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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

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お嬢様は『剥かれる』のがお好き 5

 清楚なドレスに身を包んだお嬢様がこの場所に来たことに、私は慌てる。
「いけませんお嬢様! 換気はしておりますが、薬品の成分がいまだ漂っているかも……」 このお嬢様は食用のコピー体ではなく、オリジナルのお嬢様だ。
 もしこのオリジナルのお嬢様にもしものことがあっては大変だった。
 私の心配を余所に、お嬢様は朗らかに微笑む。
「大丈夫です。あの薬品は直接触れでもしない限り、あの効果を表すことはありません。もしそうだとしたら、貴方もただでは済んでいないでしょう?」
 それは、確かにそうなのだが。
 そんな気化したレベルのもので硬化があるのであれば防護服だけでなく、ガスマスクも必要になっていた。それをしないでいるのだから、問題はないはずなのだが万が一がある。
「こちらのお嬢様はすぐに調理させていただき、そちらにお持ちいたしますので……どうか隣室でお待ちください」
「……そうですね。無闇に心配させてしまうのはかえってよくありませんでした。信号が途切れたので、一言労いを……と思ったのですが」
 その優しいお気遣いはありがたいのだが、万が一を考えると作業ができない。
 心苦しかったがお嬢様には隣室にお帰りいただいた。
 それにしてもいつものことではあるが、たったいまここで死んだ『お嬢様』の感覚を追体験していたとは思えない落ち着きようだった。
 私は吊された『お嬢様』のうなじ辺りを探り、小さなマイクロチップを取り出す。これは『お嬢様』の感覚などを外部に送信するためのチップで、お嬢様はその信号を隣室で受け取っていたはずだった。コピー体の『お嬢様』が感じた感覚をそっくりそのまま感じていたはずで、それは死に至る苦痛をそのまま受けていたということになる。
 非合法な組織が行う拷問には、そうやって死にゆくものの記憶を味合わせるものがあるというくらいにはその感覚は鮮明なもので、どれほど鍛えられた人間でも、健常な感性を持つ人間なら、死ぬ感覚を何度も味合わされていると確実に発狂すると言われている。
 そういう意味では、もう何十、何百回と死ぬ経験を繰り返していながらも、穏やかな心根を保っているお嬢様はとんでもない方だった。
「お嬢様をお待たせするわけにはいかないな」
 私はそう気合いを入れ直し、『お嬢様』の解体を進めた。硬化した足の先から、肉を骨と分離しつつ、身体を崩していく。あっというまにステンレスのトレイが『お嬢様』の崩れた肉で一杯になった。
 骨から肉が綺麗に剥がれたため、まるで現実味のない、作り物のような白い骨が並べられる。このまま人骨標本にすることもできそうだ。
 手早く身体全体の解体を行い、首から上を残して肉と骨に分割してしまう。
 さらに木槌を使って肉を細かく粉砕して、元に戻った時にミンチ肉になるようにしておく。これで下準備はほぼ完了だ。
「あとは頭部か……どう調理するかな」
 吊された頭部を取り外し、全頭マスクを脱がす。
 傷一つ無い穏やかな『お嬢様』の頭部がそこにあった。食人において頭部は調理難易度の高い部位となる。
 いや、ただ食べるだけなら、脳みそや目玉、耳たぶなど好まれる上に食べやすい部位が多いのだが、うちのお嬢様のように『余すことなく食べる』を目的とすると途端に難易度が跳ね上がるのだ。
 今回の主役はあくまで剥いだ皮の方であり、そちらの調理の方が重要ではあるが、頭部をいつもの調理方法でごまかすことはしたくない。

