージは鼻を鳴らす。
「着飾ることに意味があるとは思えんがなぁ」
 バージは興味なさそうに呟く。そんなバージの傍に、メスのケンタウロスがやってきた。
 酒の追加を持ってきたのか、一抱えほどもある酒樽をバージの傍に置く。
「バージは女心って奴がわかってないねぇ。そんなだから強いくせに独り身なんだよ」
 豊満な胸を揺らし、愉快そうにそのケンタウロスのメスは笑う。
 それに対してバージは嫌そうな顔をした。
「うるさいぞリーゼ。独り身というなら、お前だってそうだろうが」
「あたしゃ自分より弱いもんに貞操を捧げる気にはなれないからね」
 そういってリーゼは周囲のケンタウロスをみやる。彼らはリーゼを目線を合わせないようにさっと目を逸らした。バージは少女の丸焼きの頭部を噛みちぎり、頭蓋骨をバリバリと噛み砕きながら言う。
「ふん。お前より強い男なんざ、この群れには俺しかいねえじゃねえか」
「……そうなんだよねえ。まったく困ったもんさ」
「ところでこの酒はどういうもんだ?」
 あっさりバージはリーゼが持ってきた酒樽の方に興味を移す。そのあまりに無思慮な行動に、周りのケンタウロスの額に汗が浮かんだ。
 リーゼは一拍だけ間を置き、溜息とともに酒樽の蓋を開けた。
 その中には、人間の破片が浮いていて、そして血だまりの中に、まだ生きている幼い少女が浮かんでいた。
「おおっ! 人間の生き酒か!」
「今日の戦利品で作った酒だよ。腹掻っ捌いて糞袋とか尿袋とかは取り除いてある。強力な延命効果のあるゲシの実の薬を塗り込んであるからあと數十分は生きてるだろうけど、さっさと飲まないと死に酒になるよ」
 バージは嬉しそうにその酒樽についていた柄杓を手にし、そして血混じりの酒を飲む。
「かーっ! 美味えな! さすがリーゼだぜ! こんな美味え酒を作れるのはお前くらいだ!」
「はいはい、どうもね」
 リーゼはそういって蹄の音を響かせて去って行く。その背中には若干の哀愁が漂っていた。
 バージはそれに気づかず、上機嫌で人間の生き酒を味わい、あることに気づいている他のケンタウロスたちは何も言わなかった。

ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ 3

 ケンタウロスは基本的にオスとメスとで役割が違う。狩りはオスの仕事で、その戦利品を使って様々なものを作り出すのがメスの仕事だ。
 なので、メスが集まるその家は、いわゆる作業場だった。
 そこにリーゼが戻ってくると、ケンタウロスたちが一斉に声をかける。
「リーゼ様! どうでしたか?」
 キラキラと期待する目を向ける若いケンタウロスに向かって、リーゼは苦笑を浮かべた。
「相変わらずだよ。バージのバカは。戦いにしか興味ないんだから……」
 はぁ、というリーゼの大きな溜息に呼応して、一斉にケンタウロスの娘たちも溜息を吐く。
「バージ様、鈍いですもんねぇ……」
「いつだっけ? あたしを食べてください!ってある意味ストレートに告白した子が本気で食べられそうになって焦ったって話」
「バージ様ってほんとバカよねー」
「格好いいけどねー。バカだよねー」
 バカだバカだというケンタウロスの娘たちだが、バージのことを貶める意図はなかった。たとえ鈍くてもバカでも、ケンタウロスの常識で言えばケンタウロスのオスは強ければ強いほど魅力的なのである。
 リーゼはケンタウロスの娘たちに混じってしばらくバージのことで愚痴っていたが、それをふっきるように話を変える。
「ところで、あんたたち。いいものは作れているのかい?」
 尋ねられて一人のケンタウロスが喜色満面の笑みを浮かべた。
「そうそう、リーゼ様 ! これみてください!」
 そういって一つの作業台の前にリーゼを誘導する。リーゼはその作業台の上に乗っている『もの』をみて少し顔を綻ばせた。
「へえ。こいつはあんたが加工したのかい? すごいじゃないか」
「えへへ……難しかったですけど、頑張りました!」
 その作業台の上におかれていたもの、それは人間の皮で作られた絨毯だった。何人もの女性の皮をはいでつなぎ合わせたのか、ケンタウロスが一人寝そべれるくらいの大きさになっている。特筆すべきは、その皮のほとんどが一人分の皮を丸ごと使っていることだろう。一切破らずに一人分の皮を綺麗に剥ぐのは難しく、手先が器用なケンタウロスのメスでもそれをできるのは相当熟練した者だけだ。
 それを若いケンタウロスの娘がやってみせたことに、リーゼは感心していた。
「うん、いいと思うよ。これならどこに出しても恥ずかしくない。もちろん……プレゼントとしても申し分ないね」
「ほんとですかぁ!」
 若いケンタウロスの娘は絨毯を愛おしげに撫でながら喜色満面で飛び上がる。
「じゃ、じゃあ早速渡してきます! 今日みたいな日の方がいいと思いますし……!」
「男たちも興奮してるだろうしね。頑張るんだよ」
「はい!」
 若いケンタウロスの娘には思い人がいた。満足のいく作品ができればそれをもって告白するつもりでいたのだ。それを微笑ましく、若干羨ましく感じつつ、リーゼは彼女を見つめる。
 ケンタウロスの娘は、人の皮でできた絨毯を丸めて胸に抱く。
「い、行ってきます!」
「ああ、がんばっておいで」
 作業場から若いケンタウロスの娘が出て行こうとする。
 その時、ふとリーゼは外が妙に静かに感じた。
 いつもならまだ饗宴は続いているはずで、オスたちは喧しく飲んで騒いでいるはずだった。かすかな違和感を覚えたリーゼだったが、そう感じたところで何も変わらない。

