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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

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殺人プレイ『福殺』1

 殺人プレイ愛好会では、毎年『初殺』としてそれぞれ個性的な殺し方を披露する会が開かれる。
 今年もそれは滞りなく行われて、他の愛好家の殺し方の勉強にもなった。ちなみに俺と栄巳ちゃんももちろん披露した。去年もなかなかの評判だったけど、今年もそれなりに評価されたと思う。
「先輩、楽しかったですね!」
 出番が早い方だったこともあるが、栄巳ちゃんの回復力は伊達ではなく、途中から客席で一緒にステージを見ていた。その栄巳ちゃんはいろんなプレイを見たせいか、いつもより若干テンションが高かった。
「ああ、そうだな。……どれかやってみたいプレイはあったか?」
 今後の殺人プレイの参考に聞こうとしたら、体験が終わって一度は点いた照明が、再び消えた。
 ざわめきが客席に広がる。
 スポットライトが舞台を照らし、そこに愛好会の責任者である柊山さんが現れた。
「まだなにかあるんでしょうか?」
 興味津々といった様子で栄巳ちゃんがわくわくした声をあげる。
 柊山さんは舞台の中央で俺たちに向けて深く礼をした。
「みなさん、お疲れさまでした! 今年も素晴らしい殺人プレイの数々で、恥ずかしながら滾ってしまいました!」
 その言葉に、観客席から苦笑が漏れる。愛好会のメンバーは当然よく知っていることだが、柊山さんが殺人プレイを見ていて、滾っていない時がないからだ。
 そんな笑い声もなんのその、柊山さんはいつのまにか舞台の上に並べられていた袋を大げさな動作で示す。
「さて! 今年もさっそく素晴らしい殺人プレイを魅せてくださった皆さんには、私からサプライズプレゼントをご用意させていただきました!」
 なるほど、福袋という奴か。
 相変わらず、気の利いた演出をしてくれる人だ。
「この袋の中には、殺人プレイ愛好会で保管していたプレイ用小道具の中から、厳選したものを入れてあります! ぜひ家に帰った後にでもご使用ください!」
 俺たち会員にとっては嬉しい贈り物だ。会員の中には金銭的な理由で、愛好会の所持している道具を使わせてもらっている者が多い。俺と栄巳ちゃんもその一組だし。
「また、スペシャルな贈り物としまして、中にはめったに手に入らないものも含まれています!」
 どよめきが広がる。
「どんなものなんでしょう?」
「さあ……けど、あの柊山さんの表情を見る限り、相当いいものらしいな」
 期待できるかもしれない。
 もらったもの次第では、プライベートでの初殺で使用してもよいかな、と思った。