 今日も私はお嬢様を美味しく食べる方法を模索し続けるのである。

おわり

お嬢様は『剥かれる』のがお好き 4

 剥がし液が浸透していくのを少しだけ待ち、今度は背骨に従って背中に切り込みを入れていく。
 蛇の脱皮のように丸ごと皮が剥ければいいのだが、人の形でそれは難しいため、多少の妥協は必要なのだ。
 着ぐるみを脱がすように、『お嬢様』の皮を剥いでいく。その際、どうしても抜き身の肉に触ってしまうことになり、身体を動かせないながらも、『お嬢様』が身体を震わせているのが伝わって来た。一枚皮がめくれたことにより、筋肉が痙攣しているのがよくわかる。
 人は一枚皮を剥がせば皆同じ肉塊……とはいうが、お嬢様に限ってはそれは当てはまらないように思う。無論、使用人のひいき目もあるが。
 筋肉の付き方に無駄がない。ほどよく引き締め、ほどよく贅肉をつけたお嬢様の身体は、一般的に言う均整の取れたモデル体型とはまた少し違うバランスの取れ方だ。安い人肉用のコピー体のように、無理矢理肥育したものとも違う。
 個人的な好みの範疇ではあるが、人肉に関しては太らせればいいというものではないと思っている。確かに太らせればその分肉は多く取れるが、いささか以上に味がまとまらなくなる。元々は大衆食堂で働いていた私が、その職を辞することになったのも、そういった世間の風潮との乖離に耐えられなくなったためだ。
 道に迷っているところを、旦那様に拾われたのは本当に運がよかった。
 つらつらとそんなことを考えながら作業を進め、『お嬢様』の全身の皮を剥ぎ終わった。
 シミ一つ無い美しく白い人皮だ。場合によってはこれだけでも十二分に価値が生まれるだろう。いまの時代、人皮を用いた調度品も多く出回っている。お嬢様の身体はあくまで食用であって調度品用ではないが、その筋の売人にも高く買ってもらえるだろう。
 こんな一級品の食材を毎日のように扱わせてもらえるのだから、本当に恵まれた職場環境である。
「お嬢様、それでは最後です」
 全身の皮を剥がれる激痛に意識があるかどうかも定かではない『お嬢様』に声をかけ、その首筋に新薬の注射を行う。今度は腕だけではなく、全身を固めなければならないため、何本か続けて、複数箇所に注入する必要があった。
 そうして投薬してすぐ、全頭マスクの頭頂部にある金具にフックを繋ぎ、ウインチを用いて『お嬢様』の身体を天井からつり下げる。剥がし液の水槽を撤去してもらい、今度はその下にアルミ製の大きなトレイを用意して貰った。
 吊された『お嬢様』は少しの間、うめき声を零していたが、やがてそれも聞こえなくなり、静かになる。硬化薬が脳に至る全身を固めてしまったのだ。
 このまま放っておけばいずれ硬化は解けるが、すでに死んだも同然である。手早く処理を進めなければならない。
 処理を開始しようとしたところで、部屋の扉が開き、お嬢様が姿を現した。