 若いケンタウロスの娘が外に出ようとした時、何者かがその前に立ち塞がる。

ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ 4

 その者は人間の男の姿をしていた。
 だが、リーゼはそれが見た目通りの存在であると思えなかった。そいつが現れた途端、不可視の重圧が作業場を覆ったからだ。鳥肌が立つという表現はケンタウロスの間でも有効だ。リーゼがその時感じていたのは、まさにそういう感覚だった。
 だが、それに気づけたのはリーゼがオスを凌駕するほどの戦士でもあるがゆえであり、戦いの経験など皆無で、オスによって衰弱させられた人間しか知らないメスのケンタウロスたちに察しろというのは無理な話だった。
 その男の目の前に立っているとはいえ、若いケンタウロスの娘ならなおさら。
「……? なんでこんなところにニンゲンが?」
 娘にとっては家畜小屋から家畜が逃げ出したくらいにしか思えなかったのだろう。
 とりあえず捕まえようと、人間の皮でできた絨毯を片手で持ち直し、空いた片手をその人間に向けて伸ばす。
「……いけないっ! 逃げろ!」
 リーゼが声をあげた時には、すでに遅かった。
 一瞬紫色の光が瞬いたかと思うと、その人間は若いケンタウロスの娘の背中に立っており、いつ抜いたのか、紫色に輝く刃を持った剣を手にしていた。
 背中に乗られたことに気づいた若いケンタウロスの娘が慌てて背後を振り返ろうとして。
 その上半身が回転しながら地面に落ちていく。人間の上半身と馬の体の繋ぎ目で綺麗に両断されたケンタウロスの娘は何が起こったのかもわからないまま絶命しただろう。
 それをごく普通にやってのけた人間は、軽く跳んでその娘の体から降りつつ、地面に転がったケンタウロスだったものを見やる。
「こうして分けてしまえば、上半身は人間の娘とあまり変わらないな。悪趣味な話だが上半身だけ剥製にしたい、という奴の言い分もわからんでもない」
 そこまで経ってようやく、ケンタウロスのメスたちは事態を把握し始めた。
 そこかしこで悲鳴があがる。その中でリーゼはいち早く武器を手に取っていた。
「みんな逃げろ! こいつはあたしが食い止める!」
 人間なら持ち上げるのも難しそうな太くて長い槍を器用に構え、周囲のケンタウロスを促した。
 それを見て、剣を肩に担いだ人間は興味深そうにその目をすがめる。
「ほう。結構やれそうじゃないか。少なくとも、さっきまでの腑抜けたオスよりは強そうだ」
「なにを言って……」
 そこでリーゼは気付いた。人間は剣を持っている手とは反対の手に、丸いものを持っていた。
 それは人間の頭部で、それを抱えているという現状がそもそも異様だったが、リーゼが気にしたのはそのこと自体ではない。
 人間が抱えていた頭部は、リーゼがよく記憶していた人間の頭部だったのだ。
「おい……あんた……その頭部を、どこで……いや……なんで……」
 尋ねられた人間は、無造作に抱えていた頭部を示す。
「ああ、これか? これの姉に頼まれてな。気まぐれに助けてやろうとしたんだが、もうとっくに手遅れだったから、とりあえず首だけ生かして姉の元に連れて行ってやるつもりだ」
「……それの側に、バージが、いただろう」
「バージ? もしかしてあのデカいケンタウロスのことか?」
 そして、男は決定的な事実を口にする。
「思ったよりは強かったな」
 全てを理解したリーゼは、声にならない雄叫びをあげながら、全速力で駆け出した。馬の脚力を足の骨が折れんばかりに発揮し、まるで砲丸のように怒涛の勢いで人間に迫る。渾身を飛び越えて限界以上の力を込め、槍を突き出す腕が千切れんばかりに力を込める。
 それは最大の人型と呼ばれるジャイアント族でさえ貫き殺す勢いだった。実際、相手に立っていたのがジャイアントであったなら、致命傷だっただろう。
