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黄昏睡蓮

猟奇系、グロ系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。毎日更新を目標にしています。

殺人プレイ『福殺』4

 ようやく最初の衝撃が落ち着いて、僕と彼女は向き合って会話をすることができた。
 彼女の傷はすでに塞がっていて、その体は綺麗な状態を取り戻していた。血のシミも傷跡もない。
 ナノマシンによる回復力はかなり高い方のようだ。
「こほん。さて……落ち着いたところで自己紹介と洒落込もうじゃないか。水無くん」
 思わず正座をして、机の上の彼女に向き合っている僕は、急に名前を呼ばれてびっくりした。
「僕のことを知っているの?」
「ああ。柊山さんからよく聞いているよ。驚かせてすまなかったね。どうせなら一風変わった演出をしたいというあの人の希望で、こんな形になってしまったんだ。私は家咲音まりかという。いまはこんな状態だが、よくできた人形ではなく、本物の人間だよ」
 とんでもないことをさらっと言われてしまった。
「に、人間!? 本当に?」
 超優秀な人形だと思っていた。最近ではそんな人形も安価に販売していると噂で聞いたことがあったし、人間っぽい彼女も、てっきりそういう設定の人形だと思っていた。
 彼女は、なんでもないことのように僕に説明してくれる。
「私のナノマシンの特化能力は『質量変化』でね。こんな風に全体を小さくもできるし、逆に大きくもできる。あまりにも人間サイズを逸脱した大きさには変化できないけど」
「……いや、じゅうぶん逸脱していると思うんだけど……」
 おおよそだけど、彼女の体は10分の1のサイズにはなっているはずだ。
 いくらナノマシンが万能とはいえ、ここまでの変化を可能にするのは、かなり平均から逸脱している。
「小さくなるのは簡単だよ。大きくなる方が難しくてね。せいぜい二倍くらいが精一杯なんだ」
「……そうなのかなぁ」
 質量を減らすのは簡単でも、増やすのは難しいということだろうか。
 いずれにせよ、とんでもないナノマシンの性能だった。
 感嘆していると、彼女……家咲音さんは僕を指し示す。
「そういう君も、一般平均からするとかなり優秀な特化能力を有しているそうじゃないか。『形態変化』だったかな?」
「あ、うん。まあ……そうだけど」
「うらやましいね。私は大きさは変えられても、形状は微々たる変化しかできないんだ。柊山さんから聞いた話じゃ、君は子供でも大人でも男性でも女性でも、自由自在に変化することができるんだって?」
「い、一応できるよ」
 そういう特化能力を持っているのは事実だったので、頷く。
 それを聞いた家咲音さんは、目をキラキラとさせていた。
「素晴らしい! 君は素敵だね。私の理想の能力だ」
 さらりと褒められて、思わず顔が赤くなるのを感じた。まっすぐすぎて照れてしまう。
 片手で顔を隠しながら、答える。
「あ、ありがとう……え、えっと……」
 何かで話を逸らしたかった。
「そ、そういえば、さっき指を家咲音さんに突き刺しても、全然アラームも警告もなかったけど……」
 ナノマシンにすべての行動が制御されうる現代では、人を人が傷つけることはできない。僕が彼女を最初人形だと思ったのも、ナノマシンにそれらしい反応がなかったからということがある。
「まりかでいいよ。警告がなかったのは当然さ。私は誰からでもその手の行為を受け入れているからね」
 独り身の殺人プレイ愛好家にとって、理想的なことを口にする。
「……じゃ、じゃあ……もしかして、もしかしなくても、福袋に入って、僕のところに来たのって」
 半ば想像できていたことだけど、僕ははっきりと口に出して聞いていた。
 家咲音さんがにっこりと笑う。
 そして、想像通りに僕の願っていたことを口にしてくれた。