殺人プレイ『福殺』2

 福袋は一人一つもらえるらしい。
 それ自体は嬉しかったが、僕はどうしたものかと悩んでいた。
(正直、殺人プレイ用の道具をもらってもなぁ……)
 あいにくプライベートで殺されたい願望の知り合いがいない僕は、殺人プレイ自体が愛好会に来ないとできない。だから、いくら貴重な道具をもらったとしても、それをプライベートで用いる相手がいない。
(……自家発電にも限度があるしなぁ)
 僕のナノマシンの特化能力は『形態変化』。かなり珍しい系統のナノマシン能力で、自分の体を様々な形に変化させることができる。それを活用して、殺す用の人型を作り出すこと自体は可能だ。そうやって疑似的に殺人プレイを楽しむことはできるけど、人ひとり分の人型を作るのはかなり大変だし、結局は自家発電でしかないため、快感と同時に空しさも募るという、もろ刃の剣なのだ。
(……仕方ない。道具は誰かにあげよう)
 僕はそう思って周りを見渡した。いくらでも道具を渡す相手はいる。
 たとえば……僕は少し前に並んでいる同年代のカップルを見た。
 仲睦まじい様子で会話している。さっきまでの『初殺披露会』で、彼女の方は粉々にされて殺されていただけあって、二人の距離は近く、彼女の方が彼氏にすり寄っているようだった。
(まあ……すごかったもんなぁ、さっきの……まさか料理用のピラーをあんなふうに使うなんて……)
 それだけの殺し方に熟練しているからこそ、あんなに綺麗で可愛い彼女と付き合えているのだろう。まったく羨ましい話だった。
 そうこう考えている間に、自分に福袋が手渡される段階になった。柊山さんが僕を見てにっこりと笑う。
「やあ、水無くん。今日は楽しんでくれたかな?」
「ええ、まあ……でも、やっぱりパートナーがいるみんなが羨ましいですね……」
 僕は深々とため息を吐いた。さっきまでそのことを考えていたせいで、ついつい嫉妬じみた物言いになってしまう。そのことを受けてか、柊山さんは苦笑を浮かべた。
「ははは。パートナーに恵まれるかどうかはその時々の運次第だからねぇ。まあ、運試しをしてみてくれ」
 そういいながら、柊山さんは自分の足元にあった福袋を僕に渡してくれる。
「新年おめでとう。今年は素敵な出会いがあるといいね」
「おめでとうございます。そう、ですね」
 どうしても苦笑を浮かべざるを得なかった。出会いは常に求めているものの、やっぱりそこまでディープな関係を結べることは稀だからだ。殺人プレイ愛好会にはたくさんの人が集まっているけど、これだってよく考えれば異常な事態である。そのくせ、さっきのカップルさんみたいにすでに組み合わせが出来ていることが多いのは独り身にとっては最悪だけど。
 ここでさえ会えないその手の趣向持ちに、偶然会うなんて難しい問題だと思った。
 何を言っても慰めにならないと考えたのか、柊山さんはそれ以上はなにも言わず、福袋を受け取った僕は帰路に着いたのだった。
(結構重い……な?)
 道具の内容は袋の外側だけ見てもわからないけど、たぶん5~6キロくらいの重さはあった。底が抜けないように紙袋が補強されていることからも、それなりの重さがあることがわかる。
(かさばるものじゃなければいいなぁ……普段使えない道具に場所を取るのはごめんだし……)
 僕はまだ中身も見ないうちから、その福袋の処理に億劫になっていた。

殺人プレイ『福殺』3