 しかし、世界が歪むほどの加速を持ってしてでも、リーゼの槍はその男を捉えることができなかった。
 男はリーゼが駆け出したと同時に踏み出しており、リーゼの股の間をくぐり抜けるようにしてリーゼの背後まで駆け抜ける。交差する一瞬、肩に構えていた剣を垂直に立て、勢いを利用してリーゼの体を縦に両断するという技まで披露した。
 さすがに人の身体の頭部まで半分にはならなかったものの、馬の体は見事に真っ二つにされている。二つに分かれた体の間から大量の臓器がこぼれ落ち、リーゼはその巨体で自分の臓器を押しつぶしながらその場に崩れ落ちた。
 それをこともなげにやってのけた人間は軽く剣を振るって血を払うと、忌々しげに舌打ちをする。
「ちっ、生け獲るつもりだったんだがな。つい切っちまった」
 まあいい、と人間はつぶやく。
 その目はすでに他のケンタウロスに向いていた。
「どうせ他にいくらでもいるしな」
 怯えるだけのケンタウロスのメスたちに、もはやこの人間をどうこうすることはできなかった。

ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ 5

 合図を受けてその商人がケンタウロスの集落に近付くと、待っていたのは大量のケンタウロスの死体と、広場の火を使ってそのケンタウロスを焼いて食っている男だった。
 堂々と座り込み、太い馬の足を丸ごと焼いてかじりついていたその男は、口にしていた肉片を吐き出しつつ、傲岸に言う。
「遅い。合図を出したらすぐに来いと言っておいただろうが」
 不機嫌そうな男の言葉に、商人は冷や汗をかきながら低頭する。
「す、すいやせんダンナ……なにせ、このあたりはケンタウロスの集落ですから。少し前にはここを通った商人の一家が食われたって話も」
 突然、商人の言葉は途切れた。座って食事をしていたはずの男が目の前に立っていたからだ。
 その男が構える紫色に光る剣先が、商人の首筋に添えられていた。
「言い訳するな。俺に関係ないし、時間の無駄だ」
「す、すいやせん!」
 声を絞り出す商人に対し、男は剣を収めた。
「とりあえず、これでいいんだろう? ケンタウロスの主力は落とした。残ってるのはメスだけで、そいつらからも戦闘力は奪っておいた」
「え、ええ。もちろんでさぁ。報酬につきましては、いつも通り……」
 そう言って商人は羊皮紙の束を渡す。それを確認した男は、満足そうに頷いた。
「ああ、この亜人種の情報だけで構わない。ところで、そろそろおまえの持つ情報も尽きるか?」
 嘘を許さない男の目に、商人は素直に認めた。
「今回の分で最後でさぁ。代わりに、海の商人を紹介しますんで、今後はそっちでお願いしやす」
「わかった。……ああ、そうそう。今回の戦利品のうち、一つはもらうぞ。全部渡すつもりだったが、気が変わった」
「もちろん、問題ねえですよ。好きなだけ持って行ってくだせえ」
 契約をなにより重視するのが商人と言うものだが、なにごとにも例外というものは存在する。
 その一つがこの男との取引だった。この男に関してだけは対等な契約など望めない。
 男の持つ力は本来なら商人との取引など必要とせずに全てを手に入れることのできるものだ。
 あえてしようとするなら、彼は一人で世界のすべてを敵に回し、その上ですべてを手に入れるだろう。
 商人としては彼の逆鱗に触れないようにして、彼の怒りを買わないように気をつけるしかない。
「私兵は連れてきているな? ここの後始末は任せる。残ってるものは好きにしろ」
 第一、彼の行動に関わるだけで、元々の契約から多少損をしようとも十分すぎるほどの見返りは決まっているのだ。
 だから商人は集落から去っていく男を黙って見送った。