お嬢様は『剥かれる』のがお好き 3

 まずお嬢様の全身が浸かる水槽が準備される。そこにはなみなみと『人皮剥がし液』が注がれており、普通の人間にとっては拷問よりもなお酷い結果をもたらすものだった。
「お嬢様、失礼いたします」
 作業員の一人が『お嬢様』のほどよく長い髪をまとめ、水泳のキャップのようなもので外れないように固定する。さらにその上から頭をすっぽり覆うラバーマスクが被せられた。これによって『人皮剥がし液』が顔にかからないようにするのだ。
 本当は全身の皮を丸ごと剥ぎたいところだが、それはさすがに難しいし、何より『お嬢様』自身が自分の姿を見られなくなってしまう。
 ラバーマスクは目の部分が透明なレンズになっていて、鼻の部分に最低限の呼吸穴がある以外はくまなく頭部を覆っている。レンズ越しに見える『お嬢様』の目は、これから起きることへの期待感に光っていた。
 作業員が最後に『お嬢様』の首のベルトを呼吸を阻害しないギリギリまできつく締め、準備は完了。『お嬢様』の準備を行っている間に、私は全身を防護服に包んでいた。そうでなければ私の『人皮剥がし液』の影響を受けてしまうからだ。
「それではお嬢様、水槽の中へ」
 苦しそうに息をする『お嬢様』が頷き、自ら水槽の縁を跨いで液の中に身体を沈めて行く。首までどっぷり液に浸かるところを見ていると、まるで入浴しているかのような光景だが、その液体の効果を考えれば全身を激痛が襲っていることは想像に難くない。
 暴れ出さない辺り、さすがはお嬢様といったところか。
 だがそのままではいくらお嬢様といえども、痛みのあまり身体が勝手に暴れ出すかもしれない。
 私は素早く『お嬢様』の傍に近づき、その首筋に一本の針を突きたてた。
 途端、脱力して液体の中に沈みそうになるお嬢様を、作業員のひとりに支えてもらう。いま私が突きたてた針は、『お嬢様』の身体を動かそうとする神経の動きを止め、生き人形にしてしまう急所を突いていた。
 本来は逃げようと暴れる食材に対して行う処置で、お嬢様にはあまり必要としない技術なのだが、今回に関しては意に反して身体が暴れてしまうと、せっかく綺麗に剥がれるはずの皮が傷ついてしまう可能性がある。
「ウ……ウゥ……」
 ラバーマスクの下から、かすかに『お嬢様』のうめき声が聞こえてくる。身体が動かないため大きな声が上げられず、呻くことしかできないのだ。
「失礼いたします」
 私は愛用の包丁を手にし、それの切っ先を素早く『お嬢様』の首を一周させる。皮に切り込みを入れるだけの処置のため、血管は可能な限り傷つけない。切りつけたところから、剥がし液が『お嬢様』の身体に浸透していく。
 血が『人皮剥がし液』の中にじわりと滲んだ。

お嬢様は『剥かれる』のがお好き 2

「……!」
 腕が取れた瞬間、『お嬢様』が感じた衝撃はすさまじいものだったのだろう。一瞬腰を浮かせるほどに身体を震わせていた。
 私は視界の端にそれを捉えつつ、目の前のお嬢様の腕の方に意識を奪われてしまう。
「これは……すごい状態ですね……」
「……ふ、ふふ……薬の効果が切れれば、元に戻るから……早めの調理をお願いしますね」
 荒い呼吸をしながら、『お嬢様』がそう声をかけてくる。私は軽く頷いた。
 取れた『お嬢様』の腕は、まるで石膏像か何かのように、その性質を大きく変化させていた。薬はいわゆる硬化薬というもので、人間の身体をまるで石のように固めてしまう。その状態だと身体は非常に脆くなっており、文字通り『折る』ように破壊することができる。
 薬の効果は三十分ほどで、それが過ぎれば元の肉体に戻るということだから、手早く処理をしなければならない。
 私は『お嬢様』の腕をトレイの上で解体していく。いまの間に骨と肉を分けてしまうのだ。肉は骨と分離しているため、指先で肉の部分を崩すように外していくと、白い骨が残る。それはスープの出汁を取るために一端脇のツボに避けておいた。
「……しかしこの方法ですと、肉の形は崩れてしまいますから、ミンチにするのが良さそうですね」
 硬化している間にハンマーでくだいて細かくしておけば、ミンチにする手間も省けるかもしれない。私は早速木槌を持ってきて、骨と分けた『お嬢様』の肉をどんどん細かく砕いていった。その間、片腕を半ばから失った『お嬢様』はご自分の身体がどんどん食料にしか見えなくなっていくのを恍惚とした表情で眺めている。
 お嬢様にとって、食材になるということはこの上ない喜びなのだからそれも当然か。
「さっきの皮……使えませんか?」
 その『お嬢様』がふと思いついたように呟いた。確かに使えそうである。
「皮に細かくした肉を詰めて焼けば、ソーセージのようになるかもしれませんね。直接焼くのと違って骨はありませんし、肉も噛み切りやすく、食人の入門食としていいかもしれません」
 食人愛好家の方々は人肉を直接喰らっても問題ない程度に、歯や顎、内臓に至るまで強くなっているが、それでもやはり人肉というものは食べにくい食材だ。
 お嬢様のように食べられるために細胞レベルで調整されている方の肉でさえ、羊や馬と比べてもなお食べにくい。
 そのため、初めて人肉を食べるという方はその食べづらさに辟易してしまうことが多いのだ。その点、この調理法ならほとんど他の動物の肉と比べても遜色ない食べやすさになると思われた。
「色々試してみましょう。それではそろそろ……」
「ええ、お願いします」
 コピー体の生存時間が長ければ長いほど肉質が落ちていく。
 素早く処理を進める必要があった。私は『お嬢様』の全身の処理を進めるべく、作業員に連絡して準備を進める。
 