 電車を乗り継いで自分の家に帰って、早速福袋を開いてみる。
 中からは予想もしていなかったものが出てきた。
「……フィギュア?」
 それは綺麗に梱包された、10分の1スケールの人形だった。可愛らしい女性の外見をしている。
「こういうの……リアル系……っていうのかな?」
 よくフィギュアと言われて想像するような、二次元の女の子を人形にしたものではなくて、これは現実の人間に忠実な作りをしていた。髪の毛も一本一本別々に存在しているようだ。本物のそれと見た目では区別がつかない。表情はなく、眠っているかのように目を閉じていた。
 エロフィギュアのように全裸の状態のそれは、殺人プレイ愛好会の福袋としては相応しくないように感じた。
「……まあ、せっかくもらったんだし」
 一人暮らしでよかった。少しくらいは飾っておこうと思って、箱から取り出すことにした。
 けど、まるで溶接されているかのように、箱が開かなかった。
「接着してるのかな? ……やれやれ、めんどうくさいな」
 僕はそう思いつつ、指先をカッターに変化させる。こういう時、僕のナノマシンは便利だ。
 指先のカッターを用いて箱を開いていく。ずっしりと重みのある中のフィギュアに傷をつけないように箱を開くのは大変だった。
(……重い? このサイズのフィギュアが?)
 ふと、疑問に思った。確かにこのフィギュアは大きいけど、ただのフィギュアならもっと軽いはず。5キロもあるようなフィギュアなんて、金属か何かで出来ているものでしかありえない。
 箱が開き、そのフィギュアが露わになる。僕はそのフィギュアに触れてみて、その本物の肉体を触っているかのような触感に驚いた。
「えっ? なにこれ……」
 どこもかしこも柔らかい。まるで生きた人間をそのまま小さくしたかのようなリアルさだった。
 真空状態から解放されたからか、フィギュアの綺麗な黒髪がさらりと横に流れる。肩口につくかつかないかくらいの絶妙な長さの髪は、女性らしさを主張し、かつ髪で体が隠れてしまうこともない、絶妙な長さだった。
(…………ごくり)
 思わず生唾を飲み込んで、それに指先を近づける。もちろん、カッターに変化させた指だ。
 柔らかな肌に、そのカッターの先を突き立てる。リアルな感触が指先に伝わってきた。殺人プレイ愛好会で人体を刺した時の感覚がよみがえる。
「これは……リアルすぎる。なるほど、こういうための人形か……」
 確かにこれなら殺人プレイ愛好会の福袋の中身としてふさわしいかもしれない。この小さなサイズの人形相手とはいえ、疑似的に殺人プレイが味わえるというわけだ。特定のパートナーがいない僕に狙い澄ましたような贈り物だけど。
 そう思って、僕は柊山さんが僕に福袋を渡す際、並べられた福袋ではなく、足元に置かれていた福袋を手にしたのを思い出す。
(そっか……気を使ってくれてたんだ。また今度、お礼を言っておかないと……)
 向こうはなにもいわなかったのだから、お礼をいうのは野暮かもしれないけど、それでも何も言わずにいるというのは僕が許せない。今度お礼を言おうと心に決める。
 それはそれとして。いまは目の前の人形の殺し心地を試すのが先決だ。一度殺したらそれで終わりなのか、それとも人間がそうなっているように、この人形も自動的に直るのか……それによってこの人形の価値は大きく変わる。
 僕はわけもなくドキドキしながら、腹を掻っ捌いて中身がどうなっているかを確認しようと試みる。