 世が世なら勇者と呼ばれ、魔王と呼ばれる最強の魔物と争うことになっていただろう人間の男は、特に感慨を見せることなく滅ぼしたケンタウロスの集落を後にした。


 男は集落から少し離れたところに繋いであった今回の戦利品のところへ戻る。
 その戦利品は、男の接近に従ってその大きな体をまるで子鹿のように震わせた。そんな様子を見て、男は不満そうに鼻を鳴らす。
「別におまえを切って食うつもりはない。あまり震えられると乗り心地が悪いからさっさと慣れろ」
「……!」
 言葉による返答はなかった。ただ、上半身ごと首を上下させ、恭順の意を示す。
 男がそこに繋いでいたもの。それは先ほどケンタウロスの集落で捉えたメスのケンタウロスだった。ただし、その両腕は根元から切断されており、二度と何か物を掴むことはできない。口には太い棒が横向きにかまされており、それが馬でいうところの轡になると同時に、彼女から言葉を奪っている。
 ただし手綱はそこからは伸びていない。彼女の両乳首をそれぞれ金属製の輪っかが貫通しており、それに手綱らしき紐が繋がって後ろの方へと伸びている。背中に取り付けられた鞍に紐は繋がっていて、それを使って行き先を誘導するのだと見えた。
「普通に歩いた方が早そうだが、たまにはこういう趣向も悪くないな」
 新しく作った移動手段を見た男は和やかに微笑む。完全に男の気分だけでいいように馬扱いされているケンタウロスの娘は、本来ならば激怒していただろう。そもそもケンタウロスを馬と同じように扱うなど、人間を猿と扱うのと同じでこの上なく屈辱的な扱いだからだ。
 しかし、ケンタウロスの娘には反抗的な気持ちを抱くことさえできなかった。男がケンタウロスの集落をたった一人で落としたという事実と、両腕を切断される際には嫌という程恐怖を刻み込まれたからだ。
 生き残りたいのなら、男のやることに刃向かうことは許されない。
 ケンタウロスの娘が悲痛な決意を固める傍、男は地面に転がしてあった二つの生首を見やる。
「もう十分だな。別れの挨拶は済んだだろ?」
 二つの生首は、人間の姉妹のものだった。男の魔剣の力でまだ生きていたが、それはただ生きているというだけで死んでいるのと変わりない。それでも、最後に視線を交わす程度の別れは済ませられたようだ。
 男が腰に下げていた剣に触れると、二つの生首は事切れた。それはあまりにあっけない死であるいは二つともとっくに死んでいたように思えること切れようだった。
 男は地面に転がる二つの生首をおいて、ケンタウロスの娘の背中に乗る。乳首に繋がった紐を軽く引っ張り、進むように促した。
 従順に従うケンタウロスの背に揺られながら、男は次なる目的地を目指して移動を始める。
「次は人魚でも狩るかな」
 勇者の歩みは、魔王のいないこの世界ではだれも止められない。


ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ おわり

ああ、残酷な幻想 ~ケンタウロスの饗宴~ まとめ

ああ、残酷な幻想シリーズ『ケンタウロスの饗宴』のまとめです。
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