お嬢様は『剥かれる』のがお好き

 まるで桃の皮を剥くように、『お嬢様』の腕から皮膚が剥がれた。
「おお……これは……!」
 思わず感動して呟いてしまう。まるで長い手袋を脱いだだけのように、『お嬢様』の腕の皮が丸ごと剥けてしまった。
 皮を剥かれ、肉が露出するのはとんでもない激痛なのだろう。額に汗を浮かべながらも、『お嬢様』はにこやかに笑っていた。
「ふ、ふふ……すごいでしょう? こんなに綺麗に皮が剥けるなんて」
「ええ……この『人皮剥がし液』はすごい効果ですな……これだけ綺麗に皮が剥けるのであれば、様々な調理に使えそうです」
「調理の仕方を考えるのはお任せいたします……ところで、続きをしていただいてもよいでしょうか?」
 腕を少し動かすだけでも痛いのだろう。必死に同じ姿勢のまま動かないようにしている『お嬢様』は健気で、愛おしかった。

 たとえ、食用のコピー体であっても、『お嬢様』は敬愛すべきお嬢様なのである。

 無意味に食材の苦痛を長引かせるのは、料理人も望むところではない。
「そうですな。次の課程に取りかかりましょう。では次の新薬を……」
 そういって私は注射器を手に取り、それを筋肉がむき出しになった『お嬢様』の右腕に刺す。皮膚が剥がれたことで血管の位置がよくわかるようになり、注射は素人の私でも容易に刺すことができた。
 効果が出るまでの少しの間、私は『お嬢様』と会話する。
「それにしても色々な新薬が開発できるものですね……」
「ふふふ。『私』のデータがずいぶん役に立っているみたいで何よりです。私のこれはあくまでも趣味ですが、それが技術の発展に繋がるなら、それに超したことはないですから」
 ですが、と『お嬢様』は憂いの籠もった溜息を吐く。
「そろそろ老化を抑制する薬か、若返りの薬が開発されないものでしょうか……食肉のピークが過ぎてしまいます」
「コピー体の設定で年齢を下げることはできるのでは?」
「もちろんそれは可能ですけど、コピーの過程に直接手を加えるのは肉質にあまり良くないんです……普通に食べる分にはわからないでしょうけど、食通の方たちにいただかれたらすぐにわかってしまうでしょうね。私でもわかりますから」
「ああ、そういえばこの間、幼体のミルトア様をいただきましたからね」
 お嬢様のご友人を何度か調理したことのある私にも、その微妙な肉質の違いはわかった。
「元のご本人と面識のある方であれば、あれはあれで中々面白い趣向だとは思いますが。……そろそろいいのではないでしょうか?」
「そうですね」
 私は『お嬢様』の腕を取り、そして、力を込めてその腕を『折った』。