「君に私を殺してほしいいと思ってね」

 家咲音さんの提案はそれこそ飛び上がるほど嬉しかったけど、疑問もあった。
 まずはそれを解消しておかないといけない。
「でも、どうして僕に殺してほしいって思ったの?」
 殺人プレイ愛好会なら、殺してくれる相手には事欠かないはずだった。
 誰にでも殺されたいという人は多くないかもしれないけど、誰でも殺したいという人はそこそこいるはずだし。僕の言葉を受けて、家咲音さんは苦笑を浮かべる。
「まあ、殺してくれる人は多いんだけどね。すでにパートナーがいる人に、そう何度も殺してもらうわけにもいかないよね」
「……確かにそうかも」
 殺人プレイをし合うような間柄の人たちだから当然かもしれないけど、パートナー同士の繋がりは深い。恋人同士であることも多い。中には頼まれたら殺してくれても、別にパートナー以外を積極的には殺したくないという人だっている。
 たまにとはいえ、そこに入り込んでいくのは色々と気を使うのだろう。
「まだ固定のパートナーがいない君なら、気兼ねなく何回もお願いできるからね。それに……」
「それに?」
 家咲音さんは僕の目を見て、再度にっこりと笑った。
「私には色々な人や獣に殺されたいという願望があるんだ。その私からすると、いろんな姿に変身することのできる君は、とても理想的な相手なんだよ」
「なるほど……」
 そういう意図なら、僕のこの能力を買ってくれてるということだ。そのことはとても嬉しかった。
「屈強な大男に踏みつぶされて死ぬのも興奮するし、逆に幼児のような無垢な子に無造作にひねりつぶされるのもドキドキするね。犬に噛み殺されてもみたいし、ヘビに呑まれるっていうのも面白そうだね。それから……」
 彼女は興奮した様子で次々希望する殺され方をあげていく。僕はそれを半ば引き気味に受け止めた。
(す、すごいなぁ……本当に、殺されたがりなんだ……いや、愛好会のイベントでそういう人がいるのはわかってたけど……こんな風にゆっくり話すことはなかったもんなぁ)
 そして、僕にはそれを叶える力がある。大男や幼児ならまだしも、犬や蛇の姿になれるのは僕だけともいえる。
 正直、僕は彼女が柊山さんに言われて、殺人プレイを受けた人なのではないかと疑っていた。
 愛好会で彼女を知らなかったこともあるし、柊山さんが特定の相手のいない僕を哀れんで用意してくれたのではないかとも思えていたから。けど、どうやら彼女の様子を見る限り、本当に僕に殺されたくて僕の元に来てくれたようだった。
(これは……想像以上にいい福袋だったなぁ)
 僕は彼女とめぐり合わせてくれた柊山さんに、心の中で感謝をささげた。
 そんな僕に、家咲音さんが不思議そうに声をかけてくる。
「水無くん? 聞いてくれているかい?」
「あ、ごめんごめん。えっと……そうそう。気になってたんだけど、いままで愛好会で会わなかったのはなんで?」
 特定のパートナーがいないもの同士、もっと早くに出会っていてもおかしくなかったと思う。
 その疑問をぶつけると、彼女は何でもないことのように答えた。
「私は愛好会に所属してまだ日が浅いということがまずひとつ。それと、これは推測だけど、柊山さんがこの演出をするために、あえて私たちを合わせなかったんじゃないかな? 基本的に私たちが得ている愛好会メンバーの情報は柊山さんがくれるものだし、その程度の情報操作は簡単だろう」
「なるほど……確かにそうだね」
 それなら家咲音さんが一方的に僕のことを知っていたのにも納得だ。
 まったく、柊山さんは本当にエンターテイナーというか……演出が好きな人だ。
 柊山さんに対するお礼の言葉を心中で唱えていると、ふと、家咲音さんがそわそわしているのが見えた。
「……どうしたの? あ、もしかして寒い?」
 小さくなっている家咲音さんに着せられるような服が僕の家にあるわけもなく、家咲音さんはずっと裸だった。箱の中に密閉されていた時はともかく、時間が経つにつれ寒くなってきたのかもしれない。
 そう思っての問いかけだったのだけど、家咲音さんはそうではないというように苦笑した。
「いや……そういうわけではなくてだね…………うん。あのね、水無くん」
 その期待に満ちたまなざしに、僕はようやく彼女が何を言いたいのか悟った。
 そして、彼女はその通りの言葉を口にする。
「そろそろ……私を殺してくれないかな?」
 ドキドキしているのか、胸をその手で押さえながら、家咲音さんが僕を上目使いで誘惑する。
 その可愛さときたら、理性を飛ばしそうになるのを必死になってこらえなければならないほどだった。
「……ん。わかった、わかったよ。家咲音さん」
「まりかでいいよ」
「……んと、わかった。まりかさん。それじゃあ……どう殺されたい?」
「最初の一回目は君に任せたいんだけど……ダメかい?」
 そうまりかさんがいうのを受け、僕は試されていると感じた。
(ただ殺すだけじゃだめだ。家咲音さんが……まりかさんが満足してくれるような殺し方にしないと……)
 そうでなければ、僕の元に来てくれたかいがないし、彼女の期待を裏切ることになる。
 僕は小さいまりかさんが僕を期待する眼差しで見つめているのを見て……思いついた。
(僕にしか……僕だからこそ、できる殺し方ができるじゃないか)
 そう考えれば実行あるのみ。
「まりかさん。数世紀前に流行った漫画とか知ってる?」
「え? 漫画かい? もちろん、一般知識程度には知っているけど……」
 漫画は一つの文化であり、歴史だ。数世紀前は低く見られることもあったというけど、いまでは古典の中の一要素として、学校の授業で過去のベストセラーのことを普通に習う。当時、一定以上の人気を集めた作品のことなら、いまでは一般常識の範疇なのだ。最強の宇宙人の漫画とか、海賊王を目指す漫画とか。
「じゃあ……この漫画のことも知ってるよね」
 僕は自分のナノマシンに指令を出し、自らの体を変異させた。
 筋肉や歯をむき出しにした、異形の存在に。その姿を見たまりかさんが、喜色満面の笑みを浮かべる。
「……! なるほど……巨人……!」
 僕と彼女だからこそできる、殺し方。
 人を食らう巨人の姿に変異した僕と、小人のように小さくなったまりかさん。
 僕は原作に則り、言葉としては何も言わずにまりかさんを手で掴んだ。
 それはまさに、巨人が人を捕まえているような、そんな光景だったと思う。
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