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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。
月別アーカイブ  [ 2013年07月 ] 

食人病5

「もちろんそんな無駄なことはしませんよ。今日は――」
「しっつれーいしまーす。おっ、すげえ上手そうな料理が並んでますね!」
 公民館の中に、一人の青年が入ってきました。その隣にはなぜか同い年くらいの女性もいます。
 他のメンバーが戸惑っていると、リーダーは二人の側にいって私達に紹介してくれます。
「紹介するわね。こちら、つい先日食人病と診断されたご兄妹なの」
「え?」
「いやー、そうなんすよー。まさか自分がそんなのになるとは思っていなかったんでびっくりしゃったっすよー」
 青年の方はどこまでも軽い人でした。対照的に妹さんの方はその背に隠れてしまっていましたが。
「色々と手続きがややこしくて、仕事とかも中々回ってこなくて。まだ俺もこいつもパートナーがいなくていつも味気ないパックの人肉ばっかり喰ってましてねー。今日はごちそうがあるっていうんで図々しくも来ちゃいました!」
 ノリは軽いけど、憎めない人だと感じます。
 テーブルの側に近づいてじゅるりと舌なめずりをしていました。
「で、食べちゃってもいいんすよね?」
「もちろんどうぞ。妹さんもどうぞ遠慮せずに」
「……い、いただきます。ごめんなさい」
 なぜか謝る妹さんでした。リーダーは優しい笑顔を二人に向けてから、私達の方を向きます。
「さぁ、二人が食べてくれてる間に、私達は調理に使った道具や場所を掃除しましょう」
 そのリーダーの号令に従って、私達は片づけを始めます。
 片づけながらちらりと様子をうかがうと、青年の方がガツガツと美味しそうに食べまくっていました。
「うめえ! さすが新鮮な人間肉の作りは違うなー! おい、これ食ってみろってすごく美味いから!」
 うまいとすごいを連呼しながら青年は妹さんの前に美味しかった部位を差し出します。妹さんの方は戸惑いながらも、それを食べて「おいしい」と小さくですが口にしていました。
 なんだかすごく対照的な兄妹でした。
 それにしても、と私は仲間にこっそり話しかけます。
「女性の食人病患者って珍しいですよね」
「え? ああ、そうね。基本食人病にかかるのは男性の方が多いからねー。でも、皆無じゃないし、きっと仕事場なら仲良くなれる同類もいるんじゃないかしら」
 控えめな様子で大腿骨をかみ砕いている妹さんを見ながら、私は変わった境遇に置かれた彼女が少し不憫に思えました。


 その晩のことです。
 言っていた通り早めに帰ってきてくれた彼とのんびりと絡み合いながら、私は彼に訪ねていました。
「そういえば、あなたが行っている仕事場に女性の食人病患者さんはいらっしゃるんですか?」
「ん? いや、いないね。女性の食人病患者って珍しいし」
 あっさりと答えた言葉に、私は少しほっとします。そのあからさまな安心は伝わってしまったようでした。
「あれ? もしかして浮気心配されてた?」
 図星でした。同様を押し殺して答えます。
「いいえ、そんなまさか」
「そういう割には……」
 ぐっと握りしめられて、一瞬気が遠くなります。
「心臓の鼓動がやけに早くなったけど?」
 私はぐうの音も出ませんでした。私の胸を貫いて心臓を鷲掴みにしている彼はにやにやと少し品のない様子で笑っています。
「ばっかだなぁ。俺はこんなにもお前が好きなのに」
「…………心臓を鷲掴みにするほど?」
「そう。お前のハートは俺の物、ってか?」
 さらにぐぐっと力が込められ、私の気が遠くなります。彼は相変わらず楽しげでした。
「これはちょっと、俺がどれくらいお前を愛しているか伝えないといけないかな……食人病ならではの方法で」
「……全部食べちゃだめですよ」
「しないよ。したいけど。……っていうかもしかして全部食べられるのはいやなの?」
 ちょっと哀しそうに彼は眉を八の字に曲げます。私は即座に応じました。
「いいえ。別に食べられてもかまいませんが、それは法律で禁じられています。脳を全部食べられると再生ができなくなりますし、それでなくても記憶の混濁が起きますし、困るなぁというだけです。だから私は「いや」ではなく「だめ」だと言ったのです」
 その辺りの微妙な機微は彼に通じなかったようですね。
 そうして説明をすれば彼もはっきりとわかったらしく、嬉しそうに笑ってくれました。
「じゃあ、それだけ気を付けて、君のことを食べれるだけ食べてあげる」
 額にキスを落とされる。私は情熱的にすぎる愛の言葉に顔が赤くなるのを感じながら、全てを彼に委ねます。

 そして、私は今日も食べられるのです。
 
 
~食人病 終わり~
 
 
[ 2013/07/20 20:00 ] 小説・短編 食人病 | TB(0) | CM(0)
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