 まさにその時。人形が目を開けた。

 人形とばっちり目が合ってしまった僕は、完全に思考が停止してしまう。
 人形は何度か目を瞬かせたかと思うと、違和感を覚えたのか、視線を自分の体に落とす。そして、自分の体に刃が突き立っているのを見て、驚愕の表情を浮かべる。
「あ、これは……その……」
 思わず人形相手だということを忘れて、弁明に口が動いた。けれど、僕の驚愕はまだまだ続く。
 人形が口を開いた。そして。
「い、いきなりなのかい? 思っていたより、大胆な人だねぇ」
 そんな風に、しゃべった。
「え……え……?」
 僕がなにか反応をする前に、人形は言葉を続ける。いや、正確には続けようとした。
「私は……っ、ごふっ」
 そういって、真っ赤な血を吐いたせいで、言葉が途中で途切れた。
「う、うわあああああ!? ご、ごめん!」
 慌てて指を抜いて、傷口をティッシュで押さえる。

 そんな風に、僕と彼女は出会った。

殺人プレイ『福殺』4

 ようやく最初の衝撃が落ち着いて、僕と彼女は向き合って会話をすることができた。
 彼女の傷はすでに塞がっていて、その体は綺麗な状態を取り戻していた。血のシミも傷跡もない。
 ナノマシンによる回復力はかなり高い方のようだ。
「こほん。さて……落ち着いたところで自己紹介と洒落込もうじゃないか。水無くん」
 思わず正座をして、机の上の彼女に向き合っている僕は、急に名前を呼ばれてびっくりした。
「僕のことを知っているの?」
「ああ。柊山さんからよく聞いているよ。驚かせてすまなかったね。どうせなら一風変わった演出をしたいというあの人の希望で、こんな形になってしまったんだ。私は家咲音まりかという。いまはこんな状態だが、よくできた人形ではなく、本物の人間だよ」
 とんでもないことをさらっと言われてしまった。
「に、人間!? 本当に?」
 超優秀な人形だと思っていた。最近ではそんな人形も安価に販売していると噂で聞いたことがあったし、人間っぽい彼女も、てっきりそういう設定の人形だと思っていた。
 彼女は、なんでもないことのように僕に説明してくれる。
「私のナノマシンの特化能力は『質量変化』でね。こんな風に全体を小さくもできるし、逆に大きくもできる。あまりにも人間サイズを逸脱した大きさには変化できないけど」
「……いや、じゅうぶん逸脱していると思うんだけど……」
 おおよそだけど、彼女の体は10分の1のサイズにはなっているはずだ。
 いくらナノマシンが万能とはいえ、ここまでの変化を可能にするのは、かなり平均から逸脱している。
「小さくなるのは簡単だよ。大きくなる方が難しくてね。せいぜい二倍くらいが精一杯なんだ」
「……そうなのかなぁ」
 質量を減らすのは簡単でも、増やすのは難しいということだろうか。
 いずれにせよ、とんでもないナノマシンの性能だった。
 感嘆していると、彼女……家咲音さんは僕を指し示す。
「そういう君も、一般平均からするとかなり優秀な特化能力を有しているそうじゃないか。『形態変化』だったかな?」
「あ、うん。まあ……そうだけど」
「うらやましいね。私は大きさは変えられても、形状は微々たる変化しかできないんだ。柊山さんから聞いた話じゃ、君は子供でも大人でも男性でも女性でも、自由自在に変化することができるんだって?」
「い、一応できるよ」
 そういう特化能力を持っているのは事実だったので、頷く。
 それを聞いた家咲音さんは、目をキラキラとさせていた。
「素晴らしい! 君は素敵だね。私の理想の能力だ」
 さらりと褒められて、思わず顔が赤くなるのを感じた。まっすぐすぎて照れてしまう。
 片手で顔を隠しながら、答える。
「あ、ありがとう……え、えっと……」
 何かで話を逸らしたかった。
「そ、そういえば、さっき指を家咲音さんに突き刺しても、全然アラームも警告もなかったけど……」
 ナノマシンにすべての行動が制御されうる現代では、人を人が傷つけることはできない。僕が彼女を最初人形だと思ったのも、ナノマシンにそれらしい反応がなかったからということがある。
「まりかでいいよ。警告がなかったのは当然さ。私は誰からでもその手の行為を受け入れているからね」
 独り身の殺人プレイ愛好家にとって、理想的なことを口にする。
「……じゃ、じゃあ……もしかして、もしかしなくても、福袋に入って、僕のところに来たのって」
 半ば想像できていたことだけど、僕ははっきりと口に出して聞いていた。
 家咲音さんがにっこりと笑う。
 そして、想像通りに僕の願っていたことを口にしてくれた。