金色スライム おわり

 突如、地面に巨大な穴が開いた。
 草原に空いたその穴はどこまでも深く地の底まで続いており、その奥は光もなく、見通せるものではなかった。
 その暗闇の底から、数多の何かが溢れ出した。それはコウモリの翼を持つ人型をしていたが、明らかにその姿は異常だった。
 全身に血管のような金色の筋が浮かび上がり、その腹部はまるで幾人もの胎児を抱えているかのように肥大化している。痩せ細った四肢に比べてそれは明らかに異常な状態であり、それを端的に示しているかのように、その何かは一様に恐怖と狂気に満ちた表情を浮かべていた。涙や涎、果ては排泄物まで垂れ流しながら、その何かはその翼を用いて空高く飛び上がっていく。
 それが数十ほど、四方八方に向けて散らばっていった。
 さらにそれらが飛び散っていく中、複数のそれから伸びた紐のような物によって牽引された別の何かが穴の底から現れる。
 それは人間の女性の形をしていた。翼はなく、四肢が痩せ細っていることもない。
 だが、その腹部は飛び散っていった者たちと同様に膨れあがっており、別の存在が体内に巣くっているということは明らかだった。また、翼を持つ者たちと同様に、その女性の全身にも、金色の筋が浮かび上がっている。
 それが地上に降り立つと、翼を持つ者たちと繋がっていた紐が切れた。自由になった翼を持つ者たちが散っていった後、その女性はふらりと歩き出す。
 その口の中から、金色のスライムが顔を覗かせる。女性は自分の足で歩いているようで、その全身にスライムが根を張り、干渉して歩かせていた。
 二千年ぶりに地上に出た不死者だったが、その自由は金色のスライムによって完全に奪われていた。


 金色のスライムが全身に寄生し、身体の主導権を完全に奪われ、脳の大半にもスライムが食い込んだ状態でも、不死者の彼女はまだ自我を保っていた。
(……どうしよう)
 普通の人間、否、生物なら気が狂っているであろう状態でも、不死者の彼女は平気だった。
 正確には平気ではないのだが、金色のスライムが彼女の扱いを覚え、殺さずに捕らえ続けることが出来るようになったおかげで、死によって感覚がリセットされることがなくなり、徐々にその痛みや苦しみという感覚に慣れて来たのだ。
 不死者たるもの、死なない程度の苦痛に気が狂うわけもない。
(二千年前は、皆ほぼ絶滅しちゃってたけど……いまはどうなのかな)
 仮に文明が再興していたとして、金色のスライムが原因で再び滅びることになっては、さすがの彼女も申し訳ない気持ちになる。
(私があのダンジョンにいかなきゃ、こんなことにはならなかったんだもんね……コウモリさんたちには気の毒だったなぁ)
 不死者である彼女は、他者に対する情が基本的に薄い。常命の者は彼女にとっていずれは消え去ってしまう儚いものだからだ。
 それでも、自分が原因で苦しんだり死んだりされてしまうと、さすがに申し訳ないという気持ちも少しは湧いてくる。
(うーん、けどこの状態だと考える以外何もできないしなぁ……)
 金色スライムの浸食を受けている現状で、金色スライムを害する行動は出来ない。
 それでも金色スライムの性質を分析し、すべての子金スライムが金色スライムと同一の意思で行動しているのは理解していた。
 ゆえに、仮に彼女がどうにかして金色スライムの本体を潰すことができれば、すべての子金スライムも連鎖して死ぬことがわかっていた。
 わかっているだけで何が出来るわけではないのだが。
(……まあ、いまの文明の人たちの機転とか能力とかに期待するしかないかな……もしかしたら、そもそも文明滅びたままかもだけど)
 不死者の彼女はさしあたっての対応は放棄し、長期的に金色スライムに対抗する策を打つことにした。浸食されている現状を逆に利用し、自身の性格や意思を金色スライムの行動に反映させるというものだ。
 金色スライムは与えられた役割を半ば放棄してダンジョンから出ることを選択したわけだが、スライムに「そうしたい」という明確な自我が芽生えているわけではない。
 不死者の彼女を捕らえ続け、何億何兆という同じ行動を繰り返した結果、たまたまレールから外れてしまったというのが近い状況だ。
 それゆえに、明確な自意識を持つ不死者の彼女の性格や意思を、素直に取り込む可能性があった。そうすることで金色スライムによる無闇な犠牲が出ないようにすることができるかもしれないのだ。
 取り込む系の魔物に対し、精神を無防備にさらけ出すというのは、普通は極めて危険な賭けではあったが、不死者の彼女に恐れはない。
 上手くいけば儲けもの、上手くいかなくても仕方ない、という感覚である。
(完全に取り込んでくれれば――スライムの力が得られたりしてね)
 長く退屈な時間を過ごす、不死者の戯れであった。彼女のこの決断が、金色スライムにどういう結果を導き出すのか、それはまだ誰にもわからない。
 そして、その結果が出る暇もなく。