「君に私を殺してほしいいと思ってね」

 家咲音さんの提案はそれこそ飛び上がるほど嬉しかったけど、疑問もあった。
 まずはそれを解消しておかないといけない。
「でも、どうして僕に殺してほしいって思ったの?」
 殺人プレイ愛好会なら、殺してくれる相手には事欠かないはずだった。
 誰にでも殺されたいという人は多くないかもしれないけど、誰でも殺したいという人はそこそこいるはずだし。僕の言葉を受けて、家咲音さんは苦笑を浮かべる。
「まあ、殺してくれる人は多いんだけどね。すでにパートナーがいる人に、そう何度も殺してもらうわけにもいかないよね」
「……確かにそうかも」
 殺人プレイをし合うような間柄の人たちだから当然かもしれないけど、パートナー同士の繋がりは深い。恋人同士であることも多い。中には頼まれたら殺してくれても、別にパートナー以外を積極的には殺したくないという人だっている。
 たまにとはいえ、そこに入り込んでいくのは色々と気を使うのだろう。
「まだ固定のパートナーがいない君なら、気兼ねなく何回もお願いできるからね。それに……」
「それに?」
 家咲音さんは僕の目を見て、再度にっこりと笑った。
「私には色々な人や獣に殺されたいという願望があるんだ。その私からすると、いろんな姿に変身することのできる君は、とても理想的な相手なんだよ」
「なるほど……」
 そういう意図なら、僕のこの能力を買ってくれてるということだ。そのことはとても嬉しかった。
「屈強な大男に踏みつぶされて死ぬのも興奮するし、逆に幼児のような無垢な子に無造作にひねりつぶされるのもドキドキするね。犬に噛み殺されてもみたいし、ヘビに呑まれるっていうのも面白そうだね。それから……」
 彼女は興奮した様子で次々希望する殺され方をあげていく。僕はそれを半ば引き気味に受け止めた。
(す、すごいなぁ……本当に、殺されたがりなんだ……いや、愛好会のイベントでそういう人がいるのはわかってたけど……こんな風にゆっくり話すことはなかったもんなぁ)
 そして、僕にはそれを叶える力がある。大男や幼児ならまだしも、犬や蛇の姿になれるのは僕だけともいえる。
 正直、僕は彼女が柊山さんに言われて、殺人プレイを受けた人なのではないかと疑っていた。
 愛好会で彼女を知らなかったこともあるし、柊山さんが特定の相手のいない僕を哀れんで用意してくれたのではないかとも思えていたから。けど、どうやら彼女の様子を見る限り、本当に僕に殺されたくて僕の元に来てくれたようだった。
(これは……想像以上にいい福袋だったなぁ)
 僕は彼女とめぐり合わせてくれた柊山さんに、心の中で感謝をささげた。
 そんな僕に、家咲音さんが不思議そうに声をかけてくる。
「水無くん? 聞いてくれているかい?」
「あ、ごめんごめん。えっと……そうそう。気になってたんだけど、いままで愛好会で会わなかったのはなんで?」
 特定のパートナーがいないもの同士、もっと早くに出会っていてもおかしくなかったと思う。
 その疑問をぶつけると、彼女は何でもないことのように答えた。
「私は愛好会に所属してまだ日が浅いということがまずひとつ。それと、これは推測だけど、柊山さんがこの演出をするために、あえて私たちを合わせなかったんじゃないかな? 基本的に私たちが得ている愛好会メンバーの情報は柊山さんがくれるものだし、その程度の情報操作は簡単だろう」
「なるほど……確かにそうだね」
 それなら家咲音さんが一方的に僕のことを知っていたのにも納得だ。
 まったく、柊山さんは本当にエンターテイナーというか……演出が好きな人だ。
 柊山さんに対するお礼の言葉を心中で唱えていると、ふと、家咲音さんがそわそわしているのが見えた。
「……どうしたの? あ、もしかして寒い?」
 小さくなっている家咲音さんに着せられるような服が僕の家にあるわけもなく、家咲音さんはずっと裸だった。箱の中に密閉されていた時はともかく、時間が経つにつれ寒くなってきたのかもしれない。
 そう思っての問いかけだったのだけど、家咲音さんはそうではないというように苦笑した。
「いや……そういうわけではなくてだね…………うん。あのね、水無くん」
 その期待に満ちたまなざしに、僕はようやく彼女が何を言いたいのか悟った。
 そして、彼女はその通りの言葉を口にする。
「そろそろ……私を殺してくれないかな?」
 ドキドキしているのか、胸をその手で押さえながら、家咲音さんが僕を上目使いで誘惑する。
 その可愛さときたら、理性を飛ばしそうになるのを必死になってこらえなければならないほどだった。
「……ん。わかった、わかったよ。家咲音さん」
「まりかでいいよ」
「……んと、わかった。まりかさん。それじゃあ……どう殺されたい?」
「最初の一回目は君に任せたいんだけど……ダメかい?」
 そうまりかさんがいうのを受け、僕は試されていると感じた。
(ただ殺すだけじゃだめだ。家咲音さんが……まりかさんが満足してくれるような殺し方にしないと……)
 そうでなければ、僕の元に来てくれたかいがないし、彼女の期待を裏切ることになる。
 僕は小さいまりかさんが僕を期待する眼差しで見つめているのを見て……思いついた。
(僕にしか……僕だからこそ、できる殺し方ができるじゃないか)
 そう考えれば実行あるのみ。
「まりかさん。数世紀前に流行った漫画とか知ってる?」
「え? 漫画かい? もちろん、一般知識程度には知っているけど……」
 漫画は一つの文化であり、歴史だ。数世紀前は低く見られることもあったというけど、いまでは古典の中の一要素として、学校の授業で過去のベストセラーのことを普通に習う。当時、一定以上の人気を集めた作品のことなら、いまでは一般常識の範疇なのだ。最強の宇宙人の漫画とか、海賊王を目指す漫画とか。
「じゃあ……この漫画のことも知ってるよね」
 僕は自分のナノマシンに指令を出し、自らの体を変異させた。
 筋肉や歯をむき出しにした、異形の存在に。その姿を見たまりかさんが、喜色満面の笑みを浮かべる。
「……! なるほど……巨人……!」
 僕と彼女だからこそできる、殺し方。
 人を食らう巨人の姿に変異した僕と、小人のように小さくなったまりかさん。
 僕は原作に則り、言葉としては何も言わずにまりかさんを手で掴んだ。
 それはまさに、巨人が人を捕まえているような、そんな光景だったと思う。

殺人プレイ『福殺』5

 小さなまりかさんを、掴んで持ち上げる。
 力を込めて握りしめると、彼女の体が軋んだ。
「ぐぎゅっ! ……ぐ……え……っ」
 悲鳴もあげられず、苦しげにまりかさんが潰れた声を上げる。僕はそんなまりかさんをしばし見つめて、その体を自分の口元に持っていく。そして、大きく口を開けた。まりかさんが期待を込めた眼差しで僕を見上げているのがわかる。
 僕は変異させた全身の中でも、もっとも変化させた頭部を慎重に動かし、まりかさんの上半身に噛みついた。
 ぐちゃり、とまりかさんの体が真っ二つに裂け、中から大量の臓物が飛び出して口の中に広がるのを感じる。
 味覚は切ってあるから、味はわからないけど、触感ははっきり伝わってくる。人間の触感は独特で、いかに柔らかそうな女性のまりかさんでも、その体をかみ砕くには相応の顎の力が必要だった。カニバリズムという嗜好は現代にも存在しているけど、人間を生のまま食らうことができるのは僕の持つ変化能力あってのことだ。
 バリボリ、と口の中でまりかさんを捕食する。手の中に残った下半身は、まりかさんの意志に関係なく、びくびくと両足をばたつかせて動いていた。口の中に入った上半身も、まだ生きているのを示すかのように動いている。まりかさんの頭を潰してしまわないようにしながら、ひとしきりまりかさんを咀嚼した僕は、残る下半身も口の中に放り込み、さらに咀嚼する。
 そして、ぐちゃぐちゃにかみつぶしたまりかさんを喉の奥に流し込んだ。このまま消化してしまうというのはありだが、あくまで原作に則るならそうしてはいけない。そのために体内までしっかり変異させてある。
 僕は喉の奥あたりで、まりかさんの全身がとどまっているのを体内のかすかな感覚で感じ取っていた。
 まだ生きているのか生きていないのかはわからないけど、当然体内は明かりも何もない真っ暗闇だ。いつまでもこのままではつまらないだろうと考え、少し経ったところで僕は彼女を吐きだすことにした。
 この巨人は消化器官を持たない設定らしいので、人を食い続けてお腹がいっぱいになったら吐き出してしまうのだ。これはそれを踏襲した行為というわけ。
 僕は机の上にまりかさんの骸を吐きだす。どろどろした血肉の塊となった彼女の体に、彼女自身の頭が埋まっている。その表情は苦悶と恍惚の中間くらいのものになっていて、よく楽しんでくれたことがよくわかった。
(さて……元に戻るのにどれくらいかかるかな?)
 そう思って僕は彼女が蘇ってくるのを待った。

 ほどなくして、彼女の体が再生をはじめ、通常よりもずっと早い速度で元通りの綺麗な体を取り戻した。
 満足そうに体を伸ばしたまりかさんは、僕を見上げてにっこりと笑う。
「いや、小さくなることで色々なプレイをされてきたけど、直接食われるなんて経験は初めてだよ。君のところに来てよかった。とても素晴らしい殺し方だね」
 その満足そうなまりかさんの様子に、僕は内心胸をなでおろした。
「満足してくれてなによりだよ。……それにしても、ずいぶん回復が早かったね?」
「ああ、いまは小さいからね。普通の人間サイズの時は、もうちょっと時間がかかると思うよ。申し訳ないけど……」
「あ、ごめん。そういうつもりで言ったわけじゃ……」
 小人になれる特化能力なんて最高の能力がすでにあるのだから、それ以上のものを望んだら贅沢というものだ。僕は慌てて話題を変えることにした。
「えっと……そうそう! まりかさんの家はどこ? 遅くならないうちに送るよ」
 帰る時間を考えておかなくてならないだろう。犯罪のおきようのない現代では家まで送らなくても安全は確実なんだけど、こんな世界になる前からの慣習で、帰りが遅くなった女性を家まで送るのは男の務めだった。
 そう思っての質問だったのだけど、まりかさんは予想外のことを言い始める。
「家は引き払ってきたよ。預金通帳や実印なんかの、大事なものは柊山さんに預けてある。しばらく必要ないからね」
「……へ?」
 思わず間抜けな声が出てしまった。
 そんな僕の反応が面白かったのか、彼女は悪戯の成功した子供のような笑みを浮かべた。
「君が満足するまで、私はここにいるよ。迷惑ならすぐ帰るけど……君が望むなら、いくらでも、何度でも、いつでも、私を殺していいんだよ?」
「…………」
 僕はその言葉の意味を飲み込むまでしばらく時間がかかって、ようやく理解に及んだ。
「えええええ!?」

 こうして、僕と家咲音まりかさんとの同棲生活は始まったのだった。
 あまりの幸運で自分に都合のよすぎる展開に、僕は夢なんじゃないかとしばらく悩んだものだ。


~殺人プレイ『福殺』 終わり~

 

殺人プレイ『福殺』まとめ

殺人プレイ愛好会は最高の出会いを演出します。
続きを読むからどうぞ。
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Author:夜空さくら (旧HN:黒い月)

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