 世界に散らばった子金スライムたちの活動が始まろうとしていた。


金色スライム おわり

金色スライム 7


 金色スライムはコウモリ娘たちの身体を作り替える技を習得した。
 その技術を持って、まだ捕らえられただけのコウモリたちを慎重に改造していく。
「いや! やめて!! あんな風になりたくな――あギャッぎャギギギイイイイッッ!!」
 最初の実験の対象になったコウモリは、狂ったように卵を産みながら、痩せ細って死してなお卵を産み続けていた。
 それを間近で見せつけられていた者が、悲鳴を上げながら同じように作り替えられていく。
 悲鳴がダンジョン内に響き渡り、いまだ生きているコウモリたちを恐怖に浸していった。
 金色スライムは今度は慎重に、徐々にコウモリ娘の身体を浸食していき、死なないように改造していた。それゆえに、そのコウモリは身体が徐々に食い破られていくような激痛をじっくりと味あわされる羽目になった。
「オゴッ、アッ、グェ、ォ、ガァッ」
 生き物から出る言葉とは思えない音を口から吐き出しつつ、その身体が跳ね回る。
 スライムの神経浸食が全身に張り巡らされていることを示すように、金色の筋が彼女の身体中に浮かんでいた。血管のようにも見えるが、スライムなのだからあながち正しい。
 死んでもおかしくない激痛に、彼女の目玉が左右で別々にぐるぐると回転している。
 不意に、その腹部が内側から盛り上がった。このコウモリは魔法生物であり、子を卵で産むため、普通は人間などのように妊娠して腹部が膨れあがることはない。実際、彼女の腹部は胎児が収まっているような膨らみ方ではなく、球形のなにかを詰め込まれたような膨らみ方をしていた。
 彼女の身体の中でいくつも卵が作られ、子宮に溜め込んでいるのだ。卵に栄養を取られるのは変わらないのか、ふっくらと健康的な肉付きをしていた身体が、見る間に痩せ細っていく。
「アー……アア……ウア……」
 スライムは対象が死なないよう慎重に改造していたが、身体が別物に作り替えられていく衝撃に耐えられず、そのコウモリの心はとっくに壊れていた。
 そうなると失敗扱いなのか、溜め込んでいた卵が急に外にあふれ出す。
 身体の内側から異物が吐き出されていく感覚に、そのコウモリの身体は激しく震え、だらしない表情を浮かべながら快楽に身を浸していた。
 産み落とされた卵は程なくしてヒビ割れ、中から小さなスライムが這い出した。
 金色スライムはコウモリの身体を利用し、自身を増殖させたのだ。そのスライムは宿している魔力こそ金色スライムに遙かに劣っていたが、金色スライムにはない利点があった。
 その利点とは『不死者の捕獲』という役割に縛られていないことだ。
 金色スライムの本体は不死者を捕らえ続けていなければいけないが、生み出された子金スライムにはその制約はない。
 つまり、子金スライムは本体の金色スライムから離れ、どこにでも広がっていけるということだった。
 不死者を体内に捕え、ダンジョンの宝物庫から動けるようになった金色スライムには魔術師に定められた目的は消失した。
 魔法生物である金色スライムが自分の存在理由を求めて、とりあえず生物の真似をして自分の分身を増やしてみたのだ。
 しかしそれらは分身であって、金色スライムの子供というわけではなかった。あくまで金色スライムのひとかけらでしかない。
 金色スライムは自身の存在理由を求めて、世界を移動し続けるつもりだった。
 その過程で世界がどうなるかは、金色スライムにもまだわからない。

つづく

金色スライム 6

 コウモリたちの身体を貫いた金色スライムは、瞬く間にその神経を侵食し、コウモリたちの身体をすべて掌握した。
「あぎっ、ギギぎグガグギギイギギアッッ!!!」
 コウモリたちが言葉にならない悲鳴をあげ、のたうちまわろうとしても、すべての神経をスライムが侵食してしまっているため、指先ひとつ動かすことができない。
 神経を侵食されるというのは、例えるなら神経を一本一本引き裂かれるようなものだ。
 その激痛は筆舌に尽くしがたく、コウモリたちの脳はあまりの激痛を叩きこまれて発狂してしまった者も多数いた。
 あるいはそうやって早めに発狂してしまった方が楽だったかもしれない。
 スライムの神経侵食は、末端の神経だけでなく、ついには脳にまで達したからだ。脳そのものを弄繰り回される感覚は想像を絶しており、記憶や感情ごと掻き回されるようなものだった。自分が何なのかさえわからなくなる。
 その結果、コウモリたちの中に精神を正気に保てている者は残っておらず、発狂したか作り替えられたかのいずれかに落ち着いた。
 そんなコウモリたちはスライムの指示に従い、スライムの本体を持ち上げるように空を跳んだ。糸によって繋がれたスライムの本体――不死者の身体――は空を飛び、コウモリたちの巣に向けて飛ぶ。
 スライムはコウモリたちの脳を弄った際に巣の情報を得ており、そこに残っているコウモリたちをも取り込むつもりだったのだ。
 巣に残っていたコウモリたちは変わり果てた同胞の姿に恐怖しながら、容赦なくスライムの手によって浸食され、その糧とされていった。
 ただ発狂させるだけでは不合理だと思ったのか、コウモリたちの身体を使って実験のようなものも開始した。
 手足の神経を掌握し、逃げられなくしたコウモリが、逃げようとしていた。
 その額をスライムが貫き、その脳をゆっくりと侵食する。
 最初はこの世のものとも思えない悲鳴をあげていたコウモリだったが、やがて大人しくなり、表情が抜け落ちて意思が消えさる。
 しばらくすると、その股間から白い卵が産み落とされた。本来産卵の時期になかったコウモリに、強制的に卵を産ませることに成功したのだ。
 その産道からは次々卵が産み落とされていく。それは明らかに異常な数であり、卵を生み出すために栄養を持って行かれているコウモリはどんどんやせ細っていった。
 それでも産卵は止まらない。途中からは明らかに卵の殻にも硬度が足りず、産み落とすと同時に砕けて潰れてしまっていた。
 次々生み出しているうちにスライムが覚えさせるようになったのか、それとも体が勝手に防衛本能を働かせたのか、そのコウモリは卵を産みながら気持ちよさそうな顔をするようになっていた。
 産道を卵が通り抜ける感覚に体を震わせ、何度も絶頂する。だがそれはコウモリの命を考慮していないスライムによって与えられる死に向かう絶頂であり、結果としてコウモリは何十個目かの卵を産み落としながら絶命した。
 しかし、他のコウモリにとっての絶望はそこからだった。
 ただの産卵機となったそのコウモリは、死んでもなお卵を生みだし続けたのだ。
 結局、エネルギーを使い果たし、骸骨並に体がガリガリになるまで、産卵が止まらなかった。
 その間ずっと、そのコウモリは惰性で絶頂し続け、見るも無残な最期を迎えることになってしまった。

つづく
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プロフィール

夜空さくら (旧HN:黒い月)

Author:夜空さくら (旧HN:黒い月)

はじめに
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